キャリアコンサルタント大辞典 Career Consultant Dictionary
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キャリアコンサルティング - 2024.09.20更新 / 2022.09.01公開
キャリアコンサルタントの年収は? 仕事内容や活躍の場についても解説
キャリアコンサルタント資格を取得しようと考えた場合、資格所得後の活躍の場や働き方の他に、どの程度の収入が見込めるかも気になるところですよね。
このページではキャリアコンサルタント年収や、キャリアコンサルタントがどのような支援を行っているのか、仕事内容や活躍の場所についてわかりやすく解説していきます。
キャリアコンサルタントの年収で一番多いのは?
キャリアコンサルタントの年収については、「第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」で報告されています。
最近1年間の税込み個人年収で最も多いのは「300~400万円」16.5%でした。続いて「400~500万」14.5%、「200~300万」13.8%、「500~600万」11.1%となっています。
独立行政法人労働政策研究・研修機構「第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」図表 2-3を参考に作成
国税庁が行う民間給与実態統計調査の最新データである2022年分では、日本人の平均給与は458万円でしたので、一般的な年収と比較しても大きな開きはないといえます。
参考)国税庁「2022年分 民間給与実態統計調査」
では、次の章からは「キャリアコンサルタント」の中でも年齢や就労状況によって違いがあるのかをみていきましょう。
年齢別にみるキャリアコンサルタントの年収
「最近1年間の税込み個人年収の年齢別特徴」をみてみると、30代、40代、50代、「200~400万円未満」が多いですが、30代では「400~600万円未満」が32.4%、50代では「800万円以上」が24.1%と高い割合である点も注目したいところです。
独立行政法人労働政策研究・研修機構「キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」図表2-16を加工して作成
主な活動の場別にみるキャリアコンサルタントの年収
「第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」から、「現在の主な活動の場(詳細)と最近 1 年間のおおよその税込み年収別のクロス集計」をみていきましょう。
転職や再就職支援などの需給調整機関、キャリア教育、キャリアセンターなどの学校・教育機関ともに「200~400万円未満」の割合が高く、ハローワークや派遣では「400万~500万未満」、企業では、社内キャリアコンサルタントとして自社内で働く場合は、「500~600万円未満」が15.0%、自社外では「300万~400万未満」が14.5%というように、平均年収よりも高い割合になっています。
また地域では、障害者の支援機関が「300万~400万未満」41.6%と全体の中でも最も高い割合となっており、生活困窮者の支援機関は「200~400万円未満」38.0%、中高年齢層の支援機関でも「200~400万円未満」25.6%、医療関係機関では「500万~600万未満」16.2%と、ばらつきがあることがわかります。
独立行政法人労働政策研究・研修機構「第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」図表4-29を参考に作成
このように、活動の場によって比較的はっきりとした傾向が出ているのには、就労状況が大きく影響しています。
就労状況別にみるキャリアコンサルタントの年収
この章では、キャリアコンサルタントとして活動する場合に一般的に多いとされる正社員、非正規社員、フリーランスの年収比較をみていきます。
「最近1年間の個人年収の現在の主な活動の就労状況所の特徴」では、非正規社員は「200~300万円未満」が28.0%と最も多いのに対し、正社員は「500~600万円未満」が14.8%、「400~500万円未満」が14.2%、そして「600~700万未満」は12.1%と比較的高い割合となっています。
非正規社員は週3日や時短勤務などの自分に合った働き方ができるため、一般的にフルタイム勤務の正社員より年収が低い傾向があります。
独立行政法人労働政策研究・研修機構「第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」図表 2-9を参考に作成
キャリアコンサルティングに関連する活動のみで生計を立てている場合の年収
では最後に、キャリアコンサルティングに関連する活動のみで生計を立てている場合の年収をみていきましょう。
「第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」から、「キャリアコンサルティングに関連する活動のみの年齢と度数(生計状態別)」をみていきましょう。
「キャリアコンサルティングだけで」生計を立てている者は「300~400万円未満」が5.4%、「400~500万円未満」が5.0%、「キャリアコンサルティングで主に」生計を立てている者は「200~300万円未満」が5.5%、次いで「300~400万円未満」が3.9%という割合になっています。
独立行政法人労働政策研究・研修機構「第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」図表3-20を参考に作成
年収は働き方によってさまざま
キャリアコンサルタントは正社員のほかに非正規やフリーランスなど働き方が多様なため、年収の実態を正確に把握することは難しい部分があります。どの職業、どの資格でも同じで、年収は「自分次第」といえるでしょう。
年齢や活動の場、就労状況別の年収をみても、柔軟な働き方ができるキャリアコンサルタントだからこそ年収に幅があることが分かります。
どの働き方においても、資格取得後もスキルアップを重ね、時代に適応したキャリアコンサルタントであることが必要です。
では、キャリアコンサルタントの年収への理解が深まったところで、次はキャリアコンサルタントの仕事について詳しくみていきましょう。
キャリアコンサルタントの仕事とは?
