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キャリアコンサルタント資格 - 2024.10.30更新 / 2024.08.06公開
成長や改善を阻む「コンプレイセンシー」とは何か? 簡単に解説
現状に満足し、変化や改善を望まない状態を指す「コンプレイセンシー」。社会、ビジネス、個人の生活の中など、あらゆる場面に「コンプレイセンシー」と呼ばれる状態が存在しています。
このページでは、人や組織の成長を阻む「コンプレイセンシー」とは何かを、具体例を交えて解説していきます。
コンプレイセンシー(complacency)とは
「コンプレイセンシー(complacency)」は、直訳すると「自己満足」「独りよがり」という意味で、現状に満足し、変化や改善を望まない状態を指す言葉として用いられます。
日本ではまだ耳なじみがありませんが、英語圏ではビジネス、政治、心理学などの学問の分野で広く使用されている言葉です。
使い方の例としては、現状に満足し変化を求めない組織文化に対し、「コンプレイセンシーを打破したい」などがあります。
様々な領域・シーンで使われるコンプレイセンシー
コンプレイセンシーは様々な領域で使用されています。この章では、その中でも代表的なものを紹介します。
マーケティング
マーケティングにおいては、消費者・ユーザーが既存の商品やサービスに満足しており、新しいものに手を伸ばさない状態を「コンプレイセンシー」と表現することがあります。
政治
政治への評価において「革新的なことをしない」といったネガティブなニュアンスで「コンプレイセンシー」が用いられます。英語ではよく使用される表現です。
健康への意識と改善の取り組み
自身の健康を気にする一方で、改善のための具体的なアクションを起こさないということも多々あります。「今のところ問題は起きていないから大丈夫だろう」という意識は、「コンプレイセンシー」の状態であるといえます。
勉強など自身を成長させる行動
何か勉強に取り組もうと思ったけれど実際のアクションにつながらなかった、ということは良くありますが、これは「やらなくても現状を維持できる」という「コンプレイセンシー」が働いているといえるでしょう。
コンプレイセンシーは身近なところに潜んでいるものです。意識してみると、生活の中にも「これってコンプレイセンシーかも?」という発見があるかもしれません。
コンプレイセンシーが注目される理由
「コンプレイセンシー」は日本では馴染みがない言葉であると述べましたが、様々な領域の課題解決の糸口となるものであるため、徐々に注目されつつあります。
日本で「コンプレイセンシー」が注目される理由は次の通りです。
コンプレイセンシーは変革と成長を妨げる
コンプレイセンシーは変革と成長を妨げるものであるため、個人や組織・社会に悪影響を及ぼします。
しかし、「変化や成長は必要なのか?」と疑問を持たれる方もいるかもしれません。近年は、グローバル化による企業間競争の激化、労働人口不足、技術革新など、多くの変化が生じる難しい時代です。VUCA時代という言葉に代表されるように、これからも予測不可能な変化が生じる可能性が高いです。
このような時代の中では、1つのあり方で居続けるといったスタイルは通用しないでしょう。自身や組織が置かれる状況、課題を見極め、柔軟に対応する姿勢が求められます。
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周囲にまん延しやすい
コンプレイセンシーが問題視される理由として、周囲にまん延しやすい性質が挙げられます。例えば企業の中で、ある部署やチーム内でのコンプレイセンシーが、悪い文化として全社にまん延していくということがあります。「誰もやっていないからやらなくていい」「誰かが困るわけじゃないからやらない」という考えが浸透していってしまうのです。
こうなると、結果的にコンプレイセンシーにより、「新しいことをしよう」「高いパフォーマンスを出そう」と考える人材が減ってしまい、組織としての力も弱まることが予想されます。
問題が表面化しにくい
コンプレイセンシーの厄介な性質として、表面化しにくいということがあります。上記のように、組織規模での問題に発展するまで見えにくいというものがあります。このような背景から、コンプレイセンシーはビジネスにおいて「サイレントキラー」と表現されることもあります。
把握しづらい問題だからこそ、事前にリスクを知り対処することが重要なのです。
コンプレイセンシーから脱却するためには
今あるコンプレイセンシーの対策には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、コンプレイセンシーから脱却するための対策をみていきましょう。
自分ごととして取り組む重要性を知ってもらう
物事を自分ごととして認識すると、課題を真摯に受け止め、改善のために何ができるかアクションを起こしやすくなります。
企業であれば、研修やセミナーといった機会を通して、従業員と企業で課題を共有化する取り組みが有効でしょう。経営陣、マネジメント職、従業員という、組織内での共有も重要です。
前向きな取り組みを評価する仕組みをつくる
コンプレイセンシーから脱却するためには、現状維持に留まらない仕組みづくりも重要です。新しいアイデアを出した人を評価する制度、変化・改善を前提とした目標設定をするなど、人事評価制度に組み込むことで、具体的な取り組みにつなげやすくなります。
また、経営陣やマネジメントサイドが自ら前向きな姿勢をアピールすることも重要です。
現状の危機を伝え受け止めてもらうことも重要
コンプレイセンシーは「現状に困ってないから大丈夫」という考えが引き起こす問題です。
特に、組織内にコンプレイセンシーがまん延している状況では、従業員が危機感を持つこと自体が難しいといえるでしょう。
こういった状況の場合はまず、危機感を煽るのではなく、課題の共有や打ち出す対策を示していくことが大切ですが、従業員が不安にならぬよう、現状把握の手順をしっかりと踏んで伝えることが、大きなポイントとなります。
まとめ
このページでは、人や組織の成長を阻む「コンプレイセンシー」とは何か、について解説しました。
仕事や私生活の中のコンプレイセンシーを発見し対処することで、新たな成長が望めます。ぜひ、このページを参考に課題を発見してみてください。
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