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CAREER - 2023.02.22

プロのキャリアコンサルタントが語る 「論理療法を活用したストレス解消法」

「論理療法」を活用したストレス解消法

これからカウンセラーやキャリアコンサルタントを目指したいと思っている方は、「人と接することが好き」という傾向がある方が多いのではないでしょうか。人の気持ちに敏感で、自分に求められていることを素早く察知できるような方や、細かいことによく気がつく方、職場では同僚や後輩の面倒見がよく、まわりから頼りにされているというタイプの方なども、カウンセラーやキャリアコンサルタントを目指す方には多いようです。一方で、周囲への心配りが欠かせない分、時には心が疲れてしまうこともあるのではないでしょうか。

では、1日に何人もの方のカウンセリングやキャリアコンサルティングを行うプロの対人支援職の方は、どのようにストレスを解消しているのでしょうか。

今回はプロのキャリアコンサルタントとして第一線で活躍されているリカレントキャリアデザインスクールの中谷知子先生に、中谷先生も生活の中に取り入れている「論理療法を活用したストレス解消法」を解説していただきました。

自分自身のストレスを上手にケアしたい

私達を取り巻く現代社会は、経営環境や複雑化する人間関係など、変化が速くストレスの多い環境といえます。バラエティグッズ、ドラッグストア、スーパーなどの店頭には、ストレスを軽減するためのグッズや食品が並び、今では定番の商品になっています。

私達キャリアコンサルタントの仕事は、このストレス社会の中で過ごす多くの方たちのキャリアや人生そのものを支援することです。しかし、仕事の責任とやりがいが大きい分、プレッシャーから自らもストレスを感じることが多いのではないでしょうか。人の支援に携わる者として、まずは自分自身のストレスを上手にケアしていきたいですね。

「論理理論」を活用したストレス軽減法とは

では、皆さんはストレスを感じたとき、どのようにストレスを解消していますか?温泉でゆっくりと過ごしたり、運動で発散するなど様々なストレスの解消法があります。私も旅行やショッピングに行くことはストレスの軽減になっていると思いますが、キャリアコンサルティングの学びで得た様々な理論も、ストレスを和らげるのに、とても役に立っていますので、あなたにご紹介したいと思います。

キャリアコンサルティングの学びには、様々な理論が登場しますがその1つに「論理療法」というものがあります。「論理療法」とは米国の心理学者アルバート・エリスによって提唱されたものです。

例えば何か落ち込むような状況になったとき、落ち込むことに至った要因は、落ち込むきっかけとなった出来事そのものにあるのではなく、その出来事を自分がどのように捉えるかによって変化するという考え方を基盤とした理論です。

では、具体例を挙げて見てみましょう。下の図をご覧ください。

それではこの図を解説していきます。あなたが「試験に落ちたことで長く落ち込む」という状況になったとします。

その時に、

「試験に落ちる」=出来事(A)
   ↓
「落ち込む」=結果(C1)

 
このように、試験に落ちたという出来事が、落ち込むという結果に直接つながるのではなく、
 

「試験に落ちた」=出来事(A)
   ↓
★「自分は失敗して駄目な人間だ」という固定観念=不合理な信念(B1)
   ↓
「落ち込む」=結果(C1)

というように、論理療法では考えます。

つまり、

「試験に落ちた」=出来事(A)

   と

「落ち込む」=結果(C1)

 の間にある

「自分は失敗して駄目な人間だ」という固定観念=不合理な信念(B1)

が落ち込ませている要因だというように考えます。

出来事(A)と結果(C1)の間に存在する自分の受け取り方・捉え方(B1)こそが、自分を落ち込ませている原因となると考えるのです。

そして、この「自分は失敗して駄目な人間だ」という固定観念=不合理な信念(B1)に対して
「でも、試験に落ちる人は皆駄目な人間なのか?」
「試験に落ちて自分に影響があることはあるの?」
というように、論理的に自分自身に問いかけ(反証=D)を行っていきます。

この反証を繰り返すことで
「試験に落ちたからといって駄目なんてことはない」
「試験は次回もあるし、実際、今後の生活にも大した影響はないな」
というように、捉え方が変わっていくので、図の効果(E)にある「試験で全てを判断できる訳ではないな」といった新たな考え方を導き出せます。

そのため、図のC1の「落ち込む」が、図のC2の「次回頑張ろう!」という新たな結果を生みだすことができるのです。

論理療法を実践すると、物事に対する自分の捉え方に変化を起こすことができるため、新しい考え方を導き出すことができます。これにより落ち込んでいた気分が解消されるなど、良い効果を期待することができます。

ちなみにこのような考え方は、
A:Activating event(出来事)
B:Belief(信念、固定観念)
C:Consequence(結果)
D:Dispute(論駁)
E:Effect(効果)
上記のそれぞれの頭文字をとって、「ABCDE理論」と呼ばれます。

私は日常で何かストレスを感じるときは、お風呂の湯船に浸かりながら、ABCDEに当てはめて自分の信念に問いかけ客観視することでストレスに対処しています。

「こうありたい」と思える自分へ

私たちは論理的に考えることの重要性を理解していますが、どんな時も論理的思考で行動できるわけではありません。時には、感情で行動することがあるのではないでしょうか。また、感情があるからこそ、人間らしくもあり、おもしろいともいえます。

落ち込むことや怒りの感情そのものは悪いことばかりではありませんが、それが長引くと心や身体に好ましくない症状が現れ、「こうありたい」と思える自分でいることが難しくなってしまうかもしれません。「論理療法」を実施して「こうありたい」と思える本来の自分を大切にしたいですね。

まとめ

キャリアコンサルティングの学びの中にはたくさんの理論があります。このページで中谷先生が紹介してくださった「論理療法」のように実践してみると、例えば気持ちが前向きになったり、人との接し方に変化があらわれるなど、人生が豊かになるためのヒントとなる学びがたくさんあります。

あなたもキャリアコンサルティングを学んで、中谷先生のように人生を豊かにしてみませんか。

 

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この記事を書いた方のご紹介

中谷知子(リカレント専任講師)

リカレントキャリアデザインスクール専任講師
2級キャリアコンサルティング技能士、国家資格キャリアコンサルタント、MBA(経営学修士)。アンガーマネジメントファシリテーター他
キャリアコンサルタントとして独立し、組織を中心とした人材育成や人材活用に関するコンサルティングを中心に、研修・セミナー等の企画及び運営並びに講師として活動。

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