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キャリア - 2024.09.23更新 / 2024.05.30公開
ダイバーシティとは? 簡単に解説
「ダイバーシティ」や「多様性」という言葉を多く見聞きするようになりました。
「ダイバーシティ」とは何なのか、言葉は知っているけれど意外と説明できないという方もいるのではないでしょうか。
本記事では、ダイバーシティとは何か、注目される理由や取り組みの実態、具体例を解説します。
ダイバーシティとは何か
ダイバーシティ(Diversity)とは
「ダイバーシティ(Diversity)」とは、直訳すると「多様性」という意味です。具体的には、人種や性差別、信仰、価値観など、異なる属性を持った人々が共存している状態を示します。
ダイバーシティという言葉が広がる大きなきっかけとなったのは、1960年代アメリカの公民権運動です。人種や性別(特に女性の雇用差別)の解消を求める声の高まりによって起こりました。
そして、ダイバーシティという言葉は、人種や性別だけでなくあらゆる属性・領域へと広がり、現在は日本でも、ダイバーシティに関する取り組みが行われています。
ダイバーシティの様々な観点
ダイバーシティを考える際、どのような属性があるのか、外的多様性と内的多様性に分けて、具体例を紹介します。
外的多様性
性別、年齢、国籍、人種、民族、容姿、障がいの有無、など情報として可視化しやすいもの。
内的多様性
スキル、職務経験、宗教、性的指向、価値観、趣味、ライフスタイル、働き方、など目に見てわからない・言語化されづらいもの。
これらはあくまで、主な例をおおまかにまとめたものです。
ダイバーシティ&インクルージョン
ダイバーシティと並んで用いられることが多い言葉に、「インクルージョン」があります。「ダイバーシティ&インクルージョン」とひとまとめで用いられることもあります。
「インクルージョン(Inclusion)」は、直訳すると「包含」や「包摂」という意味です。多様な人材を受け入れ・尊重し合う状態を示します。
また、ダイバーシティ&インクルージョンの対義語として「(ソーシャル)エクスクルージョン」というものがあり、社会的排除を意味します。社会的排除のない社会を理念に、「インクルージョン」が用いられるようになった経緯があります。
「ダイバーシティ&インクルージョン」には、多様な人材が単に集まるだけでなく、互いを受け入れ、尊重し、共に成長していくという意味があるのです。
ダイバーシティはなぜ注目されているのか、取り組みの実態は
ダイバーシティが注目される背景
なぜダイバーシティが注目されるのか、まずは現代の日本の問題に焦点を当てて解説します。
人材不足
日本では、少子高齢化と労働人口の減少が大きな問題となっており、企業においては、人材不足への対応が急務となっています。この対応の一つとして、多様な人材の採用が挙げられています。
高い生産性が求められる雇用環境
人材不足やグローバル化による企業間競争の激化によって、労働者一人ひとりの生産性向上が求められています。
労働者が生産性を発揮するためには、企業側が個々の多様な働き方・考え方を受け入れる必要があります。
また、従業員間でも多様性を認め・尊重する動きが高まると、これまでになかったアイディアの創出、イノベーションにつながりやすいとされています。企業価値を高め、新たな強みを生み出すことにつながります。
働き方に対する価値観の多様化
近年は、労働者個人の仕事の価値観も変化しています。「正社員として入社して経験を積み、役職へ就く」といった、従来のモデルケースを希望するとは限りません。採用方針・方法、登用の仕方や、役割・職務の与え方などもアップデートしていく必要があります。
従業員の「どう働きたいか」や「キャリア形成したいか」を受け止める重要性が増しています。
近年までのダイバーシティの広がり
日本ではダイバーシティ推進に、労働人口減少や企業間競争の激化、価値観の多様化が影響していることを説明しました。
ここで、一度世界に目を向けて、ダイバーシティが近年までにどういった領域でどのように広がってきたのか解説します。
1960年から1970年にかけてのダイバーシティの広がり
まず、発端は先に説明の通り、1960年代アメリカの公民権運動で、人種や性差別の解消を求める動きでした。この動きは1970年代にかけて続き、企業に受け入れられていくようになります。
1980年代からのダイバーシティの広がり
