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キャリア - 2024.11.18更新 / 2023.11.09公開

「コーピング」とは何か? ストレスへの具体的な対応方法とは職場におけるストレス対策

人はいつの時代も、どのような状況下でも、「ストレス」とまったくの無縁でいることはできません。そのため昔から「ストレス」に関する研究と、それに対する対策が講じられてきました。

今回はその中から「コーピング」という言葉を取り上げ、解説していきます。

コーピングとは「ストレスに対応する行動」のこと

「コーピング」は「ストレスコーピング」とも呼ばれ、「ストレスへの対処行動である」と定義づけられています。

「コーピング」と「ストレス解消」は、両方とも「ストレス」という難題に対して立ち向かうことを目的としていますが、ストレス解消は「ストレスが発生した後」の対処を指すのに対して、「コーピング」はストレスの原因そのものを取り除いたり、「何をもってストレスとするか」の自分自身の考えを変えたりといった、より幅広いアプローチをとることを指すという違いがあります。

コーピングの種類について

さて、このようにして作り上げられた「コーピング」は、大きく5つの種類に分けられます。

 

  1. 社会的支援探索型コーピング

  2. 情動焦点型コーピング

  3. 気晴らし型コーピング

  4. 認知的再評価型コーピング

  5. 問題焦点型コーピング

 
それぞれ見ていきましょう。

1.社会的支援探索型コーピング

「社会的支援探索型コーピング」とは、文字通り、社会的な支援を得ることでストレスにアプローチしていこうとする方法です。

社会的支援探索型コーピングにおいては、「悩みやストレスは、人に話し、人に頼り、場合によってはその人の助力や助言を得ることで、物事が改善されることがある」と考えられています。

具体的な「社会的支援探索型コーピング」の例については後述しますが、「仕事で〇〇の段階でつまずいている。調べているのに、答えが見つからない」などのような悩みは、この社会的支援探索型コーピングを利用して、より詳しい従業員に頼ることで解決しやすくなるでしょう。

2.情動焦点型コーピング

「情動焦点型コーピング」は、先に挙げた「社会的支援探索型コーピング」と一定の類似性を持っています。

しかし、情動焦点型コーピングの場合は、相談する相手が「問題の解決に役立ってくれる人」「問題の解決方法の模索を第一の目的にし、その最適な相手である人」であるかどうかはそれほど重要視しません。

「言葉や対話によって、自分のストレスを緩和すること」を目的とするものですから、その対象は古い友人や家族、信頼できる専門家などになる場合が多いでしょう。

もちろん、情動焦点型コーピングとその他のコーピングは明確に分けられるものではありません。 そのため、情動焦点型コーピングのつもりで切り出したことが、結果的には社会的視点探索型コーピングとリンクすることになった、などのようなことも起こり得ます。

3.気晴らし型コーピング

「ストレスを解消する方法」「ストレスをコントロールする方法」と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは、恐らくここで紹介する「気晴らし型コーピング」でしょう。

「『ストレス解消』と『コーピング』は厳密には違いがある」と前述しましたが、気晴らし型コーピングはこの「ストレス解消」とほぼイコールとして扱われます。

気晴らし型コーピングは、 ストレスそのものに働きかけるのではなく、「今現在、自分が楽しいと思うこと」を行うことで、ストレスを発散させるという考え方です。

気晴らし型コーピングは、時に人との関わりを持ちますが、「人との関わりがなくても行える方法である」という点で、情動焦点型コーピングや社会的思念探索型コーピングとは異なり、主に「身体面」からのアプローチをとるのが特徴と言えるでしょう。

気晴らし型コーピングの代表例

たとえば、「気晴らしに歌いたい」「気晴らしに散歩にでも行くか」「気晴らしに打ちっぱなしに行くか」などのように、カラオケで大きな声を出したり、登山をしたり、好きなスポーツに打ち込んだり、といったものが気晴らし型コーピングの代表例です。

「身体面からのアプローチをとる」と言っても、身体を動かすことだけではなく、一人静かに映画を見たり、料理が好きな人が料理に取り込んだり、お酒を飲んだりするのもまた、気晴らし型コーピングに分類されます。

なお、飲酒に関しては、お酒だけがストレス解消方法の手段となった場合、アルコール依存症などの問題につながる恐れがあるため注意が必要です。

喫煙なども同様で、ストレス発散のために行っていたことが、実は新たなストレスを招いていたという事も考えられるのです。依存性の高い嗜好品に関しては、適切な量を心がけることが重要です。

4.認知的再評価型コーピング

ここまで紹介してきた「社会的支援探索型コーピング」も「情動焦点型コーピング」も「気晴らし型コーピング」も、「ストレスを受けた後にどのような行動をとれば、そのストレスを発散・解消できるか」について焦点を当てたものです。

認知的再評価型コーピングでは、「ストレスをかけてくるもの(ストレッサー)に対する認知を変えることで、ストレスを受けないようにしよう」とする方法です。

たとえば職場の直属の上司が細かいことばかり言ってくるのであれば、「この人がチェックしてくれた書類は、そういえば上層部に通したときに必ず1回で合格しているな」など、その人の良い面を探してみましょう。

また仕事自体が苦痛であれば、それをゲームのようにとらえて「ここまでクリアすればレベルアップする」などのように考えるのも効果的です。

 

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問題焦点型コーピング

最後に紹介する「問題焦点型コーピング」は、「ストレッサーから身を遠ざけよう」とする方法です。

たとえば、「隣人が毎日騒音を立てている。直接苦情を言いに行っても、管理会社から言ってもらってもダメ」という場合は、耐え続けるよりは引っ越しの検討など、行動を起こしたほうがよいでしょう。

