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キャリア - 2024.11.08更新 / 2023.10.05公開
【キャリアプラトー】キャリアの停滞を防ぐには?
「キャリアの停滞状態」を示す「キャリアプラトー」は、働く人にとって重要な問題です。
このページでは、キャリアプラトーが起きる要因や対策について解説していきます。
キャリアプラトーとは
キャリアアップが望めないまま、現在のポジションで長い期間仕事をしているというミドル層は少なくありません。
キャリアプラトーとは、今まで様々な経験をしてきたミドル層が陥りやすい「自分はここまでだ」という「停滞」や「行き詰まり」を指します。
登山の途中で「停滞」している状態
プラトーとは高原や台地という意味を持つ言葉です。キャリアを山に例えると、ある程度登った段階で平坦なプラトーが続き、下山することもないが登頂までたどり着くこともないという、いわゆる「停滞」した状態をキャリアプラトーと呼ぶようになりました。
キャリアプラトーが問題視された背景
キャリアプラトーの研究は、1970年代のアメリカで行われました。ベトナム戦争の影響でアメリカ経済が疲弊し、管理職が削減され、昇進の機会が減少していたのです。
また、社会全体の傾向としては好ましい傾向であるといえますが、女性の社会進出によって「社会で働く人」が増えたため、さらに昇進がしにくくなったといえます。
日本でもキャリアプラトーが問題に
それでは、日本ではどうでしょうか。
年功序列から成果主義へ
キャリアプラトーが起こる背景のひとつに、人事制度の変化が挙げられます。
就職をして勤続年数が長くなれば、自動的に昇進し役職が付くという年功序列や、終身雇用制度を廃止する企業が増え、現在では成果主義の人事制度導入が進んでいます。
バブル期には一時回復したキャリアプラトー問題
バブル経済に日本が沸いていたころは一時的にキャリアプラトーの問題も解消されましたが、バブル崩壊後にはまた同じ問題が起きています。
そして現在もまた、キャリアプラトーは世界の経済や個人のキャリアアップに対して、暗い影を落としています。
キャリアプラトーが起こる要因は?
それでは、このようなキャリアプラトーはなぜ起こるのでしょうか。
キャリアプラトーが生じる要因はさまざまですが、以下に一般的な要因のうち3つを挙げてみましょう
-
自身のスキルに限界を感じている
-
現状が居心地のよい状態である
-
組織の制約
1つずつ順番に見ていきます。
1.自身のスキルに限界を感じている
様々な要因のなかでも特に大きいのは、自分自身のスキルに限界を感じていることでしょう。
特に企業で働くミドル層のビジネスパーソンにとっては、積み重ねた経験によって得た知識や、人間関係などがある程度充足している状態であるといえます。
現状では培ってきた多くの知識が役立っていますが、今から更に上を目指すにはまだまだスキル不足だし、かと言ってスキルを磨くモチベーションを保つことは難しいと、ネガティブに考えてしまうことがキャリアプラトーが起こる要因のひとつであるとされています。
2.現状が居心地のよい状態である
誰しも多かれ少なかれ、居心地の良い状態を意味する「コンフォートゾーンから出たくない」という気持ちや、自分が評価される場所・自分にとって慣れた仕事を選びたいという気持ちを持っているものです。
しかしこの傾向が強すぎると、「新しいポジションに上がると、やらなければならないことが増えるから嫌だ」「管理職は責任を負うことになるので、なりたくない」「技術も人間関係も一から再構築しないといけないので異動したくない」という気持ちが生まれがちです。
変化によって生じるストレス
「新しいところ」「新しい仕事」への変化は、たとえ良いものであっても、人に対してストレスをもたらします。このストレスを感じることを嫌がり、「今のままの仕事、今のままのポジション、今のままの人間関係を維持していきたい」と考えた場合、そこにキャリアプラトーが生じます。
