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COUNSELOR - 2025.03.14

部下のメンタル不調予防のために―EAP導入のメリットと効果的な活用法

職場におけるメンタルヘルスの重要性が高まる中、仕事のプレッシャーが部下の心に負担をかけていることに気づく上司が増えています。

しかし部下が抱えるストレスや不安に対し、どのように対処するのが適切なのか分からないと悩みを抱えるケースも少なくありません。

この記事では、部下のメンタル不調のサインとその予防策を紹介します。また、近年注目を集めているEAP(従業員支援プログラム)導入のメリットについても触れますので、ぜひ参考にしてください。

部下のメンタル不調のサインを見逃さないために

メンタルヘルスの不調は、本人が自覚していない場合も多いため、管理職として部下の小さな変化を見逃さないことが重要です。

以前と比較して日常業務での振る舞いに変化を感じた場合は、早めに対応することで、メンタル不調の予防につながります。

部下に見られる5つのメンタル不調サイン

この章では、メンタル不調になると一般的に出やすいとされるサイン5つを紹介します。

  1. 遅刻や欠勤が増える
  2. 集中力の低下や業務ミスが目立つ
  3. 会話が減り、表情に明るさがなくなる
  4. 業務に対する意欲が見られない
  5. 身だしなみに変化が生じる

1つずつみていきましょう。

1.遅刻や欠勤の増加

頻繁な遅刻や欠勤は、メンタル不調の代表的なサインの一つです。特に、以前は時間に厳しく出勤状況が良好だった部下が、突然遅刻や欠勤を繰り返すようになった場合、何らかのストレスや心の負担が原因である可能性があります。

遅刻や欠勤増加の背景には、通勤や仕事に対する意欲の低下、朝起きるのが難しいといった精神的な問題が考えられます。

2.集中力の低下や業務ミスが目立つ

集中力の低下や業務ミスの増加も、メンタル不調の初期症状の場合があります。

しっかりと業務をこなしていた部下が、些細なミスや通常では起こらないミスを頻発する場合、心身の疲労やストレスが原因となっていることが考えられます。集中力を維持することが難しい状況で悩んでいるかもしれません。

3.会話が減り、表情に明るさがなくなる

日常的に会話が減少し、表情に明るさがなくなることも、メンタル不調の重要なサインです。

特に、積極的に意見やアイデアを共有していた部下の発言頻度が低くなる、同僚との交流も避けるようになる、表情が暗いなどの場合は、メンタル不調を抱えている可能性があります。

4.業務に対する意欲の低下

業務に対する意欲の低下は、メンタル不調の兆候の一つです。特に、これまで仕事に積極的で意欲的だった部下が、突然仕事に対して消極的になり、責任感を示さなくなった場合は注意が必要です。

新しいプロジェクトへの興味や、自主的な取り組みが見られなくなることは、心身の疲労や精神的な負荷が関係しているかもしれません。

5.身だしなみに変化が生じる

最後は身だしなみの変化です。服装や髪型に対する気配りの減少や、以前はきちんとしていた身だしなみが急に乱れた場合、心の余裕がなくなっている可能性があります。

普段からきちんとしていた部下にこうした変化が見られたときには、メンタルの状態が悪化している可能性があるため、注意深く見守る必要があります。

職場におけるメンタル不調の現状とその要因

業種や事業所の規模によって、部下のメンタル不調の要因は異なりますが、メンタル不調に関するデータや数字を知ることは、上司が部下のメンタルヘルスを守るために何ができるかを考えるうえで重要な指針となります。

厚生労働省が発表した2023年度「過労死等の労災補償状況」によると、精神疾患での労災認定は833件でした。さらに具体的な項目別にみてみると、「パワーハラスメント」が157件と最も多く、次いで「業務に関連し、悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が111件、「セクシャルハラスメント」が103件、そして「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」が100件と続いています。


厚生労働省 厚生労働省 2023年度「過労死等の労災補償状況」表2-8を参考に作成

また、「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」の項目は52件で、近年増加傾向にあるカスタマーハラスメントに該当しており、事業所内だけではなく、外部が原因となるケースも増加しているようです。