職場の人間関係に悩み、業務にも支障が出ているのであれば、社内外の相談窓口の利用や転属願いを出すなどの対策を取ることも方法のひとつです。ストレッサーから距離を置くことで、解決の糸口が見つかる場合もあります。

企業ができるコーピングとは

上記を踏まえたうえで、ここからは「企業ができるコーピングはどのようなものか」について解説していきます。

企業側ができる一般的なコーピングとして、
 

  1. 相談窓口の設置「社会的支援探索型コーピング」

  2. イベント交流「認知的再評価型コーピング」

  3. 業務体制を根本から見直す「問題焦点型コーピング」

 
があります。ひとつずつ見ていきましょう。

相談窓口の設置 「社会的支援探索型コーピング」

社内に相談窓口を設置することで、従業員が悩みを相談できる体制を整えます。相談対応を行う人員は社内外に関わらず、個人情報の取り扱いには注意が必要です。

寄せられた相談内容を、みだりに周りに吹聴することは厳禁とし、「相談者が、相談を原因として不利益を被らないようにすること」に十分に気を付けなければなりません。

イベント交流「認知的再評価型コーピング」

「相手の新たな面を知ることで、相手への印象が変化し、最終的に仕事もやりやすくなる」という感覚は、今まで多くの人が抱いてきたものです。

しかしこの「認知的再評価型コーピング」は、自分一人で行おうとしてもなかなかうまくはいきません。

そこで企業側が、バーベキュー大会や運動会などを積極的に行い、「仕事をしている上司/同僚/部下」以外の顔を共有できるように取り計らうとよいでしょう。

会社ぐるみのイベントを「面倒だ」と考える人もいますし、100パーセントの出席率を保つことは難しいといえますが、企業としてこのような働きかけを検討するのもひとつでしょう。

業務体制を根本から見直す「問題焦点型コーピング」

「特定部署において、適正範囲を大きく超えた仕事量が課せられている」「ハラスメントの話が聞こえてくる」「優秀な人材ではあるが、周囲と感覚が合わず非常に悩んでいる」などの状況のときは、企業側は「問題焦点型コーピング」として根本的な問題解決に取り組むべきでしょう。

特定部署の従業員が残業で悩んでいるようであれば、スケジュール調整や人員の増員を考えるべきですし、ハラスメントなどの問題行動を繰り返している従業員がいるようであれば処遇を考えなければなりません。

優秀な人材ではあるが、人間関係でストレスをためやすい従業員がいるのであれば、配置転換も視野に入れていくことが求められます。

この「問題焦点型コーピング」は、単純に「ストレスのコントロール方法」にとどまるのではなく、労働問題にも関わってくるため、特に慎重に判断すべきです。

個人ができる3つのコーピング

ここからは、「個人ができる方法」について

 

  1. 相談する

  2. 余暇を楽しむ

  3. 休職を検討する

 
の3つの観点からお話していきます、

相談する「社会的支援探索型コーピング」または「情動焦点型コーピング」

「古い友人に、愚痴のようなかたちで話をする」という場合は「情動焦点型コーピング」に分類されます。このような相手に話をすることで、感情や悩みに対する共感を得ることができ、自分の感情を整理し心の安定につながることが期待できます。

一方、「人事権やスケジュール管理に権限のある上司に相談する」という場合は「社会的支援探索型コーピング」に該当します。上司に相談することで、具体的な問題に対してアドバイスや支援を受けることができ、より実質的な解決策を見つけることが期待できます。

余暇を楽しむ「気晴らし型コーピング」

「まだ余暇を楽しめるだけの精神的な余裕がある」ということであれば、余暇を楽しむ「気晴らし型コーピング」を選択するのも大変有効です。

これは基本的には仕事の公休日に行われることが多いものですが、あえて有休をとり、だれとも会わずに一人の趣味に没頭してみるのもいいかもしれません。

休職を検討する「問題焦点型コーピング」

「非常に追い詰められていて、月曜日が来るたびに憂うつになる」

「気晴らしをしようとしても気力がわかない」

このような状態が続いたり、精神的につらい状態の時は、休職を視野に入れてもるのもひとつの方法です。

「問題焦点型コーピング」は行動に移すことで、ストレッサーとの距離を取る事が可能になります。休職という手段に踏み切ることで、ストレスによるメンタル不調の回復や、焦らず今後を考える時間を確保することができます。

 

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まとめ

ストレス社会の現代において、ストレスにどう対応するかはとても大きなテーマです。 そのなかで生まれた「コーピング」は、企業側にとっても個人側にとっても非常に重要なものとなっています。

自分自身や各組織に合ったコーピングを見つけ、柔軟に対処しながら、よりよい生活やキャリアを重ねていきたいですね。

Q&A

コーピングとはなんですか?
コーピングとは、「ストレスへの対処行動」を指し、「ストレスコーピング」とも呼ばれています。
コーピングにはどのような種類がありますか?
コーピングは大まかに、「社会的支援探索型」、「情動焦点型コーピング」、「気晴らし型コーピング」、「認知的再評価型コーピング」、「問題焦点型コーピング」の5つの種類に分けられます。
コーピングを失敗することはあるのでしょうか
コーピングは、「やってみたが失敗した」となることもある方法です。しかしその失敗にとらわれすぎる必要はなく、「そのほかの方法」を柔軟に考えていくことが重要です。
個人ができるコーピングは?
個人でできる主なコーピングは、相談する「社会的支援探索型コーピング」または「情動焦点型コーピング」、、余暇を楽しむ「気晴らし型コーピング」、そして休職を検討する「問題焦点型コーピング」などが挙げられます。

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