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キャリア - 2024.10.11更新 / 2023.12.14公開
アクティブリスニング(積極的傾聴姿勢)とは? 意味とその効果を解説
「アクティブリスニング」は、「積極的傾聴姿勢」と呼ばれるものです。
ここでは、アクティブリスニングの意味やその種類について、アクティブリスニングを実践することのメリットについて解説していきます。
アクティブリスニングとは? 「積極的傾聴姿勢」とは?
アクティブリスニングとは、「積極的傾聴姿勢」と訳される言葉で、話をしてくる相手の主張を受け止め、共感し、寄り添い「聴く姿勢」を表したものだといえるでしょう。
これによって相手の考え方や伝えたいこと、感情などを適切に把握でき、また問題点がある場合はその解消に繋げていけるとされています。
このアクティブリスニングは、70年ほど前にアメリカで活躍していた、臨床心理学者であるカール・ロジャーズやリチャード・ファーソンによって提唱され始めた、コミュニケーションのスキルのうちのひとつです。
アクティブリスニングの2つの種類~バーバルコミュニケーションとノンバーバルコミュニケーション
さて、この「アクティブリスニング」の方法は、「バーバルコミュニケーション」と「ノンバーバルコミュニケーション」に分けられます。
ひとつずつ見ていきましょう。
ノンバーバルコミュニケーションとは「言語によらないコミュニケーション」
ノンバーバルコミュニケーションとは、「非言語的手法」「非言語コミュニケーション」とも呼ばれています。
人は会話をする際、相手の「言葉」だけを判断しているわけではありません。
たとえば相手が非常に不機嫌そうな顔をしていたら話を続けようとしても委縮してしまうし、逆にリラックスした様子で話を聞いていれば「もっと話をしていたいな」と思うものです。
また何度も頻繁に時計を見ていたら、「この人は私と話す気がないのかもしれない」と思うかもしれません。
「メラビアンの法則」
このノンバーバルコミュニケーションに関する研究として、アルバード・メラビアンの「メラビアンの法則」があります。この「メラビアンの法則」では、人がだれかと対峙して話をしているときの相手の印象を問うものです。
メラビアンの法則では、相手は特に「見た目」を重要視している、としています。
相手を判断するときの基準は、視覚情報が55%、話し方や声の大きさなどの聴覚情報が38%、もっとも重要であるかのように錯覚させられる「話した内容」という言語情報はわずか7%にすぎません。
つまり、言語によらないコミュニケーションであるノンバーバルコミュニケーションが、その人のイメージをかたちづくったり、円滑で円満な人間関係を築いたりするために非常に重要な要素となっているわけです。
「メラビアンの法則」については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
誤解されやすい「メラビアンの法則」とは? 正しく理解しキャリアに役立てる | リカレントcounselor |
聴く側の時は「笑顔」で
自分が「聴く側」になったときは、リラックスした雰囲気を作るように心がけます。満面の笑顔でいる必要はありませんが、人が安心できる程度の笑顔で接していきます。
たとえば、話し手が「ここが痛かった」などの発言を話の途中でした場合は、相手に寄り添う表情を作るなども、ノンバーバルコミュニケーションを深めていくための技法です。
バーバルコミュニケーションとは「言語によるコミュニケーション」
ノンバーバルコミュニケーションは「言語によらないコミュニケーション」ですが、バーバルコミュニケーションは逆に「言語的手法」「言語コミュニケーション」などと呼ばれるものです。
文字通り「言葉」での伝達が基本となるのがバーバルコミュニケーションの特徴ですが、「聴く側」になった場合は、「相手の言葉や考え方に関心を持っているようにふるまうアプローチを行うこと」が非常に重要です。
「オウム返し」を活用してみよう
人は、「自分の話が聴いてもらえていない」と判断してしまうと、話すことをやめてしまいます。また話すことをやめるまではいかなかったとしても、本音を聞き出すことは難しくなるでしょう。
そして本音が聞き出せなくなれば、物事のトラブル解消なども難しくなってしまいます。そのため、「私はあなたの言葉を聴いている」というフィードバックが非常に大切です。そのような手法のうちのひとつが、「オウム返し」です。
アクティブリスニングで行うオウム返しは、単に相手の言葉を同じように繰り返すのではなく、「相手の言葉を聴いて、それをまとめる」「確認や質問を行う」などのかたちで行われます。