キャリアコンサルタントの仕事は、相談者がより良いキャリアを築けるように、職業の選択やスキルアップに向けた支援を行うことです。具体的にどのような支援を行っているのかを紹介していきます。
キャリアカウンセリング
相談者はキャリアに関するさまざまな悩みや課題を抱えています。また、置かれている環境や状況もさまざまです。そのため、キャリアコンサルタントはキャリアカウンセリングを通して、相談者一人ひとりに合った対応をしていきます。
相談者との信頼関係構築
キャリアカウンセリングでは、まず、相談者と信頼関係を築き、安心して話せる雰囲気を作ります。そのためには、相談者の話にしっかり耳を傾け、寄り添う姿勢が大切です。
このようにヒアリングをしながら、相談者の悩みや課題を把握していきます。また、相談者の興味や得意なこと、これまでの経験やスキルなども引き出すことで、これまでのキャリアの棚卸ができ、自分自身のことをより理解することができます。これは、この後の目標達成に向けた土台にもなっていきます。
情報提供
やりたい職業が見つかると、良いイメージだけが先行してしまうことがよくあります。一面だけを見ていると、実際に就職した後に「思っていたのと違う」ということが起こりがちです。そのため、一面だけでなく、多面的に見ていく必要があります。
ミスマッチの軽減
キャリアコンサルタントは、その職業ではどういう働き方、労働環境が一般的なのか、その職業に就ける企業にはどういうところがあり、どのくらいの規模なのかなどを情報提供していきます。相談者自身に調べてもらう場合もあります。事前に情報提供した上で職業を選ぶことで、就職後のミスマッチを軽減することができます。
この他、求人情報や求人の探し方、応募方法、仕事に必要なスキルを身に付けるための講座の紹介など、必要に応じてさまざまな情報提供を行います。
目標設定と目標達成のサポート
相談者が自分自身や職業について理解を深め、考えを整理していく中で、今後の目標を設定していきます。複数の目標を設定し、そこから選択してもらう場合もあります。
適切なプランの組み立て
今後の目標や方向性が決まったら、それの達成に向けて、行動計画を立てていきます。例えば、「この職業に就きたい」となったら、現在から目標達成までの行動を細分化し、「いつまでに履歴書と職務経歴書を作る」「いつまでに、応募する企業をピックアップする」といったように、行動計画を立てていきます。
相談者の目標や状況、特性により行動計画はさまざまですので、これまでのヒアリング内容を元に、適切なプランが立てられるようにサポートをしていきます。
キャリアコンサルタントの仕事の流れ
次は、どのような流れでサポートを進めているのかを紹介していきます。実際は、支援の場所、支援対象によってさまざまですが、ここでは、基本的な流れとして説明していきます。
それでは1つずつ見ていきましょう。
1.自己理解を深める
自己理解とは、自分を知ることです。趣味や特技、興味、これまでの経験、影響を受けたこと、大事にしていることなど、さまざまな面で自分を理解していきます。
例えば、「写真を撮るのが好き」だったら、「では、なぜ好きなのか」「そのきっかけは?」と深堀をしていくことで、新たな自分を発見することがあります。
キャリアコンサルタントは、カウンセリングや自己理解のためのツールを使い、相談者が自分自身をよく理解し、その結果、適切な職業選択ができるようにサポートをしていきます。
2.仕事理解を深める
自己理解の次は、仕事理解です。職業に対する先行したイメージは、意外と思い込みがあったりします。正しい情報で、あらゆる側面から仕事についての理解を深める必要があります。
どういう労働環境が一般的なのか |
土日休みか、シフト制か。サービス業なら、夜遅い時間が多いか。 |
どういう働き方が多いか |
正社員か業務委託か。毎日同じ事務所に通勤するのか、移動が多いのか。個人の業務が多いか、チームで動くことが多いのか。 |
