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キャリアコンサルタント資格 - 2024.10.10更新 / 2022.10.21公開

【5分で分かる】キャリアコンサルタントの試験内容や実施団体での違いを紹介

キャリアコンサルタントの試験には学科試験と実技試験があります。実技試験は、受験者がキャリアコンサルタント役になる「ロールプレイ」があり、初心者のかたにとっては未知の世界で不安があるかもしれません。

このページではこれからキャリアコンサルタントを目指すかたに向けて、試験内容を解説します。全体像を把握することで、学習の進め方がわかり効率的に学ぶことができます。ぜひ参考にしてみてください。

キャリアコンサルタントの試験内容

まずは、キャリアコンサルタントの試験科目とそれぞれの試験内容を紹介します。

キャリアコンサルタントの試験科目

キャリアコンサルタントの試験科目は以下のとおりです。

職業能力開発促進法その他関係法令に関する科目
キャリアコンサルティングの 理論に関する科目
実務に関する科目
社会的意義に関する科目
キャリアコンサルタントの倫理と行動に関する科目

引用:厚生労働省 キャリアコンサルタントになりたい方へ

少しイメージがしにくいかもしれませんが、「キャリアコンサルタントとして必要となる基本的な知識やスキル」が総合的に出題されると捉えるとよいでしょう。

より詳細な科目は各団体のWebページで掲載しています。
日本キャリア開発協会(JCDA)
キャリアコンサルティング協議会

キャリアコンサルタントの試験内容で特徴的なのは、「ロールプレイ」の試験がある点です。

「ロールプレイ」の試験は、試験官が相談者役、受験者がキャリアコンサルタント役となり、実際にキャリアコンサルティングを行います。

そのため、理論の暗記だけではなく、カウンセリングの基礎知識や技法を習得しておくことが必要です。

学科試験の試験内容

それでは、学科試験の試験内容をみていきましょう。

学科試験は4択のマークシート形式で行い、問題数は50問で35問以上の正答で合格です。

学科試験は、キャリアコンサルティングの役割といった概念の部分から、カウンセリングの知識や技法、メンタルヘルス、キャリア教育、労働市場、社会保障制度、企業での支援まで幅広く出題されます。

つまり、若年層からシニアまでの幅広い方を支援するにあたり、必要となる知識やスキルが問われることになります。

このように出題範囲は広いため、過去問を使用して計画的に学んでいくことが効果的です。

実技試験の試験内容

次に、実技試験の試験内容をみていきます。

実技試験は、「論述試験」と「面接試験」の2つに分かれていて、面接試験にはさらにロールプレイと口頭試問があります。カウンセリングの知識や技法を頭で理解するだけでなく、実際に習得しているかを問われる試験です。

論述試験の内容

「論述試験」は、キャリアコンサルティングでのやり取りを記録した文章を読み、キャリアコンサルタントとして相談者をどのように支援するのかを文章で解答する試験です。

例えば…

都内勤務、社会人3年目のAさんからの相談
理系の大学を卒業し、研究職として入社したが、営業部への異動が命じられた。研究職にはやりがいを感じていたため、思ってもいなかった異動に動揺している。希望していない営業をやるのだったら転職をしたほうがいいのか、と悩んでいる。

 

事務としてアルバイトをしているBさんからの相談
長くアルバイトをしている会社から正社員にならないかと誘いがあった。悪い話ではないように聞こえるが、正社員の話を受けるかどうか悩んでいる。

 
こういった、様々な相談に対して、「相談者の一番の悩みは何か」「キャリアコンサルタントとしてどのように対応するか」といった問題が出題されます。相談者の状況や発言などからヒントを得て解答をしていく試験になります。

面接試験の内容

面接試験」のロールプレイでは、キャリアコンサルタント役である受験者が、相談者役を相手に「キャリアコンサルティングを15分行います。

この試験は「初回の面談」という設定のため、相談者と信頼関係を築き、相談者が話しやすい雰囲気をつくりながら面談をする、ということにも意識をする必要があります。

論述試験と同様に、相談者役の設定は様々です。どういう相談者や相談にも柔軟に対応できるように、ロールプレイを繰り返し行い訓練をしておくことが必要です。

ロールプレイの後は「口頭試問」です。「口頭試問」では、試験官の質問に対して自分のコンサルティングの良かった点や改善点を答え、振り返りを行います。

学科試験と論述試験は同日に実施され、その約1〜2週間後に面接試験が行われます。実技試験は、論述試験と面接試験の両方で必要な点数を獲得することで「実技試験合格」になります。

試験実施団体によって試験内容は違うのか?

