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MENTAL HEALTH - 2023.03.03
ハビットマインド(習慣思考)のすすめ 第1回「ネガティブ・ケイパビリティ 不確実な時代をどう乗り切るか」
初めまして、リカレントメンタルヘルススクール専任講師をしております、水口明子と申します。今回よりメンタルヘルスケアの連載「ハビットマインド(習慣思考)のすすめ」を担当することになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
まずは、自己紹介をさせてください。私は、大学を卒業し、約20年にわたりサービス業に従事してまいりました。映画、アパレル、テーマパーク、カフェなど様々な仕事に携わり、役職も支配人から店長、地区統括マネージャーなどを経験し、数多くの人材育成にも携わってきました。
保健について勉強をし始めたきっかけのひとつは、部下の自殺に遭遇したことです。社員のメンタルヘルスケアの再発防止への解決方法を模索する中、ストレスマネジメントの必要性を感じて、カウンセラーの資格を取得した後、精神保健福祉士の資格を取得しました。その後、メンタルクリニックや、うつ病に特化した就労移行支援事業所の管理者として、事業所の運営、プログラム開発、利用者様のカウンセリングなどを実施してまいりました。
現在は、大学において障害学生コーディネーターとして勤務しながら、リカレントでメンタルヘルスカウンセラー養成講座などの講師をしております。
ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐えるには・・
この数年は新型コロナウィルスという未知なるウィルスにより、我々の考えていた日常が大きく様変わりしました。私自身も先の見えない状態に不安や焦りを感じたものです。そんな中で、以前読んだ帚木蓬生さんの『ネガティブ・ケイパビリティ・答えの出ない事態に耐える力』という本を思い出しました。
ネガティブ・ケイパビリティ(負の能力、もしくは陰性能力)とは「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える力」をさす、あるいは、「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑のなかにいることが出来る能力」のことをいう言葉です。
つまりそれは、「事実や理由をせっかちに求めず、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいられる能力」のことを言うのです。まさに今の時代に求められる能力ではないでしょうか?
「不確実さや不思議さ、懐疑の中にいられる能力」。なかなかすぐにできるものではないかもしれません。しかしながら、状態の悪くなっている方は、自分の考えや価値観とは反することが起き、それに対して事態を最悪と決めつけ、思考を停止させることによって、さらに自分自身で最悪の事態を招いているという風にも考えられないでしょうか?
今まで数多くのクライエントの方々とお会いしカウンセリングをした際に感じたことは、心身共に最悪の状態であることの原因に、自分自身の考えがすべて正しく、それにより思考が停止し、行動も制約をかけ続けていることに気づけていない方がとても多いということです。
思考・行動・習慣・人格・運命を変えるには・・
私には、大好きな言葉があります。
思考が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる。
アメリカを代表する哲学者・心理学者のウィリアム・ジェームズの言葉です。
自分自身の思考とは、主観や価値観からくるといってもいいでしょう。主観や価値観は、今までの経験値や、知識から形作られてきたとも言えます。そして、その主観や価値観は、実はすごく偏りがあり、ちっぽけなものであるのです。そのことに気づいたときに、人は、その思考を少しづつ変えていく努力をすることで、習慣も変わり、行動も変わり、性格も変わるということ、それによって本当に自身の運命すらも変わるということを意味しています。実はこのような考え方のもとにできたのは、認知行動療法であるといえます。
認知行動療法は、簡単に言えば、思考や行動の癖を把握し、自分の認知・行動パターンを整えていくことで生活や仕事上のストレスを減らしていく方法のことを言います。
『出来事(事実)→思考→感情→行動』という図式で、人間の認知はあらわされているのですが、この図式の中で、「思考」という言葉を皆さんはどのように理解されていますか?思考とは、「出来事に対する受け取り方(または捉え方)」のことを指しています。しかも思考とは、その人の主観や価値観で形作られ、自動的に根拠なく思い浮かぶ考えのことと言い換えるとわかりやすいでしょうか。よって、自分自身で気づくのは、ある意味至難の業かもしれません。
そのような人に、皆さんならどのようなアプローチをされますか? 答えはありません。それは、一人ひとりのカウンセラーが、目の前にいるクライエントと一緒に考えていくことだからです。そのことを考え続けていくことが大切なことと思っています。
最後に、実は私自身が本当に偏った価値観をずっと持ち続けて、自分の人生の幅を狭めていました。そして、それを知ることになったのは、心理学や、メンタルヘルスの勉強をしていく中で少しずつ気づいていったということ、また、カウンセリングをしていく中で、クライエントの方の方々と一緒に学ばせていただいたといっても過言ではありません。
心理学やメンタルヘルスを学び、自分自身の人生をも豊かにする・・
この世の中は、常に不確実性の中にいます。まだまだ解明されていないことも数多くあります。そして、人間もまた、一人ひとり異なります。そのことを受け入れていくことは、自分自身そのものも、わからないことが多いということに気づき、ひとつひとつ発見していくこと、そのためにも、心理学やメンタルヘルスのことを学び続けていき、実践していくことで、心を豊かにし、人生を楽しんでいきませんか?
私の経験した事例なども織り交ぜながら、今後お伝えをしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
まとめ
近年は新型コロナウィルスの影響で、予想もしなかった展開になりました。今回の「不確実な時代をどう乗り切るか」というコラムにこれからの生き方のヒントを得た方も多いのではないでしょうか。次回もぜひ楽しみにしていてくださいね。
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この記事を書いた方のご紹介
水口明子(リカレントメンタルヘルススクール専任講師)
リカレント メンタルヘルススクール専任講師
精神保健福祉士/公認心理師
20年以上サービス業に従事。その後、精神保健福祉士や資格を取得し、対人援助職に従事。
2019年に、ハビットマインドKOKOLOを開業。小学館の「Suits woman」において「ハビットマインド診断」を連載中。医療、福祉、学校、産業分野においての幅広い経験値をもとに活動している。
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