また、「あえてキャリアプラトーの状態であること」を選ぶ人もいます。自分の働く時間や働く内容をコントロールして、プライベートの時間を大切にするというスタンスを持ち、(その人にとって)必要以上と思われる出世を望まないわけです。
3.組織の制約
組織でのポストの数は決まっているため、「この人を昇進させたいと思っているが、上のポストが空いていない」という状況に陥るケースは決して珍しくありません。
なかには、「実績を上げたにも関わらず、それ相応のポストにつけず給料面も変わらない」という状況になることもあります。
また、組織自体が変化を好まない場合は、従業員が自己の能力の研鑽を行おうとしても、それをサポートする姿勢が作れません。
企業側が従業員側の「挑戦の機会」の芽を摘み取ってしまうことで、従業員側がキャリアを積めなくなってしまい、キャリアプラトーが生じる可能性があります。
企業側・従業員側それぞれに「キャリアプラトーに陥る原因」があります。それでは、これを解消しようとすればどのようなことができるのでしょうか。
次の項目ではそれを解説していきます。
キャリアプラトーを脱出するための方法とは
キャリアプラトーは、仕事のモチベーションが低下するといった悪循環にもつながります。
そのため、キャリアプラトーを防ぎたいと考えるのであれば、さまざまな方法を試みることが求められます。
現在の仕事に集中する
今まで意欲的に取り組んできたことに対しても限界を感じたり、これ以上やっても結果は見えているというような、一種の「諦め」を持つことが「キャリアプラトー」といえます。
人生を四季に例えたダニエル・レビンソンの発達段階説でも、中年期とされる40歳から65歳の25年間は、意欲や気力が穏やかになる時期とされています。
しかし同時に、中年期は野心などをコントロールできるようになる「新しい自分になる時期」ともされており、現在の仕事に集中することで、新しい気づきを得ることができるかもしれません。
ダニエル・レビンソンの発達段階説については、こちらの記事で詳しく解説をしています。
【解説】ダニエル・レビンソンの発達段階説-人生の四季とは | リカレントcounselor |
キャリア戦略の再考
キャリア形成をしていく中で、これからの自分自身の在り方を振り返る機会があったと思います。
キャリア形成自体が仕事と密接に関係していた時期とは異なり、選択肢が狭くなったと感じている場合は、キャリア戦略の再考をしていきましょう。その際に心強い味方となるのが、キャリアコンサルタントです。
キャリアコンサルタントは、キャリアに係る相談に応じたサポートを行うキャリアの専門家です。
これからのキャリアについて考える時、キャリアコンサルティングを受けることでキャリアについての見通しや、これからどう進むべきかの気づきに結びつくことが期待できます。
キャリアコンサルティングの効果とは
2022年に厚生労働省がまとめた、キャリアコンサルティングによる「キャリアに関する相談の効果」では、『仕事に対する意識が高まった』が女性50.8パーセント、男性54.8パーセントとともに高い割合となっています。
厚生労働省 2022年版労働経済の分析 第2-(4)-10図を加工して作成
企業で働く従業員にとって自身の強みやこれまでの経験を振り返り、組織における自身の役割や今後のキャリアと向き合うことは、意欲の向上につながります。
「キャリアコンサルティング」を学ぶ選択肢も
キャリアプラトーの経験を通じて、キャリアに関するスキルに興味がわいた場合は、キャリアコンサルタントの資格取得を目指すのもよいかもしれません。
自身がキャリアについて悩んだ経験があるからこそ、キャリアコンサルティングを学ぶことに意欲的になり、仕事に対してのモチベーションが向上することも期待できます。
まとめ
さまざまな理由で起こる「キャリアプラトー」は、働く人にとって非常に重要な課題です。キャリアコンサルタントのスキルは、キャリアプラトーに悩んでいる人へのサポートにもつながります。キャリアコンサルタントに興味のある人や、資格取得を目指している人は、今後の活動の参考にしてください。
Q&A
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