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キャリア - 2024.08.22更新 / 2023.10.16公開
エモーショナルインテリジェンス~人を導くときにも求められる「感情の知性」とは
職場での人間関係は、仕事の効率そのものに大きく関ります。また、人間関係が良好な職場環境は、従業員のストレス管理といった意味でも非常に望ましいといえます。
良い職場環境を築くためには、上司やマネージャなどの従業員をまとめる立場の人が、安定したメンタリティであることが重要です。そしてそのメンタリティを表す指標のうちのひとつとして、「エモーショナルインテリジェンス」があります。
エモーショナルインテリジェンスとは
エモーショナルインテリジェンス “Emotional Intelligence Quotient” は、EQまたはEIとも記され、日本語に直訳すると「感情の知性」という意味になります。
詳しくは後述しますが、これは、「自分の感情を上手にコントロールして、それを生かす能力」といえるでしょう。
エモーショナルインテリジェンスが高い人物が上司やマネージャーの場合、前向きで建設的な職場になりやすいため、従業員間での人間関係のストレス緩和が期待できます。つまり、従業員にとって、働きやすい環境につながるといえます。
エモーショナルインテリジェンスと仕事の意欲
「働きやすい」「働きがいがある」と感じている人は、「働きやすくない」「働きがいがない」と感じている人と比較すると明らかに仕事への意欲が高いという結果が出ています。
厚生労働省 「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」4ページ目グラフを加工して作成
このように、職場での「働きやすさ」は仕事に対する意欲に影響するため、エモーショナルインテリジェンスの高い人物は、職場において重要であるといえるでしょう。
エモーショナルインテリジェンス、4つの種類
「感情の知性」を表すエモーショナルインテリジェンスは、下記の4つで構成されています。
-
自己認識
-
自己管理
-
他者との関係の管理
-
社会的な認識
ひとつずつ解説していきます。
1.自己認識
エモーショナルインテリジェンスにおける「自己認識」とは、「現在の自分の気持ちがどのようなものであるのか、その気持ちに沿った行動をとったときにどのようなことが起こるか」を認識する能力であると解釈されています。
「自己認識」は、エモーショナルインテリジェンスのなかでも基本であり、自分自身と向き合うことで、他者への理解が進むとされています。
自分自身の内面に向き合い、現在の状態や状況、強みや弱みを知ることで自己認識が高まるため、感情についての理解が深まることにつながります。
2.自己管理
自己認識で自分自身への理解が深まると、感情を正しく認識することが可能になってきます。
なおこの「自己管理」をきちんと行うためには、ある程度のストレス耐性が必要です。ストレスは人の判断を鈍らせる場合もあるため、これと向き合い、対応していく力が求められます。
3.社会的な認識
自分自身の感情を理解しコントロールすることができるようになると、他者に対しての理解力向上が期待できます。
自分自身と全く同じ人間や同じ考えを持つ者は存在しません。しかし、他者への理解力を高めることで、相手の考えを推測したり、行動原理を知ったりすることができます。
この「他者への理解」こそが、エモーショナルインテリジェンスでは「社会的な認識」と呼ばれています。
より分かりやすくいうのであれば、「他者への理解力向上により、エモーショナルインテリジェンスが高められる」ということになります。
4.他者との関係の管理
理解力を高め、他者との関係を良好に維持していくことは、職場でも非常に重要な役割を担います。
万が一トラブルが起こった場合でも、エモーショナルインテリジェンスの高い上司やマネジャーが居れば、従業員は相談がしやすくなるでしょう。
また、信頼できる上司の居る職場では従業員のパフォーマンス向上が期待されるため、円滑な人間関係構築に繋がります。
ここまでは、エモーショナルインテリジェンスの構成要素について解説しました。それでは、エモーショナルインテリジェンスを高めるためにはどのような訓練をしていけばよいのでしょうか。
エモーショナルインテリジェンスを身につけるための訓練方法
エモーショナルインテリジェンスを高めるための訓練として、以下のようなものがあります。
-
他者の話をまずは「聴く」
-
他者の感情への理解と共感を意識する
-
伝わりやすい話し方を心掛ける
-
批判に対する冷静さと、前向きな考え方を維持する
ひとつずつ見ていきましょう。
