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MENTAL HEALTH - 2020.10.30
精神科医Dr.KSの診察室⑦「もしかしたら不眠症?と思うあなたへ」
このコーナーでは、カウンセラーとカウンセラーを目指す方のための総合サイト「リカレントCounselor」に寄せられた悩みを、精神科医Dr.KSが答えます。
今回は、布団に入ってもなかなか寝つけず、困っている方からの質問をテーマにお届けします。
もしかしたら不眠症?
Question
最近、夜なかなか寝付けないんです。睡眠薬を使った方がよいのでしょうか?
Anser
まずは心の面で何ができるか考えてみましょう
睡眠はホントに心の健康のバロメーターなんですよね。心配事が頭から離れなかったり、不安になると自律神経のバランスが悪くなり、眠ろうと思っても興奮して眠れ夜、なかなか寝つけないんです。睡眠薬とかってどうなんでしょうか。ない、夜中に目が覚めると心配事で頭がいっぱい、なんてことは誰でも経験があることと思います。
夜の静寂の中で頭の中に広がる心配事は、昼間に考えていたこと以上に、ネガテイブで悪いものに進化していたりして、もう恐ろしいったらありゃしない。
本来ならやっとくつろげる安らかな極上のひと時を「眠れない魔」が侵食してくるなんて大迷惑ですよね。けれど勝手に入り込んでくるから、これが厄介で侮れないのです…。
安眠のために、心の面でできること
では、大切な安眠を守るために、心の面では何ができるのか、考えてみましょう。
まずは昼間のうちに、心配事を少しずつ切り崩しておきたいですね。
現実的に解決の糸口を見つけるのが理想でしょうが、なかなかそううまくもいかないもの。そこで解決の邪魔をしているのは何か、手放すことで楽になることはないか、考え方、見方を変えてみる、新らしい視点を加えてみたらその心配事が違って見えてこないか、などなど。
ひとりで悩んでいると、どうすればよいかわからなくてなってしまう時、
身動きが取れないという方は、心配事の解決の糸口をみつけることを
カウンセラーと一緒に取り組んでみるのもよいと思いますよ。
薬を使わないですむなら、それに越したことはない
外来治療ではよく、患者さんに「睡眠薬ってどうなのですか?」とたずねられます。
睡眠導入剤(睡眠薬)は、普通にあれこれと睡眠に対する心理教育(眠れるための知識や情報を提供する)を行ってみて、眠りやすい睡眠環境を整えたにも関わらず、依然として眠れないときに初めて選択肢に上がるものです。
厳密に言えば、薬の副作用や依存性も念頭に置きつつ、主作用が健康維持のためにどうしても必要とするから服用するわけです。薬を使わなくても眠れるのならそれに越したことはないのは絶対です。だからまず心理教育、睡眠環境調整をやってみることが大切です。
精神科医の立場から
これは余談ですが、医師としては、市販の薬は効能も不確かなので、「医師が処方した薬を使ってください」と言いますが、実際に目の前に来た患者さんで、市販の薬で「よく眠れて問題ありません」という人にお目にかかったことがありません。
みなさん「薬局で買う薬は効かないから」といって来院されるわけです。ただ、これはあくまでも精神科医の主張であって、これだけ市販されているということは、十分に満足できている人もいるってことなのかな?
いずれにせよポイントは、市販されている睡眠導入剤でも、医師から処方された眠剤でも、自分に効いているかどうかは、1日2日でわかるものです。なかなか効かないけれど飲んでいるうちに効いてくる、ということではないです。睡眠薬は、わずか数日で自分にあった薬かどうか自己判断できるというわけです。
そして、どうしても飲むとしたら、必要なくなったら早々に止めることを念頭に飲み始めることですね。
まとめ
精神科医Dr.KSの診察室⑦では布団に入ってもなかなか寝つけず、困っている方からの質問をテーマにお届けしました。Dr.KSのアドバイスが毎日の生活の中でのヒントになればと思います。
精神科医Dr.KSの診察室では皆さんからの悩みや質問をお待ちしております。
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この記事を書いた方のご紹介
Dr.KS
精神科医/日本医師会産業医/臨床心理士/法政大学産業医・学生相談室学校医/渋谷もりやクリニック/神奈川大学人間科学部特任准教授
精神分析学派のもと、卓越した理論とサイコセラピー技術を融合させた独自の臨床観と高度な専門性を持つ。産業から医療、教育と多領域で活躍。精神科医であり臨床心理士、特任准教授として大学で教鞭もとるマルチなドクター。大手ファーストフード、輸入バッグ企業ほか6社もの産業医を務める。
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