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キャリア - 2024.09.19更新 / 2024.01.22公開
『キャリアパスとは』企業での自分の立ち位置や行き先を考える
ビジネスパーソンとして働くうえでは、企業から示される「キャリアパス」が自身のキャリアに与える影響は大きいといえます。
このページでは、「キャリアパス」のメリットや必要性を解説していきます。
キャリアパスとは
「キャリアパス」とは、企業内で特定の役割や役職、地位を目指す際に必要となるスキルや資格、経験、通過すべきポイント、基準などを指す言葉です。
たとえば、将来的にA部署の部長を目指す場合、「まずはA部署で経験を積み、B部署に3年間出向をし、A部署に戻ってきて係長になり、国家資格を取得してさらに1年後に課長になり、その後○千万円の実績を上げたらA部署の部長になれる」などのルートを、「キャリアパス」といいます。
詳しくは後述しますが、この「キャリアパス」は基本的には企業側が提示するものです。そのため、個人で考える「キャリアプラン」とは意味が異なります。
キャリアパスとキャリアプラン、キャリアアップ、キャリアデザインとの違いについて
「キャリアパス」のほかにも「キャリア」に係る言葉として、
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キャリアプラン
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キャリアアップ
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キャリアデザイン
があります。 それぞれその違いについて解説していきます。
キャリアパスとキャリアプランの違い
上でも少し触れましたが、「キャリアパス」と「キャリアプラン」では、それを提示するのが企業か従業員かの違いがあります。
キャリアパスは企業側から提示され、従業員に対して特定の役職やスキル獲得を促す道筋であり、一般的には企業の内部の昇進やキャリアの方向性を示します。
一方、キャリアプランは個人が自身で目標を設定し、達成するための具体的な戦略を考えていくものです。個人のスキルや興味、価値観に基づいて、どのようなキャリアを築いていくかを考えるプロセスともいえるでしょう。
両者は密接に関連しているものの、キャリアパスは主に企業の制度や規定に基づいて提示され、キャリアプランは個人の意思決定と目標設定に基づいています。
キャリアプランについてはこちらの記事でわかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
【わかりすく解説!】キャリアプランの考え方・立て方 | リカレントcounselor |
キャリアパスとキャリアアップの違い
キャリアパスのなかにはしばしば、「○○の資格を取得」などの項目が提示されています。
なおキャリアアップとは「自分自身の専門性を高めたり、資格を取得したりすること」を指す言葉です。
「キャリアパス」と「キャリアアップ」は似た性質を含むものではありますが、本質的には異なります。キャリアパスはあくまで「会社側が提示する、その役目につくために必要な資格の提示」であるのに対し、キャリアアップは「(会社側が提示する・しないに関わらず)自分自身のために専門性を高めたり、資格を取得したりすること」を意味するものだからです。
そのため、その企業が提示する「部長になるためのキャリアパス」のなかにおいては必須とされていない資格などであっても、「自分自身のキャリアアップ」に向けて取得するケースもあるでしょう。
また、キャリアパスはあくまで企業内でのルートを指します。そのため、ある企業を退職して転職をした場合は、転職先の企業が提示する別のキャリアパスを辿ることになります。
一方で、キャリアアップによって得た専門性や資格、あるいは経験などは、個人に帰属するものであるため、転職後に活かすことも可能です。
キャリアパスとキャリアデザインの違い
「キャリアデザイン」とは、「自分自身が自発的にキャリアについて考え、それを構築していくこと」を示す言葉です。「キャリアパスとキャリアプランの違い」でも触れましたが、キャリアパスは企業側が従業員に対して示すルートであるのに対し、キャリアプランやキャリアデザインは主体が「自分」という考え方になります
また、キャリアデザインとキャリアパスには大きな違いがあります。
それは、「キャリアデザインは、『職業人』としての自分だけではなく、プライベートなども考慮して描くべきものである」という点です。
たとえば、キャリアデザインは、結婚や子育て、介護などの極めて私的な要素も含めたうえで行っていきます。
対して、キャリアパスは会社側が示す一定の道筋であり、私生活に対する考慮は含まれないのが一般的です。
このように、キャリアパスとキャリアプラン、キャリアパスとキャリアアップ、キャリアデザインはその傾向が大きく異なります。
もちろん共通する部分もありますが、これらはイコールで語られるものではないということを押さえておくとよいでしょう。
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キャリアデザインを考える上では、キャリアパスの影響も考慮していく
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キャリアアップを目指して行ってきたことが、結果としてキャリアパスの要件を満たすことにつながった
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キャリアパスを組み込むことで、キャリアプランが計画しやすくなった
などのように、相互が深く関わり合うこともあります。
企業がキャリアパスを示すことのメリット
「キャリアパス」を従業員に示すのは、企業側の役割です。
ここからは企業の立場から、「企業が従業員に対して、キャリアパスを示すことのメリット」について解説していきましょう。
企業が従業員にキャリアパスを示すことのメリットは、3つあります。
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従業員のモチベーションアップが期待できる
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自社向けの人材を育成しやすくなる
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人事評価を透明化できる
それぞれ見ていきましょう。
1.従業員のモチベーションアップが期待できる
人間は、一定の「ゴール」を示すことで、より活発に動き出せる生き物です。
たとえば、目的地も示されず、何時間歩き続ければいいかも示されず、休憩箇所も示されないままにただただ歩き続けることは人にとって大きな苦痛となりますが、「目的地は○キロ先の××だ」「だいたい△時間歩き続ければ、目的地にたどり着ける」「途中の◇駅と◆町で一度足を止める」と示されれば、多少長い距離であっても人は歩き続けることができるでしょう。キャリアもこれと同じです。
目標達成までのプロセスや時間の目安、評価基準が示されていれば、パフォーマンス向上やモチベーション維持にもつながります。また、目指すべき場所を把握していれば「どのように仕事をしていったらいいか分からない」という問題を回避することが可能になるでしょう。
2.自社向けの人材を育成しやすくなる
「自社に合った人材の育成」は、企業の運営を考えるうえで非常に重要です。
自社にとって必要なスキルや資格取得を盛り込んだキャリアパスを設定・提示することで、従業員はそのスキルや資格取得のために学習を開始します。その結果として、「自社に必要なスキルや資格を持った人材」が生まれやすくなります。
ただし、示すべきキャリアパスは部署によって異なるのが一般的です。そのため、「全部署で共通したキャリアパス」を作った場合、逆に自部署と合わない人材育成につながる可能性があります。
キャリアパスを作る場合は、「自社」だけでなく「各部署」に合わせたキャリアパスを設定することが重要です。
3.人事評価を透明化できる
キャリアパスを設定することで、従業員が評価基準を理解しやすくなることから、
「あの人が評価される理由が分からない」
「どれだけがんばっても、適切な評価がされない」
などの、不信感につながるリスクを回避することが期待できます。
自社の人事評価が公平であることを知れば、従業員はより働きやすくなりますし、会社に対しての不満を抱きにくくなるでしょう。それがひいてはモチベーションアップによる作業の効率化や、離職率の低下につながっていくのです。
まとめ
キャリアパスが設定されていることで、従業員は辿るべき道筋が明確になり、目標を持って働きやすくなります。企業にとっても、自社に合う従業員を育成できたり、透明性が高い評価基準を従業員に提示できるというメリットがあります。
キャリアコンサルタントとして企業と関わる際は、このキャリアパスの理解も必要になります。これからキャリアコンサルタントの資格取得を考えている方にも参考になれば幸いです。
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