キャリアコンサルタント大辞典 Career Consultant Dictionary
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キャリア - 2024.10.16更新 / 2023.02.28公開
キャリアコンサルタントにとってのキャリア形成の考え方とは? 2つの視点で解説
「キャリアコンサルタントとキャリア形成」という言葉を並べて話す場合、そこには2つの意味が生まれます。
1つは「キャリアコンサルタントとして、ほかの人のキャリア形成を考えていく」というもので、もう1つは「キャリアコンサルタントが自分自身のキャリア形成を考えていく」というものです。
どちらも非常に重要なものですから、ここではこの2つを一緒に取り上げていくこととします。
「キャリアコンサルタントとキャリア形成」には2つの意味がある
「キャリアコンサルタント」と「キャリア形成」を掛け合わせたとき、そこには2通りの意味が生まれます。
まず1つめは、「自分がキャリアコンサルタントの仕事をしており、仕事の一部としてほかの人のキャリア形成のアドバイスをしていく」というものです。
キャリアコンサルタントにとって、相談者のキャリア形成の手助けをすることは非常に重要な仕事となります。
そしてもう1つは、「キャリアコンサルタント自身が、自分のキャリア形成について考える」というものです。
相談者と自身のキャリア形成について考える
キャリアコンサルタントもまた、自分がアドバイスをする相手である相談者同様、自分自身のキャリア形成についても意識しておく必要があります。
自分自身のキャリア形成を考えることは、そのキャリアコンサルタント自身のためだけではなく、相談者のためにもなります。
また、キャリア形成に対して意欲的であることで、「キャリア形成に必要なものは何か」「どんな選択肢があるか」が見えやすくなるからです。
この記事では、はじめに「キャリアコンサルタントとして、相談者のキャリア形成の手伝いをする方法について」を、そして次に「キャリアコンサルタント自身のキャリア形成について」の解説をしていきます。
【キャリアコンサルタントとして】相談者のキャリア形成のポイント
キャリアコンサルタントにとってもっとも重要な仕事のうちのひとつが、「キャリア形成を意識する人が、より良い道に進めるようにアドバイスを行う」というものです。
これを行うためには、
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その人の性質を理解する
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明確な「目的地」を提示する
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目的地に至るまでのステップを一緒に考えていく
というステップを踏むことが重要です。
1.その人の性質を理解する
キャリアコンサルティングを受ける相談者は一人ひとり性格が異なります。そのため、相談者の経験やスキル、背景や目標も当然個人によってさまざまですので、個々に合ったサポートを行っていく必要があるといえます。
キャリアコンサルタントはまず相談者を理解するためのアプローチから始めます。そのため、「傾聴」と「質問」のスキルの両方を生かし、相談者の求めているものは何か、得意としているものは何かを聞き出していくのです。
相談者の感情に寄り添う
相談者自身も自分の強みに気づいていないケースも考えられます。特に前職での人間関係の構築に失敗や、正当な評価を得られなかったなどのネガティブな理由で退職した場合は自己評価が低くなる傾向がありますので、相談者の感情にもフォーカスするとヒントが得られるでしょう。
このように、相談者に対して寄りそいながら働きかけるカウンセラーとしての役割も、キャリアコンサルタントには求められています。
2.明確な「目的地」を提示する
どのような場合でも、目的地を明確に示すことは目的達成において非常に重要です。ステップ1で聞き出した本人の特性や強みを元に、明確な「目的地」を提示しましょう。
「目的地」を明示することでやる気を引き出すことができますし、キャリアコンサルタントもその「目的地」に沿って相談者のキャリア形成プランを立てやすくなるでしょう。
キャリアコンサルタントの役割は相談者の「サポート」
キャリアコンサルタントの役割はあくまで「サポート」「助言」です。キャリアコンサルタント自身が主導権を握るわけではありません。相談者と話し合い、目的地を「見つけ出すこと」を重要視します。
3.目的地に至るまでのステップを一緒に考えていく
目的地が見えたら、そこに至るためのステップを一緒に考えていきましょう。
このときに、キャリアコンサルタントに求められる役割として、「客観的な視点と、知識に基づいた助言を行うこと」があります。
相談者の性格や希望を聞き出すスキルはもちろん重要ですが、そのうえで、その相談者の希望は現実的なものであるか、もし現実離れしているのであればどうすれば実現可能なステップになるのかを、客観的な視点とキャリアコンサルタントとしての知識を元に考えていきます。
最新の情報にアップデートしていく
最近は世の中の移り変わりが早いといえます。働き方の多様化によって求人内容の傾向に変化があったり、技術が進んで企業が求める人物像に変化があったりと、世の中の動きに応じて企業の動きや求人内容にも変化が起こります。それにより、相談者に必要なスキルやとるべき行動にも影響がでてくるでしょう。
1~2年前の知識がすでに「昔の知識」になっている可能性は十分にあります。古い知識でアドバイスをしてしまった場合、そのアドバイスが役に立たないだけでなく、相談者に遠回りのステップを踏ませることになってしまう可能性もあります。
このためキャリアコンサルタントは、世の中の変化や新しい情報に敏感になり、自分の情報をアップデートしていくことが必要です。この努力があって初めて、相談者にとって「適切なステップアップ」の支援ができるようになるのです。