1980年代からは、ダイバーシティの受け入れは「企業の義務」であるという認識に変わっていきます。動きの早かったアメリカの企業がモデルケースとなり、世界各国へも広がっていきました。
ダイバーシティに関する研究報告も盛んになり、国や企業の実態が明確にわかるようにもなり、企業側としてもダイバーシティの取り組みを推進しようと動きが加速します。しかし、それまでの文化を変えずに取り組みを行うのは難しく、リスクであると捉える企業も多くありました。
しかし、1990年代以降、ダイバーシティ推進が企業にとっても利益があることが認知されていきます。先の日本の例でも述べましたが、ダイバーシティが企業の生産性向上や新たな強みの創出に貢献することがわかってきたのです。そしてこの動き・範囲は現代まで拡大していくことになります。
日本のダイバーシティ施策と現状
日本ではどのような施策が取られているのか、現状どのような評価となっているのか、具体例をいくつか紹介します。
経済産業省の「ダイバーシティ経営」
経済産業省では、「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」を「ダイバーシティ経営」として推進しています。
主な取り組みとしては、企業のダイバーシティ経営の推進を後押しする「新・ダイバーシティ経営企業100選」や「なでしこ銘柄」の選定などがあります。また、先進事例を広く発信することで、企業が多様な人材の活用を経営戦略として取り込むよう働きかけています。
「ジェンダーギャップ指数」からみる世界と日本
政府も推進しているダイバーシティですが、実態はどうでしょうか。まずは、焦点の当たることの多い、女性の活躍について見ていきます。
日本では1980年代から男女の雇用差別解消や、女性活躍推進の動きが高まりを見せていました。
しかし、世界経済フォーラムの「グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書(Global Gender Gap Report)」(※和訳参照 )2023年版では、日本のジェンダーギャップ指数は、146カ国中125位で過去最低の結果となっています。
項目ごとの結果を見ると、日本は数値にばらつきがあります。例えば、読み書き能力(初等教育・中等教育)の項目では、世界1位のランクです。一方、労働所得の男女平等、管理職の男女平等、国会議員・閣僚の女性割合という項目では、いずれも100位以下のランクとなっています。
日本の女性就業の比率は諸外国と比較してそこまで大きく差は開いていないものの、管理職の比率が低いことなどは課題のひとつといえるでしょう。
厚生労働省「職場におけるダイバーシティ推進事業報告書」から考える課題
2020年に厚生労働省が取りまとめた「職場におけるダイバーシティ推進事業報告書」の中では、次のようなことが指摘されています。
■ 性的マイノリティに対する配慮や対応を意図した取り組みの実施有無
「全体」では「実施している」が10.9%だったが、従業員規模別に見ると「実施している」の割合に差があります。例えば、「99人以下」では3.8%、「100人〜999人」では10.0%、「1,000人以上」では43.1%です。
厚生労働省 職場におけるダイバーシティ推進事業報告書 図表Ⅲ-47を参考に作成
■ 障がい者、外国人労働者、高齢者などの雇用
これらの多様な人材の雇用は増加傾向にあります。障がい者雇用に関しては、2018年に障害者雇用促進法が改正されたことや、法定雇用率の段階的な引き上げが影響しているといえます。外国人、高齢者の雇用は労働人材不足解決に直結するため取り組みやすい傾向にあるといえるでしょう。
出典)厚生労働省 2023年 障害者雇用状況の集計結果
厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ
厚生労働省 2023年「高年齢者雇用状況等報告」
全体で見ると、ダイバーシティの取り組みに出遅れている日本ですが、国の施策が効果的に働いている部分も確認できます。また、これらには組織や個人の意識も大きく影響するため、引き続き認知を広げ、理解を深める取り組みが必要といえます。
ウェルビーイングとは? 意味から具体例までわかりやすく解説 | リカレントcounselor |
まとめ
このページでは、ダイバーシティとは何か、注目される理由や取り組みの実態、具体例をご紹介してきました。この内容が、みなさんの「ダイバーシティ」について考える参考になれば幸いです。
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