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MENTAL HEALTH - 2020.05.15
精神科医Dr.KSの診察室①「不安や恐怖を感じるあなたへ」
このコーナーでは、カウンセラーとカウンセラーを目指す方のための総合サイト「リカレントCounselor」に寄せられた悩みを、精神科医Dr.KSが答えます。
第1回のテーマ「不安や恐怖」
Question
自分は不安や恐怖を感じやすく、コロナが怖くて毎日が不安でたまりません…
Anser
強い恐怖体験から来る恐怖の記憶は過度になるもの。命を守るために必要なものです
不安や恐怖をもたらす出来事は、人にとって強いストレスとなったり、脳の神経回路に刻み込まれ恐怖の記憶となって、いつまでも心に残ったりします。皆さんも、過去に何か特別怖い思いをした体験が、今でも思い出されることはないでしょうか? 比較的新しい記憶でも恐怖を長引かせることはあり得ます。たとえば…
2019年9月初旬にやってきた令和元年台風第15号は、記録に残る勢力で千葉県を中心に大きな被害の爪跡を残しましたよね。千葉に住む友人宅では、断水と停電になり、それは大変だったそうです。お子さんは、さぞ怖かったのでしょう。それ以来、しばらくは、雨風の強い夜は怖くて泣き出したり、眠れなくなってしまったそうです。
そして、今、ニュースを見ると必ず話題になっている新型コロナウイルス感染症。タレントの志村けんさんが2週間内で亡くなってしまったことや岡江久美子さんが数日で急に悪化して帰らぬ人となったこと、また28歳という若さで亡くなってしまった大相撲力士の勝武士。コロナウイルス感染症が一気に「我がこと」のように現実味を帯び、恐怖や不安を感じた方もいらっしゃると思います。
恐怖の記憶はストレスになる
直近の不安や恐怖の出来事ほど「過度の恐怖記憶」になりかねないのです。強い恐怖体験から植えつけられる恐怖の記憶は、自動的に行き過ぎた「過度」になるものです。人間が命を守るために脳が自然とそうさせるのです。過度な恐怖記憶は、それ自体がストレスになるばかりでなく、不安障害などの精神疾患の発症の一因となる場合があります。
不安障害
不安障害は、危険でないものにまで恐怖心を覚えたり、心配する気持ちが高まりすぎて、身体が過剰にストレス反応を起こし、体調不良の症状が出る結果、日常生活でやるべきことができなくなったり、きちんと働けなくなったりするこころの病気です。そうなると大変です。
例えば、コロナウイルスの感染を恐れるあまり、まったく外出ができなくなったり、モノに触れられなくなったり、日常生活を送る上にも、常に緊張感を強いられてしまう。あるいは、ささいなことにもイライラしやすく、身近な人に強く感情をぶつけてしまう、なんてことも、いつもと違う状態に陥っていることになります。この状態が続いてしまうとしたら、メンタルの病気を招きかねません。
一方で、不安を感じることで人は危険を事前に予測し、回避する行動も取れるのです。コロナウイルスの感染リスクに対して、自分は感染しない、ウイルスに無敵だと思うとしたら、とても危ないですね。不安・恐怖を感じる感度が、間違っていると言わざるをえません。
不安が強い人は、その分、慎重に考えたり行動することで、失敗することが少ない、そんなふうに言われたりもしますね。コロナ感染に対する不安や恐怖を感じたのなら、コロナ感染リスクを正しく認識して、予防対策を正しく行う、慎重に行動することにもつなげられます。
不安や恐怖は、その強さや受けとめ方が重要なのかもしれません。ニュースなどでは、コロナウイルス感染症についても、正しく恐れ正しく対処しましょう、などと言われたりしていますね。あなたは、不安や恐怖の取り扱い、いかがですか?
まとめ
精神科医Dr.KSの診察室①では「不安や恐怖」を感じやすい方からの悩みを元に、不安や恐怖のメカニズムを解説していただきました。「不安や恐怖」は生命を守るために必要なものです。正しく恐れ、正しく対処していきましょう。精神科Dr.KSの診察室では皆さんからの悩みや質問をお待ちしております。
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この記事を書いた方のご紹介
Dr.KS
精神科医/日本医師会産業医/臨床心理士/法政大学産業医・学生相談室学校医/渋谷もりやクリニック/神奈川大学人間科学部特任准教授
精神分析学派のもと、卓越した理論とサイコセラピー技術を融合させた独自の臨床観と高度な専門性を持つ。産業から医療、教育と多領域で活躍。精神科医であり臨床心理士、特任准教授として大学で教鞭もとるマルチなドクター。大手ファーストフード、輸入バッグ企業ほか6社もの産業医を務める。
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