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MENTAL HEALTH - 2023.07.28
ハビットマインド(習慣思考)のすすめ 第9回 カウンセラーにとって必要なもの・・・・「謙虚さと真摯さと心強さと」その意味とは
リカレントメンタルヘルススクール専任講師の水口 明子です。
今回は「謙虚さと真摯さと心強さと」ということで、以前わたくしが勤務していた就労移行支援施設で、このお題で利用者さんに向けて書いたブログが、カウンセラーの姿勢・態度に大切な要素であると気づき、加筆しながら考察をしていきたいと思います。
「謙虚さ」とは
「謙虚さ」とはおごることなく、控えめな態度で接するさまをいいます。 それは自分の能力・地位などにおごることなく、自分の考えを疑い続ける態度から湧き出てくるものです。
「正しい認識」や「完全な理解」はできないことを知ること。 自分の考えは正しくないかもしれない、間違いかもしれないと考えることです。
古くは、ソクラテスの「自分は知らないことを知っている(無知の知/不治の知)」や論語の「知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす、これ知るなり」の有名な言葉があります。
謙虚さを「(なんらかのことを)正しく認識すること」と定義すると、論理的および意味的に矛盾します。
ひとつの関心や教義にこだわったり、「それ、知っている!」という態度とは異なることなのです。
カウンセラーとして、クライエントの方の話を伺う際の姿勢として、まずは、クライエントのお話に対してわかったふりをしない、また、面談をしていて沸き起こるカウンセラー自身の中の考えは正しくないかもしれないと常に意識しておくことは大切な要素だと思います。
「真摯さ」とは
真摯の意味を調べてみると、 「真摯」とは、まじめで熱心なこと、またそのさまを意味する言葉と辞書ではかかれています。「真」は「嘘・偽りがないこと/本当」を指し、そして「摯」は「つかむ」と「手厚い、まじめ」を表します。
この2つの漢字が組み合わさって偽りなくとらえるという意味の言葉になり、「まじめでひたむきなさま」を表す真摯という言葉ができたとされています。
では、カウンセラーとして真摯さを身につけるためにはどうすればいいのでしょうか?
まずは、カウンセラーとして考える前に、一人の人間として、自分の言動・行動を振り返ってみるということが重要だと思います。私の例を挙げていうと、カウンセラーとして働く前は、ずっと民間の企業で働いておりました。
仕事も順調な時はいいのですが、いざ問題が起きたときには、あいつが悪い、この部署が悪い、というように、とかく誰かのせいにしたり、特定の部署に原因を求め、会社はこうしてくれない、上司は能力がない、部下はここがダメと愚痴っていたような気がします。
そのような時は、当然表情も険しく、眉間にしわが寄り、心もささくれ立つ状態が続き、真摯さとは程遠かったと猛省しています。
もちろん聖人君子になれということではありません。私も今だにふと気づくと自己を正当化したり、他人のせいにしていることが多々あります。しかしながら、以前とは異なるのは、心理学やカウンセリングの勉強をしていることで、俯瞰的に自分自身を見つめなおし、修正することができるようになったということでしょうか?そしてできる限り、自分の言動や行動に責任を持ち一貫性を保つよう努力しています。
「心強さ」とは
そして最後に「心強さ」とは、「やさしさ」だと思います。
「やさしさ」は「思いやる心」から生まれるのではないでしょうか?「思いやる心」の源は想像力ではないかと思います。相手の状況を想像し、相手の気持ちを想像する。その想像によって、心(感情)が動き、言動につながります。
自分の考えを真摯に疑うことができるからこそ、物事を良く観察し、相手の主張にも丁寧に耳を傾ける。自分の考えを過度に守る必要がないため、自然体でいられ、自信を持ち強くいられる。 そして、大きくゆったりと成長し、器を広げていくことができるのです。
職場においては、会社の理念や価値観、ルールを共有しながら、年齢も人生経験、背景も異なる人々がそれぞれ会社の中で各々の役割をもって働いています。
人間関係の煩雑さに疲れきってしまわれた方も多いかもしれません。でも、職場においては様々なタイプの人がいるからこそ会社組織というパズルが完成するとも考えられないでしょうか。
さてここまでで、何か気づいたことはないでしょうか?
カウンセラーを目指している方は、カウンセラーに求められる重要な要素として、人間観(哲学)、態度・姿勢、技術ということを学ばれると思います。私はカウンセラーを目指して勉強をしている時は、様々な心理療法の違いや、技術的なことを学ばなくてはいけないと当時は思っていました。
もちろん技術は大切です。しかしながら、今、カウンセラーのお仕事をさせていただく中で、本当に大切なことは、本当に日々自分自身の見つめなおし、ブラッシュアップしながら、人間観(哲学)を学んでいくことだと思うのです。
まとめ
「ハビットマインド(習慣思考)のすすめ」第9回は「カウンセラーにとって必要なもの」をテーマに語っていただきました。
カウンセラーを目指す皆さんにとって、ヒントになる内容だったのではないでしょうか。
次回のコラムもぜひ楽しみにしていてくださいね。
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この記事を書いた方のご紹介
水口明子(リカレントメンタルヘルススクール専任講師)
リカレント メンタルヘルススクール専任講師
精神保健福祉士/公認心理師
20年以上サービス業に従事。その後、精神保健福祉士や資格を取得し、対人援助職に従事。
2019年に、ハビットマインドKOKOLOを開業。小学館の「Suits woman」において「ハビットマインド診断」を連載中。医療、福祉、学校、産業分野においての幅広い経験値をもとに活動している。
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