どんな企業に就職すればやりたい職務ができるか |
その企業の規模や収入は? 求人はあるか? 難易度は? 応募方法は? |
どんなスキルが必要か |
資格取得が必須か。資格があれば有利か。入社後研修があるか。 |
など、必要な情報を相談者に提供したり、相談者自身が調べたりして仕事理解を深めていきます。そうすることで、相談者にとってより働きやすい企業に就職できたり、就職後に「思ったのと違ったため、すぐに退職」ということを防げます。
これは相談者にとってだけでなく、企業にとってもプラスで、よりマッチした人材に入社してもらえ、長期的に勤務してもらえる大きいメリットになります。
3.実体験を通し、より具体的に仕事を理解する
「啓発的経験」と言い、実際の体験を通して自己理解や仕事理解をより具体的なものにしていきます。学生のころに行った職業体験がイメージしやすいと思います。
このほか、インターンシップや職場訪問、実際に働いている人から話を聞く、などもあります。また、初めて社会に出る方だったら、ボランティア活動などを通して、「社会を知る」というのも含まれます。
このように、相談者にとってプラスになる経験ができるようにアドバイスをし、結果として自己理解や仕事理解をさらに深められるようサポートをしていきます。
4.意思を決定する
これまでの1~3を経て、相談者がこれからどう進みたいのか、何を目標とするのかを決めていきます。具体的な目標を設定することは、相談者が目標に向かって進む原動力になるため、とても重要なことです。
また、目標達成にあたって、相談者に心配な点はないか、課題は何かなども明らかにする必要があります。そして、それは解決可能か、可能であればどう行動していくかも話し合っていきます。
目標達成に向けた具体的な行動計画を決めたら、次の「実行」に移ります。
5.決定を実行する
目標の達成のために、行動計画を実行に移します。実行に移すのはもちろん相談者です。キャリアコンサルタントは、相談者の状況に応じて、プロセスをチェックしたり、場合によっては行動計画を調整したり、と適切なフォローを行います。
6.仕事へ適応する
新しい職業や業務に就いた後は、そこに適応することが大切です。相談者は、新しい職場で人間関係を作り、誠実な勤務態度で継続して職務を行っていきます。また、次に向けたステップアップも必要です。
ここでは、これまでのキャリアコンサルタントが引き続き対応する場合もありますし、新しい職場に社内キャリアコンサルタントとなる人がいる場合などは、バトンタッチをして対応していく場合もあります。
仕事の流れはさまざま
ここまでは、キャリアコンサルタントの基本的な仕事の流れを紹介しました。この流れを、学生対象に行うのか、人事として社内で行うのか、転職希望者に行うのか、さらに、相談者の状況に応じても変わってきます。そのため、まずは相談者の話に耳を傾けることが大切です。
また、この仕事の流れをどのペースで行うのか、1日何人の相談者を対応するのかも、キャリアコンサルタントによってさまざまです。キャリアコンサルタント自身も、どういう働き方が自分に合っているかを考えていきたいですね。
キャリアコンサルタントが活躍できる場所
キャリアコンサルタントが活躍できる場所は、幅広く多彩です。正社員以外にも、パートタイマーやフリーランスなど働き方もさまざまです。
企業の人事部
人事の仕事は、採用、研修、面談など多岐にわたります。企業の規模により、一人が複数の業務を担当する場合や、それぞれ担当が決まっている場合があります。
キャリアコンサルタントは、人事・労務の知識やカウンセリングスキルを持っていることから、人事の幅広い業務に活かすことができます。
面談においては、社員が悩みを抱えている場合、相手に寄り添いながらヒアリングをし、その解決に向けてサポートを行うことも期待されています。社員と会社の間に立ち、両者にとってより良い解決策を相談しながら探っていくのも重要な役目です。
人材関係の企業
