キャリアコンサルタント大辞典 Career Consultant Dictionary
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キャリア - 2024.11.01更新 / 2024.01.20公開
キャリア・サバイバルとは? 注目される背景を紹介
私たちは、やりがいや働き方など、仕事に対する様々な価値観を持っています。一方で、企業側が求める姿と自分の持つ価値観をうまくすり合わせていくという視点が、キャリア形成には必要になってきます。
このページでは、企業と従業員のそれぞれのニーズをすり合わせていく「キャリア・サバイバル」とは何か、意味や概要、提唱の背景、メリットや具体的な方法を解説します。
キャリア・サバイバルとは
「キャリア・サバイバル」とは、働き手である個人が仕事に求めるものや“これだけは譲れない”という価値観と、雇用側である組織が働き手に求める役割やスキルなどを、調和させることを指します。つまり、個人と組織のニーズをすり合わせていく考え方のことです。
このプロセスにおいて、キャリアコンサルタントの支援が有効であるとされています。
キャリアのサバイバル?
「サバイバル」と聞くと、無人島で生き残るには…などのイメージを持つのではないでしょうか。仮に無人島に一人取り残されてしまったら、今自分が持っている知恵や道具を使い、島の気候や自生している植物を把握して、どうにか生き抜こうと考えます。
キャリアにおいても同様で、自分の価値観やスキルに加えて、企業が持つ特性を把握し、そこでどう生き残るかを考えることで、より自分の進むべき道が明確になり、キャリアを積み重ねていくことができるのです。ここで、キャリアコンサルタントが強みを見つけるサポートを行います。
キャリア・サバイバルの提唱者
キャリア・サバイバルは、アメリカの心理学者であるエドガー・シャイン氏によって提唱されました。シャイン氏は「キャリア・アンカー」の概念を構築したことでも有名な学者で、組織文化や、キャリアに関する研究実績があります。
キャリア・アンカーとは
「キャリア・アンカー」の“アンカー”とは船の錨のことで、キャリアのよりどころとなるもののことを指します。キャリアを考える上で譲れない軸・価値観と言うこともできます。
会社という組織内では、個人の価値観のみを優先して働くことは難しいため、企業側が求めることも把握していく必要があります。
内面的なキャリア・アンカーを外部とすり合わせる
キャリア・アンカーはキャリア形成において非常に重要です。キャリア・アンカーが内面的なものだとすると、外部のニーズとすり合わせて調和を図っていくのがキャリア・サバイバルだといえるでしょう。
自分自身のスキルと、組織からの期待値のバランスが取れていることではじめて、組織の成果や目標達成に貢献できるわけです。
キャリア・アンカーについて詳しく知りたい方は次の記事を参考にしてください。
【あなたはどのタイプ?】キャリア・アンカーを知って自分らしく生きる | リカレントcounselor |
キャリア・サバイバルの概要と背景
キャリア・サバイバルは社会や経済、そしてビジネスシーンの急激な変化によって、個人と組織間におけるバランスが取りづらくなってきているという背景から提唱されました。
めまぐるしい技術革新や、グローバル化が進む中で、キャリアに関する個人の考え方も多様化しています。
複雑な環境の中で成長していくためには、自分自身の価値観を大切にしながらも、企業が求めるニーズとうまくすり合わせを行い、キャリアを築いていく必要が出てきたのです。
「サバイバル」という言葉には、困難な環境で生き抜くといった意味があります。様々な事情から複雑化し、困難な状況に陥りやすくなっている社会を汲んだ言葉として、「サバイバル」という単語が採用されたと考えられます。
キャリア・サバイバルのメリット
キャリア・サバイバルにはどのようなメリットがあるのか、紹介していきます。
中長期的な目標が明確になる
組織が求めるスキルや役割を把握し、そこで自分がどう活躍できるかを考えることで、より現実的な目標を設定することができます。
目標が現実的で明確であるとモチベーションが向上し、結果として組織全体の生産性向上につながるといえます。
離職・転職防止につながる
組織が従業員に求めるものと、従業員が仕事や働き方において譲れないポイントをすり合わせることは、職場環境の改善につながるため、結果的に従業員が働きやすくなることで、組織全体の成果や目標達成に結びつきます。
また、従業員が今所属している組織でのキャリアが明確になっていることで、離職防止が期待できます。
キャリアコンサルタントは、こうした過程をサポートし、個々のキャリア形成を促進します。
キャリア・サバイバルの注意点
キャリア・サバイバルは、従業員と企業などの組織を調和させていくことを前提とした前向きなものです。特に、環境が複雑化する近年においてキャリア・サバイバルは、非常に効果的であるとされているのです。しかし、取り組みや認識に誤りがある場合は、思ったような効果を得られないだけではなく、リスクとなってしまうケースもあるので注意が必要です。
例えば、組織が一方的に期待する役割や職務を押し付ける、従業員が一方的に意見を押し通すといった場合です。
キャリア・サバイバルは個人と組織双方を調和させるためのものなので、よりよい効果を得るためには、バランスが重要になってきます。
また、双方の意見をしっかり聞いているつもりでも、うまく連携が取れていないケースもあります。例えば、従業員が何らかの理由で十分な意見を言えていなかった、組織が期待することが十分に言語化されておらず伝わっていなかった、などが挙げられます。
取り組みを実施して満足するのではなく、目標達成につながるかどうかを見極めるためには、課題や原因を洗い出して対処する必要があります。
キャリア・サバイバルのステップ
シャイン氏が提唱したキャリア・サバイバルのステップをもとに、具体的な方法をご紹介していきます。ぜひ、実践につなげてみてください。
1.現在の職務と役割を棚卸しする |
自分の業務や組織での役割、求められているスキルや役割を具体的に整理する。 |
キャリア・アンカーも振り返り、自身の価値観を確認する。 |
2.環境の変化を識別する |
社内外の変化に目を向け、業界や組織の状況を理解する。 |
事業変革や市場動向など、様々な変化を予測する。 |
3.環境の変化が利害関係者の期待に与える影響を評価する |
変化が関係者に及ぼす影響を考え、期待や評価の変化を整理する。 |
上司やチーム、顧客など関係者の期待を把握し、対応策を検討する。 |
4.職務と役割に対する影響を確認する |
利害関係者の変化が業務や役割にどのような影響を与えるかを確認する。 |
影響のポジティブ・ネガティブを考慮し、対処策を検討する。 |
5.職務要件を見直す |
変化した状況に適応できるよう、職務要件を見直す。 |
新たな業務やマネジメントへの転換など、将来を見据えた要件に対応する。 |
6.職務と役割の戦略的プランニング・エクササイズの輪を広げる |
新しい目標や計画を策定し、実行に移す。 |
状況に応じて柔軟にプランを修正し、戦略的に行動する。 |
まとめ
このページでは、キャリア・サバイバルについて解説してきました。
自分にとって仕事をする上で譲れない価値観を大切にしながら組織のニーズと調和し、組織で活躍していく、というキャリア・サバイバルは、現代にマッチしている考え方ではないでしょうか。
これからキャリアコンサルタントとして活躍を考えている人も、自分自身のキャリアを考えるとき、相談者の支援をするときに知っておくべきものですので、ぜひ今後の参考にしてみてください。
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