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キャリアコンサルタント資格 - 2024.11.06更新 / 2022.04.11公開
【何が違う?】国家資格キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティング技能士
キャリアコンサルタントについて調べると、「国家資格キャリアコンサルタント」や「キャリアコンサルティング技能士」というワードを良く目にします。
名前が少し違いますが、何が違うのか。どちらの情報を見ればいいのか。これからキャリアコンサルタントを目指そうとしている方にとっては、少々分かりにくいと思います。
このページでは、国家資格キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティング技能士の違いを解説していきます。
キャリアコンサルタントとは
国家資格キャリアコンサルタント試験に合格し、登録をすることで「キャリアコンサルタント」と名乗ることができます。
キャリアコンサルティング技能士とは
国家検定キャリアコンサルティング技能検定に合格をすると、「キャリアコンサルティング技能士」という称号が付与されます。
【3種類】資格で見る違い
まずは、国家資格キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティング技能検定の資格で違いを見ていきます。
国家資格と国家検定
国家資格キャリアコンサルタントは「国家資格」、キャリアコンサルティング技能検定は「国家検定」です。名前は似ていますが、目的が違います。
国家資格とは
国家資格は、法律に基づいて個人の能力や知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格です。
たとえば、弁護士や医師は「業務独占」という国家資格です。資格を持っている人だけが独占的に業務を行える資格ということです。いくら法律に詳しくても、弁護士の資格を持っていないと弁護士の業務を行うことはできません。
国家資格キャリアコンサルタントとは
国家資格キャリアコンサルタントは「名称独占」という国家資格。試験に合格をし、国家資格への登録をすることで「キャリアコンサルタント」と名乗ることができます。資格なしで名乗ると処罰の対象になります。
また、国家資格キャリアコンサルタントは法的に「守秘義務」があります。相談者の個人情報や、業務で得た情報などを守ることが義務付けられています。こちらも、違反した場合は処罰の対象です。
国家資格キャリアコンサルタントは5年ごとに更新が必要
国家資格キャリアコンサルタントは5年ごとに更新が必要で、決められた時間数の講習を定期的に受ける必要があります。
このように、国家資格キャリアコンサルタントは法律にのっとって業務を行い、技術や知識を維持していることを証明できる資格といえます。
国家検定とは
国家検定は技能検定とも言います。業務を行う上で必要な知識や技能の習得レベルを評価する制度です。
キャリアコンサルティング技能検定とは
キャリアコンサルティング技能検定は、高いレべルのキャリアコンサルティングの技能や知識を身につけていることを証明する資格です。
「キャリアコンサルティング技能検定」に合格した方を「キャリアコンサルティング技能士」といいます。
2つの資格は目的が違う
国家資格キャリアコンサルタントは法律によって一定の社会的地位が明確になっているため、社会的な信頼性が高いと言えます。キャリアコンサルタントとして業務を行う上で土台となる資格です。
その上で、高いレベルのキャリアコンサルティングのスキルを証明するのがキャリアコンサルティング技能検定です。キャリアコンサルタントの実務経験を積んでいる方は、その証明として目指したい資格です。
このように、国家資格キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティング技能士では、それぞれの資格の目的が異なるといえます。
レベルの違い
キャリアコンサルティング技能士には2級と1級があり、国家資格キャリアコンサルタントの上位レベルになります。
国家資格キャリアコンサルタント
国家資格キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルタントの業務を行うにあたり土台となる資格です。
同一職種への転職希望者など、典型的な相談者に対して、安定して対応が出来るレベルになります。また、相談者が安心して相談ができる、というのもポイントです。
「熟練レべル」キャリアコンサルティング技能士2級
キャリアコンサルティング技能士2級は「熟練レベル」になります。
具体的には、キャリアコンサルティングの豊富な経験があり、在職者・求職者だけでなく学生を含めた幅広い相談者に対して、厚みと広がりのある支援ができるレベルです。
また、キャリアチェンジ希望者やメンタルの不調をお持ちで、他の専門機関での支援が必要な方など、課題を抱える相談者への熟練の対応も求められます。
「指導レベル」キャリアコンサルティング技能士1級
キャリアコンサルティング技能士1級は「指導レベル」になります。
1つ以上の専門領域を持ち、それ以外の領域でも一定以上の支援ができるレベルです。複合的で困難な課題のある相談者の対応だけでなく、これを通しての好事例開発も含まれます。
また、他のキャリアコンサルタントに対して指導ができ、教材等の開発、キャリアコンサルタントの活動全般にリーダーシップを発揮することも求められています。
なお、キャリアコンサルティング技能士2級と1級は、国家資格キャリアコンサルタント養成講習や更新講習などの講師としての活動も期待されています。
出典:厚生労働省Webページ「キャリアコンサルタントの能力要件の見直し」
合格率の違い
それぞれの資格は合格率が異なります。直近2回分の合格率を見てみます。
国家資格キャリアコンサルタント
学科試験 | 実技試験 | |
第25回 | 63.7% | 66.5% |
第26回 | 65.5% | 62.2% |
キャリアコンサルティング技能検定2級
学科試験 | 実技試験 | |
第30回 | 58.18% | 17.72% |
第31回 | 74.05% | 15.14% |
キャリアコンサルティング技能検定1級
学科試験 | 実技試験 | |
第12回 | 38.86% | 6.77% |
第13回 | 35.66% | 8.97% |
2級の学科試験については、第30回と第31回で大きな開きがあります。第30回がかなり低く、第31回はその反動か、高い合格率となりました。