人材派遣会社や人材紹介会社でも、キャリアコンサルタントは活躍しています。キャリアコンサルタントの役割は、カウンセリングを通して、登録者の経歴やスキル、今後の希望を把握することです。
そして、人材を求めている企業のニーズに合った人材を紹介します。相談者の仕事に対する意欲を見極めたり、相手の要望をキャッチするヒアリング力も求められます。
ハローワークのような公的就業支援機関
ハローワークでは、仕事を探している方に対して、求人の紹介や、無料で受けられる職業訓練の紹介などを行います。
ハローワークは、さまざまな年齢、さまざまな状況の方が利用されますので、幅広い職業の知識や対応スキルが求められます。
また、育児中の女性、障がい者、外国人などの特定の方を対象とした専用窓口を設置しているハローワークもあります。キャリアコンサルタントの中でも、専門性の高いスキルを持っている方は、それが活かせる場でもあります。
大学のキャリアセンター
大学のキャリアセンターは、学生とマンツーマンの就職相談が主な仕事です。キャリアセンターでは、キャリアカウンセリングや履歴書・エントリーシートの添削、面接指導などを行います。
また、複数の学生を対象に「キャリア」に関するセミナーを実施している大学もあり、活動内容は大学により多彩です。近年は、キャリア支援に力を入れている大学が多いのも特徴です。
独立してフリーで活躍する
フリーランスのキャリアコンサルタントとして活動するのもひとつの選択肢です。企業と契約をし、社員との面談や、経営層・管理層へ社内のキャリア形成に関するアドバイスをすることもあります。
大学のキャリアセンターと対企業の業務を掛け持ちするなど、働き方のパターンはさまざまです。
また、各業界には繁忙期があります。例えば、企業の人事は採用活動の時期が忙しいため、その期間限定の面接員として仕事が入る場合もあります。
仕事があるときに声がかかるよう、人脈を広げておくのもフリーランスで活動するポイントです。
キャリアコンサルタントになるには
キャリアコンサルタントとして仕事を開始するには、国家資格キャリアコンサルタントの取得が必要です。
国家資格キャリアコンサルタントは「名称独占」という資格です。国家試験に合格をし、キャリアコンサルタント名簿に登録をして初めて「キャリアコンサルタント」と名乗ることができます。
試験は、初心者の方でも、国が定める養成講習を修了することで受験ができます。どなたでも、国家資格を取得するチャンスがあります。
興味のある方は、こちらの記事をご覧ください。資格取得の流れをわかりやすく解説しています。
キャリアコンサルタントになるには? 資格から就職まで | リカレントcounselor |
まとめ
現在では副業を許可する企業も増えてきました。また、テレワークの普及や本社機能を地方に移す企業など、働き方や会社としての方向性も多彩になっています。
しかし、選択肢が増えることによって職業や働き方の選択が難しくなっている面もあります。キャリアコンサルタントは、こういった変化の大きい社会において、人々のキャリアをサポートする仕事です。
また、「自分にはどんな仕事が向いているのか」というのは、多くの方にとって長年の疑問だと思います。こういった疑問と向き合い、整理していくことは、やりがいのある仕事でもあります。人を支援する仕事に興味のある方は、ぜひキャリアコンサルタントを選択肢の一つにしてみてはいかがでしょうか。
Q&A
初心者から短期間で
カウンセラーやキャリアコンサルタントになるには
リカレントでは、日本を代表するキャリアカウンセリングスクール「リカレントキャリアデザインスクール」を運営しています。
「国家資格キャリアコンサルタント」を取得したい方や、初心者からキャリアカウンセラー、キャリアコンサルタントとして、キャリア支援を行ってみたい方は、ぜひ下の青いボタンからパンフレットをご請求ください。
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