部下のメンタル不調予防のために EAP導入のメリットと効果的な活用法

部下のメンタル不調を予防するための具体的な施策

では、部下のメンタル不調を予防するためには、どのような施策が効果的なのかを具体的にみていきましょう。

1.フィードバックと定期的な面談の活用

部下との定期的な面談やフィードバックを通じて、業務状況だけでなく、プライベートやストレスに関する話題にも触れることが重要です。

1on1ミーティングの実施や定期的なショートミーティングなど、オープンなコミュニケーションの場を設けることが、メンタル不調を未然に防ぐカギとなります。

2.ストレスマネジメント研修の導入

ストレス対策の一環として、従業員向けにストレスマネジメント研修を実施することは非常に効果的です。

上司の立場である管理職だけではなく、事業所内の従業員が自身のストレスを正しく認識し、対処法を学ぶことでメンタル不調のリスクの軽減が期待できます。

研修を通じて、ストレスのサインに気づき、早めに対策を講じる習慣を根づかせることが重要です。

3.EAP(従業員支援プログラム)の活用

最後はEAPの活用です。EAPという名前を聞いたことがある管理職や人事の方も多いのではないでしょうか。

EAPはEmployee Assistance Program(従業員支援プログラム)の略で、従業員のメンタルヘルスをサポートするプログラムです。

個人カウンセリングや職場環境の改善、メンタル不調により休職をした従業員の復職支援、そしてメンタル不調を予防するための研修などを総合的に支援するのがEAPです。EAPの導入は、社内のメンタルヘルスに関する課題解決の一つの手段になるといえます。

一般的に、人事や管理職などの社内の人だけで従業員のメンタルヘルスケアを行うことは難しいとされています。メンタルヘルスの問題は人によって様々であるため、専門的な知識が必要になるからです。

そのため産業医や保健師、EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)などの専門家が対応するケースが多いといえます。またスキルや知識を身につけた人事や、労務担当者が行うケースもあるでしょう。

メンタル不調の予防にEAP導入が効果的な理由

「ストレスチェック」制度は、2015年12月から従業員50人以上の事業所を対象に義務付けられていましたが、今後はすべての事業所に拡大される方針が示されました。2025年3月には改正案が閣議決定されており、法改正が成立すれば3年以内に施行される予定です。

参考)厚生労働省 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要

しかし、すでにストレスチェックが義務づけられている事業所でも、メンタルヘルスに係るリソースや人材不足、根本的な問題改善につながらないなどの課題を抱えています。

そのため、ストレスチェックが全事業所に義務づけられることで、EAPなどの支援プログラムはますます需要が高まると予想されます。

メンタルヘルス対策の基本を知る

メンタルヘルス対策は、下記の3つからなります。

一次予防 メンタル不調の予防
二次予防 メンタル不調の早期発見、対応
三次予防 職場復帰支援

 
全事業所に義務づけられるストレスチェックは一次予防に含まれ、メンタル不調の予防を狙いとしています。

しかし、規模にかかわらず、ストレスチェックの実施だけでは職場環境の改善や、従業員の意識向上にはつながらないのが実情です。二次予防・三次予防にも取り組んでいくには、EAPの導入が必要であるといえます。

部下のメンタル不調予防のために EAP導入のメリットと効果的な活用法

EAPを導入するメリット

EAPの導入には、従業員と企業にとって多くのメリットがあります。

リスクの軽減

従業員のメンタルヘルスの不調が原因で発生する長期休職や離職、さらにはハラスメントや労働災害などのリスクの軽減が期待できます。

離職率の低下

EAPを導入することで、従業員が抱えるメンタルヘルスの問題に早期に対応できるため、ストレスや不安からくる職場の離職防止に役立ちます。

また従業員が支援を受けられる環境が整うことで、仕事への満足度や企業への忠誠心が高まり、結果的に離職率の低下が期待できます。

生産性の向上

EAPを導入することで、従業員がメンタルヘルスの問題を早期に解決できる環境が整い、ストレスや不安が軽減されます。

心の健康が保たれることで、従業員は仕事に集中しやすくなり、業務効率が向上します。結果的に、生産性の向上が期待でき、企業全体のパフォーマンスにも好影響を与えます。

サポートする側がメンタル不調になるケースも

ポートする上司や管理職も心身に疲労を感じ、メンタル不調になるケースがあります。

このような状況を回避するため、上司自身の健康管理も非常に重要です。適切なサポートを提供するためには、管理職も自分自身のメンタルケアに努めることが不可欠です。

このような背景からも、事業所内の人材だけではなかなか対応しきれない、従業員のメンタルヘルスケアには、EAP導入が効果的であるといえるでしょう。

メンタルヘルス対策についてより学びたいときは

EAP導入を検討するだけではなく、部下を持つ上司や管理職の立場として、自身がEAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)資格などを取得するケースも増えています。

より専門的な知識とスキルを身につけることは、部下のメンタルヘルスを支えるための有効な手段となるでしょう。

まとめ

小さな変化を見逃さず、早期に対策を講じることは、部下のメンタル不調の予防につながります。

また、従業員と事業所の橋渡しをする役割を担うEAPを導入することで、従業員のメンタルヘルスケアが強化されるだけではなく、ストレスチェックが機能することで職場環境の改善にもつながるでしょう。

 

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