ここまでは、「キャリアコンサルタントとして、相談者にアドバイスを行う」という方向から「キャリアコンサルタントとキャリア形成」を解説してきました。次からは視点を変えて、「キャリアコンサルタント自身のキャリア形成」について解説していきます。
【キャリアコンサルタント自身】キャリアコンサルタントのキャリア形成のポイント
キャリアコンサルタント自身のキャリア形成は様々ですが、大きく分けて以下の4つを紹介します。
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支援の対象を検討する
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現現職で経験を積む
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雇用形態を検討する
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フリーランスとして働く
ひとつずつみていきましょう。
支援の対象を検討する
キャリアコンサルタントの支援の対象は幅広いです。年齢でいうと子供から高齢者までが対象です。現在はキャリア教育の重要性が高まっており、学校教育でキャリア教育が取り組まれています。キャリア教育を提供しているNPO法人などの団体もあり、子供を対象に支援をする、ということも選択肢の一つです。
また、大学に設置されているキャリアセンターで、大学生を対象にした就職支援もあります。
キャリアコンサルタントとしての目的を明確にする
社会人を対象にした支援は、「今の仕事でいいのか」「自分が何をやりたいかわからない」「将来が不安」といった漠然とした悩みに対応するケースから、転職の支援など幅広い内容になります。働く場所としては企業の人事関連部門やハローワーク、人材派遣会社が主ですが、フリーランスのキャリアコンサルタントの場合は、個人カウンセリングとして対応するケースもあるでしょう。
定年が引き上げになり、平均寿命も延びたことでより長く働く時代になりました。そのため、定年退職後もしくはそれに向けた支援という需要もあります。
このように、支援の対象とする年齢や支援内容は様々です。キャリアコンサルタント自身が、「どういった方を支援していきたいのか」「何に貢献したいのか」といった目的を明確にすることが必要です。
現職で経験を積む
キャリアコンサルタントとしてのキャリア形成の手段として、「今いる組織のなかで経験を積む」ことが挙げられます。組織内での相談業務や教育・研修、採用活動、それに関連する業務の経験を通して、キャリアコンサルタントとしてのスキルを向上させていきます。
その結果として、「出世」という形もあります。ひとつの組織に勤めていくなかで、上の立場を目指すというのも一つです。出世をすればそれだけ収入が増えることが期待できますし、働きがいも出てくるでしょう。
自分の中で、何のために経験を積むのか、という目標を明確にしておく必要があります。
また、「キャリアコンサルタント以外の仕事にも挑戦したい」「現在よりも役職のあるポジションを目指して、他の組織への転職も考えている」という人も、「今の組織での経験やその結果」が非常に重要になってきます。転職をする場合は、「元の職場でどのような経験をしてきたのか」「どのような地位についていたか」が問われるからです。
今いる場所でしっかり経験を積み、スキルを身に付ける、ということが重要です。
雇用形態を検討する
労働政策研究・研修機構が出した「キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」において、「キャリアコンサルタントとして働いている人の雇用形態はどのようなものか」の調査結果が出ています。
キャリアコンサルタントの就労状況
労働政策研究・研修機構 労働政策研究報告書2018 図表2-7を加工して作成
これによれば、正社員は約39%、非正規社員は約29%、フリーランス・自営は約17%と雇用形態は様々です。現在は非正規社員ですが、経済的な安定を考慮して正社員を目指すケースもあります。
また、現在は正社員で人事業務をしているが、幅広いキャリアコンサルタントの活動をするために非正規社員となり、自由に動ける時間を確保しよう、と考えるケースもあるでしょう。
正解・不正解はないため、キャリアコンサルタント自身が「自分はどうなりたいか」「どのようにキャリアを作っていきたいか」を考え、自身のキャリアデザインをすることが必要です。
フリーランスとして働く
「組織に縛られず、自分の理想とするコンサルティングを行いたい」と考えるのであれば、独立してフリーランスとして働くことを選んでもよいでしょう。
フリーランスのメリットとデメリット
フリーランスで活躍する場合は、企業に雇用されるという立場ではないため、通勤時間や勤務時間、業務内容などに柔軟性が出てきます。デメリットとしては、柔軟な働き方ができるということは、営業活動から経理などの事務処理まで、自分で行うということです。
フリーランスのキャリアコンサルタントは、自分の名前で勝負することになるため、組織での活動とは大きく異なります。そのため、独立を考えているのであれば、フリーランスのメリットとデメリットをしっかりと把握することが重要になってきます。
キャリアコンサルタントの独立については、こちらの記事で詳しく解説をしています。
キャリアコンサルタントとして独立するためには? 課題やメリットを解説 | リカレントcounselor |
まとめ
「キャリアコンサルタントとキャリア形成」の言葉は、「アドバイザーとしてのキャリアコンサルタント」と「一個人としてのキャリアコンサルタント」のどちらに焦点をあてるかで、意味がまったく変わってきます。
仕事に夢中になると自分自身を振り返ることを忘れてしまいがちですが、キャリアコンサルタント自身も自分のキャリア形成を考え、よりよいキャリアを歩んでいきたいですね。
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