キャリアコンサルタント試験は以下の2団体で実施されています。

  1. キャリアコンサルティング協議会

  2. 日本キャリア開発協会

各団体によって試験内容や評価のポイントが若干異なります。それぞれの違いを把握し、どちらで受験するかを考えてみてください。

〈論述試験〉試験内容の違い

各団体で共通しているのは、キャリアコンサルティングの記録を読んだうえで解答していくという点です。しかし、各団体で求められる部分が異なります。

キャリアコンサルティング協議会は、キャリアコンサルティングの記録を読み、「このキャリアコンサルタントはどう考えたのか」「自分ならどう対応するか」といった観点での解答が求められます。

一方日本キャリア開発協会は、「この相談者にとってどのように相談を進めるのが適切か」という観点での解答が求められます。

論述試験は各団体によって問題の出し方や設問に違いがあるので、過去問題で学んでおくのがおすすめです。

〈面接試験〉試験内容の違い

面接試験はロールプレイ後の口頭試問に特徴があります。各団体とも以下のような質問が多いとされています。

  1. ロールプレイでできたことやできなかったこと

  2. 相談者が一番相談したかった内容

  3. キャリアコンサルタントが考える相談者の問題点

  4. 今後の展開、相談者をどのように支援するか

日本キャリア開発協会では、キャリアコンサルタントの資格をこれからどう活かしたいか、といった質問をされることもあるようです。また、これ以外の質問をされるケースもありますので、複数の質問を想定した解答の引き出しを用意しておくと安心です。

面接試験の「評価区分」の違い

各団体の面接試験の評価区分は以下のとおりです。

評価は15分間のロールプレイと5分間の口頭試問の内容によって判断され、それぞれA〜Cのランクで判定されます。

キャリアコンサルティング協議会は、ロールプレイでの受験者の「態度」が相談者と信頼関係を築く上で適切で、それによって相談者の課題をより正しく把握でき、より良い相談の流れ(「展開」)ができていることが評価されます。

また、このロールプレイを受験者自身が客観的に把握して「自己評価」できていることも求められています。

日本キャリア開発協会も同様ですが、相談者の状況や何に問題を感じているのかなどに丁寧に耳を傾けて聴く(傾聴)ことが求められているようです。

試験実施団体別の合格率はこちらのページで解説をしてます。第1回から第20回の合格率も掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
 

あわせて読みたい

【合格率を3分で解説】国家資格キャリアコンサルタントの最新動向 | リカレントcounselor

 

キャリアコンサルタントには受験資格が必要

キャリアコンサルタント試験の受験資格は以下の通りです。

  1. 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者(講習カリキュラムは別表に記載)

  2. 労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する者

  3. 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者

いずれか1つを満たすことで、キャリアコンサルタント試験の受験が可能です。これだけ読んでも「いまいちよくわからない」と感じる方もいると思いますが、「キャリアコンサルタントの仕事の経験がない」という方は全員「1」の受験資格になります。

それでは、それぞれの受験資格についてみていきます。

認定講習を受けた方

1つめの「厚生労働大臣が認定する講習の過程を修了した方」というのは、厚生労働大臣が指定する講習を受講し、修了することでキャリアコンサルタントの受験資格を得られるというものです。

厚生労働省が指定している講習の受講時間は150時間以上です。スクールやクラスにより異なりますが、仮に週1回の通学で150時間を受講する場合は以下のようになります。