たとえば相手が「職場の部長に怒られて、心が折れてしまった」などのように言ってきた場合、「上司の方のどのような態度や言葉で、心が折れたと感じましたか?」というように返すのです。
「開いた質問」が望ましい
バーバルコミュニケーションの方法のひとつとして取り上げられる「質問」は、「はい・いいえ」で答えることのできる「閉じた質問(クローズド・クエスチョン)」ではなく、「●●でした、●●だったのです」などのように「言葉」で答えることのできる「開いた質問(オープン・クエスチョン)が望ましいとされています。オープン・クエスチョンは、相手の話を聞きだし、話をつなげていくために有用です。
アクティブリスニングの3つのメリット
バーバルコミュニケーションとノンバーバルコミュニケーションの話を見てきたところで、ここからは、アクティブリスニングのメリットについて考えていきましょう。
会社内での人間関係を円滑にする
アクティブリスニングを職場に導入すると、人間関係が円滑に回るようになります。
人は「自分の話を聴いてくれない人」「自分の感情を理解してくれない人」に対しては信頼を寄せることが難しく、自然と会話をする回数が少なくなる傾向があります。
「相手が話を聴いてくれる」「トラブルが起きたときにでも冷静な姿勢で耳を傾けてくれる」「こちらの悩みに寄り添ってくれる」場合は、困ったことや、助けて欲しいことがあれば、声をかけやすくなるでしょう。
部署の従業員全体が、「アクティブリスニングの考え方に従って相手の気持ちを聴き、寄り添い、必要に応じてアドバイスをする」というスタイルをとっているのであれば、人間関係は非常に円滑なものとなるでしょう。
そしてこの「円滑になった人間関係」は、「自分が何かミスしたときにでもすぐに相談できる」という安心感につながります。
「語っている人」自身で問題の自己解決に近づける
「だれかに話すことで、自分の考えが整理できた」「だれかに話すことで、ストレスが解消できて冷静に考えられるようになった」という経験は、だれもが一度はしたことがあるのではないでしょうか。
人は、だれかに話を聴いてもらおうとするとき、たとえ相手が「どんな風に話してくれても構わない」といっても、無意識的に自分の話をまとめようとします。そして相手に話をしていくなかで、そのように「整理した自分の話」のなかから、トラブルの解決策を見いだせるようになることもよくあります。
アクティブリスニングは、トラブルや悩みを抱えている人の話に耳を傾け、適切なアドバイスを与えたいと考えるときに非常に有用なものです。さらにそれにプラスして、「そもそもアドバイスを行う前の段階で、相手が自分自身の感情や考えを整理することができて、冷静に問題の自己解決に当たれるようになる」というメリットがあるのです。
「伝える能力」「聞く能力」がアップする
アクティブリスニングを職場に導入すると、従業員の「伝える能力」と「聴く能力」の向上につながります。
アクティブリスニングの考え方を元に「話す側」になった場合、人は、「ある程度話を整理して伝えないと分かりにくい」「せっかく寄り添って聞いてくれているのだから、せめてわかりやすい話し方をしよう」と考えます。
また、「話に耳を傾ける側」になった場合、人は、「アクティブリスニングの考え方に基づいて、相手の話をきちんと聴こう」「途中で口出しせずに、最後まで話に耳を傾けよう」「バーバルコミュニケーションはもちろん、ノンバーバルコミュニケーションも意識しよう」と考えます。
この結果として、アクティブリスニングは「分かりやすく話す能力」と「相手の話に真摯に聴く能力」を実践者に与えるのです。
さまざまな場面で役立つアクティブリスニング
「アクティブリスニング」によって培われた「伝える能力」と「聴く能力」は、ほかの場面でも生かすことができます。
たとえば、キャリアコンサルタントはまさに、相談者の話を聴き、こちらの提案やアドバイスを相手の気持ちを汲み取りながら分かりやすく伝える仕事です。
相談者の悩みの本質を把握するためにも、このアクティブリスニングのスキルは必要となるでしょう。
まとめ
ノンバーバルコミュニケーションとバーバルコミュニケーションから成る「アクティブリスニング」は、「積極的傾聴姿勢」と訳されるものです。
このアクティブリスニングを実践することで、「職場の関係が円滑になる」「話しているうちに、話し手側が自分で問題の解決ができるようになる(そうでなかった場合も、聴き手側がアドバイスを与えられる)」「『伝える技術』と『聴く技術』の両方を向上させることができる」というメリットがあります。
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