学科試験については、どの資格もしっかり勉強をすればある程度合格できることがわかります。実技試験では、資格のレべル順で難易度に大きな差があります。次は、それぞれの試験内容を見ていきます。
試験形式の違い
試験の構成は3つとも同じで、学科試験、実技論述試験、実技面接試験からなります。
学科試験
出題形式 | 試験時間 | |
キャリコン | 四肢択一のマークシート 50問 | 100分 |
2級 | 四肢択一のマークシート 50問 | 100分 |
1級 | 五肢択一のマークシート 50問 | 100分 |
※以下のように短縮表記しています
キャリコン→国家資格キャリアコンサルタント
2級→キャリアコンサルティング技能検定2級
1級→キャリアコンサルティング技能検定1級
3つともマークシートであることは共通です。キャリコンと2級は共通の「四肢択一」で、1級のみ「五肢択一」の試験です。
実技論述試験
出題形式 | 試験時間 | |
キャリコン | 記述式解答 1ケース (事例記録を読み、設問に解答する) |
50分 |
2級 | 記述式による解答 1ケース | 60分 |
1級 | 記述式による解答 2ケース | 120分 |
実技論述試験は、3つの試験とも、事例記録を読み設問に解答する記述式の問題です。
国家資格キャリアコンサルタントと技能検定2級はどちらも1ケースが出題されます。技能検定2級の設問は、事例記録から先の展開をより具体的に考えさせる問題が出題されています。
技能検定1級は、必須問題と選択問題の2ケースが出題されます。指導者として、相談者であるキャリアコンサルタントにどのような課題解決を提案するかを問われる設問になっています。
実技面接試験
出題形式 | 試験時間 | |
キャリコン | ロールプレイ 口頭試問 |
20分 ・ロールプレイ15分 ・口頭試問5分 |
2級 | ロールプレイ 口頭試問 |
30分 ・ロールプレイ20分 ・口頭試問10分 |
1級 | ロールプレイ 口頭試問 |
40分 ・ロールプレイ30分 ・口頭試問10分 |
出題形式は同じですが、ロールプレイと口頭試問の時間が異なり、キャリコン、2級、1級と進むにつれて時間が長くなり、その分難易度も上がると言えるでしょう。
▽ロールプレイとは
国家資格キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティング技能士2級は、受験者がキャリアコンサルタント役になり、相談を行います。
一方で、キャリアコンサルティング技能士1級は、受験者が指導者役になり、相談者役(指導を受ける役)の指導を行います。
▽口頭試問
口頭試問は、どの資格もロールプレイの内容について試験官からの質問に答えます。
受験資格の違い
国家資格キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティング技能士は試験で問われるレベルが異なるため、受験資格自体にも違いがあります。
国家資格キャリアコンサルタントの受験資格
国家資格キャリアコンサルタントは次の通りです。いずれか1つを満たせば受験ができます。
受験資格 | |
1 | 厚生労働省が認定する講習を修了した方 |
2 | キャリアコンサルティングの実務経験が3年以上ある方 |
3 | キャリアコンサルティング技能士の学科試験または実技試験に合格した方 |
受験資格の詳細はこちらの記事をご覧ください。
未経験でも受験できる!国家資格キャリアコンサルタントの受験資格 | リカレントcounselor |
キャリアコンサルティング技能検定2級・1級
キャリアコンサルティング技能検定2級と1級の受験資格はそれぞれ、以下のいずれか1つを満たせば受験ができます。
2級も1級も実務経験が必須で、1級の方がより長い実務経験歴が必要となります。
キャリアコンサルティング技能検定2級の受験資格
受験資格 | |
1 | 5年以上の実務経験がある方 |
2 | 4年以上の実務経験を有する者で、大学において検定職種に関する科目について20単位以上修得し、卒業したもの |
3 | 4年以上の実務経験を有する者で、キャリアコンサルタント試験の受験要件を満たすものとして厚生労働大臣が認定する講習を修了したもの又はこれと同等以上の講習を修了したもの |
4 | 3年以上の実務経験を有する者で、大学院において検定職種に関する科目について8単位以上修得し、修了したもの |
5 | 3年以上の実務経験を有する者で、キャリアコンサルタント試験に合格したもの、又はキャリアコンサルタントであるもの |
キャリアコンサルティング技能検定1級の受験資格
受験資格 | |
1 | 10年以上の実務経験を有する者 |
2 | 9年以上の実務経験を有する者で、大学において検定職種に関する科目について20単位以上修得し、卒業したもの |
3 | 9年以上の実務経験を有する者で、キャリアコンサルタント試験の受験要件を満たすものとして厚生労働大臣が認定する講習を修了したもの又はこれと同等以上の講習を修了したもの |
4 | 8年以上の実務経験を有する者で、大学院において検定職種に関する科目について8単位以上修得し、修了したもの |
5 | 8年以上の実務経験を有する者で、キャリアコンサルタント試験に合格したもの、又はキャリアコンサルタントであるもの |
6 | 2級の技能検定に合格した者で、その後、3年以上の実務経験を有するもの |
他の受験資格および詳細は、キャリアコンサルティング技能検定公式の受験概要ページをご参照ください。
まとめ
このように、国家資格キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティング技能士2級および1級の資格の違いは、レベルにあるといえます。国家資格キャリアコンサルタントが土台となり、その上位レベルの資格がキャリアコンサルティング技能士2級、さらにその上の指導レベルの資格となるのがキャリアコンサルティング技能士1級です。
これから初めてキャリアコンサルタントの学習をする方は、まずは国家資格キャリアコンサルタントを取得し、実務経験を積んだあとにキャリアコンサルティング技能士2級を目指す流れがスタンダードになります。
キャリアコンサルタントの業務をするにあたって、キャリアコンサルティング技能士であることは必須ではありません。しかし、技能士であることによって、より高いスキルを証明し、相談者や取引先に安心していただいたり、他のキャリアコンサルタントとの差別化を図ることができます。
Q&A
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