これ以外にパターンはありますが、3〜6ヶ月で修了することができます。

150時間すべてを通学して受講するクラスや、半分を通信、半分を通学で学習するクラスもあります。また、土曜日か日曜日、平日昼や平日午前中、平日夜などスクールによって様々なクラス設定があり、オンラインで受講できるものもありますので、働きながら資格を取得したい方や家事や育児などで忙しい方でも受講できます。

認定講習は厚生労働省の「キャリアコンサルタント講習検索サイト」で探すことができます。

実務経験3年以上の方

実務経験とは、「労働者を支援」した経験を指します。ここでいう労働者は、必ずしも働いている人だけではなく現在仕事を探している人も含まれます。そして相談の内容が、職業選択や職業能力に関するキャリアプランについてであることが条件です。

そのため、ハローワークでの相談業務の経験や、大学や専門学校などの教育機関で相談業務を行った経験は該当します。

キャリアコンサルティング技能検定の試験に合格した方

キャリアコンサルティング技能検定とは、キャリアコンサルティングの知識や技能を測るための国家検定で、国家資格キャリアコンサルタントの上位レベルとされています。

1級と2級があり、2級はキャリアコンサルティングの技能が熟練レベル、1級は指導レベルになります。

国家資格キャリアコンサルタントに合格した方が目指すケースが多いですが、受験資格を満たしていればキャリアコンサルティング技能検定から受験することも可能です。

そのため、キャリアコンサルティング技能検定にも学科試験と実技試験があり、このどちらかに合格しているかたは、国家資格キャリアコンサルタントの受験資格を持っていることになります。

なお、キャリアコンサルティング技能検定の受験には実務経験が必要です。

国家資格キャリアコンサルタント資格の難易度や合格基準については、こちらの記事で詳しく解説をしています。
 

あわせて読みたい

キャリアコンサルタント資格の難易度は? 合格基準や学習期間を解説 | リカレントcounselor

 

まとめ

キャリアコンサルタントの試験内容は、幅広い年齢の方の支援をするにあたって必要になる知識やスキルが問われるものになっています。試験は学科試験と実技試験があり、実技試験は論述と面接を実施します。そして面接試験は、ロールプレイと口頭試問で構成されています。

キャリアコンサルタントは人の支援をするため、理論を頭で理解するだけではなく、実技として落とし込めているかも問われる試験内容になっています。

人の支援に興味のある方、人を支援する仕事に就きたい方はぜひ挑戦してみてください。今回の内容がキャリアコンサルタントを目指す方にとって参考になれば幸いです。

Q&A

国家資格キャリアコンサルタントの試験内容はどういうものですか?
若年層からシニア層までの幅広い方を対象にキャリア形成支援するために必要な知識とスキルが問われる内容になっています。学科試験と実技試験があり、実技試験にはキャリアコンサルティングのロールプレイも含まれます。そのため、暗記だけの試験ではなく、実技として身についているかが問われる内容になっています。
国家資格キャリアコンサルタントの試験区分には何かありますか?
学科試験と実技試験があります。学科試験はマークシートの試験です。実技試験は、論述試験と面接試験に分かれていて、論述試験は記述式の問題が出題されます。面接試験は、ロールプレイと口頭試問というものがあり、ロールプレイは実際のキャリアコンサルティングを想定した演習を、口頭試問は試験官からの質問に答える内容になっています。
国家資格キャリアコンサルタントの面接試験はどのように評価されますか?
国家資格キャリアコンサルタントは2つの試験実施団体があり、それぞれで評価項目が設定されています。1つ目の「キャリアコンサルティング協議会」は「態度」「展開」「自己評価」で評価されます。もうひとつの「日本キャリア開発協会」は「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」で評価されます。
キャリアコンサルタント試験は、受験する実施団体によって合格率に差がありますか?
過去の合格率を比較しても、大幅な差がある回はありません。試験内容については各団体によって違いがありますので、比較をしてみるとよいでしょう。なお、試験を受ける団体は自身で決めることができます。

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