まずは他者の話を「聴く」
「傾聴力」「傾聴のスキル」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれません。
「傾聴」とは、「耳を傾ける能力」「聴く力」であり、人の話をまずはよく聴き、相手の思いに寄り添う能力を指す言葉でもあります。
「自分の話にきちんと耳を傾けてくれている」「この人は私の話に興味があるのだ」という感覚を相手に抱かせることは、人間関係を円滑にする際の基本となります。
人の話を「聞く」というと、「その人が発した言葉」にのみ注目してしまいがちです。たしかに言語によるコミュニケーションは非常に重要なものなのですが、人は表情や手振りといった「言語ではないコミュニケーション」によっても多くのことを伝えてきます。
言葉のみならず、仕草や表情、身振り手振りなどの「言語外の要素」にも注目することにより、エモーショナルインテリジェンスはさらに高めやすくなります。
他者の感情への理解と共感を意識する
言葉に耳を傾け、表情に注目をすることで、相手の考えや希望を捉えやすくなります。
それができるようになったら、「その人がどのように考えているのか」を理解しようと努力し、その考えに敬意を払うようにするとよいでしょう。
「自分のことが分かってもらえた」「相手に共感してもらえた」という経験により、相手は大きな安心感を抱き、理解しようと努力してくれた人物に信頼を寄せるようになるでしょう。
また、人の気持ちに注目すると同時に、「自分がとる行動が、相手にどのような影響を与えるか」「自分が行おうとしていることが、相手にどのように認識されるか」を意識する視点も持つようにするとより効果的です。
ちなみに、「他者の感情を理解しようと努力すること」は非常に重要ではあるものの、これは「相手の意見に従うこと」とはイコールではありません。
自身の価値観や意見と異なる場合や、倫理的に好ましくないと感じる場合は、従う必要はありません。
伝わりやすい話し方を心掛ける
相手の感情にどれほど深い理解を寄せていたとしても、適切に相手に伝えられなければ十分なコミュニケーションを取ることは難しいといえます。
そのため、「相手に伝わりやすい話し方」のスキルを磨くことも非常に有効です。
仕事に対する理解力、好ましいと思う話し方、そして読解力にも個人差があり、時には自分自身の持つ価値観と異なる場合もあるでしょう。
しかし、考え方が異なるからこそ、相手に合わせた話し方を意識することが重要になってきます。
また、話す内容や話し方だけではなく「その情報をいつ出すか」などの見極めもしっかり行うことが重要です。
チーム全体に物事を伝える場合は特に、以下を意識するとよいでしょう。
-
明確なゴールや達成目標の共有
-
チーム全体が共通認識を持てるようにすること
-
平均的にチーム全体から理解を得られる話し方
以上を意識することで、働きやすい職場環境づくりにつながるでしょう。
批判に対する冷静さと、前向きな考え方を維持する
それぞれ異なる考え方を持っているからこそ、「批判」などの意見を他者から受ける場合もあります。
このような批判や見直し要求を受けたときに、冷静に受け止められるようになればエモーショナルインテリジェンスは高まります。
「この人はこちらのことを考えて憎まれ役を買ってくれたのだ」「言いにくいことを教えてくれたのだ」「この点を直せばもっとよくなる」などのように、前向きに批判および見直し要求を受け止める力があると、仕事はより進めやすくなるでしょう。
【レジリエンスとは?】変化や逆境に負けない力の鍛え方 | リカレントcounselor |
まとめ
人間関係を円滑にするために求められる「エモーショナルインテリジェンス」。これは、本人が意識することで身に付けることができるスキルといえます。
エモーショナルインテリジェンスの高い人は、職場の人間関係を円滑にします。またそれによって、仕事の効率を上げることもできます。
エモーショナルインテリジェンスを高く保つことは、自分自身のキャリアアップにも役立つため、意識して高めていくとよいでしょう。
Q&A
アメリカで15000人近くを対象として行われたアンケートでは、「上司のエモーショナルインテリジェンスが高ければ高いほど、部下はポジティブな感情を抱きやすく、自らに機会があると考えやすい」という結果が出ています。
エモーショナルインテリジェンスが高い人はどのような職場でも重宝されますが、 接客業の場合は、関わる人の数も多く、お客様の気持ちに寄り添う能力もまた求められるケースが非常に多いことから、エモーショナルインテリジェンスと関わりが深い職場であるといえます。
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