キャリアコンサルタント大辞典 Career Consultant Dictionary
キャリアコンサルタントに関する
役立つ情報を掲載
キャリアコンサルタント資格 - 2024.09.17公開
会議で重要になる「ファシリテーター」~スキルを簡単に身に着ける方法は?
会議に参加した際に、「それぞれが好きに意見を発言した結果、活気はあるけれどまとまりのないものになってしまった」という経験をしたことのある人もいるのではないでしょうか。
また逆に、「会議をしたがだれも発言せず、時間がただ過ぎていった」という経験や、「方向性が定まらずに主題ではないところばかりの議論に終始してしまった」という経験を味わった人もいることでしょう。
このような状況をとりまとめる役割を担うのが「ファシリテーター」です。
ここではこの「ファシリテーター」を取り上げて、その役割や似ている言葉との違い、ファシリテーターとしての技術を身につける方法について解説していきます。
会議のとりまとめ、進行を行う「ファシリテーター」の役割
ファシリテーターとは、会議などで出た発言をとりまとめる役割のことをいいます。
元々は、ファシリテーターは「メンバーやチームが成熟していくためのアプローチをする人」という意味合いを強く持っていました。
その後、ビジネスの場において、人の意見を取りまとめつつ、効率よく会議を進める存在として、ファシリテーターが置かれるようになったのです。
ファシリテーターに求められる「中立の姿勢」
ファシリテーターに求められるものは、「中立の姿勢」です。ファシリテーターは会議の結論がより良いものになるように先導していく役割を持っていますが、それは「自分あるいは特定のだれか、特定のチームにとってのみ有益な結論」に持っていくこととイコールではありません。
ファシリテーターはあくまで公平な視点から物事を見て、対立しあう意見の調整を行い、発言を促して議論を活発化させる、といったことを行うのが役目です。
しかし、ファシリテーターがたとえ中立の立場をとっていても、もともと好ましく思っていない人がいた場合、「中立の立場ではない」と判断されてしまう可能性もあります。そのためファシリテーターは、会議の場だけではなく、普段の業務においても、人に信頼されることや、理論的な考え方ができる人だと認知されるように働くことが求められています。
ファシリテーターと似た4つの言葉
ファシリテーターと似た言葉として、
-
司会者
-
モデレーター
-
リーダー
-
ネゴシエーター
があります。主な役割と特徴を下記にまとめました。
それでは、1つずつ順番にみていきましょう。
1.会議のとりまとめなどを行うファシリテーター、会議の進行を行う司会者
司会者は、会議の進行自体を行うことを役目とする立場のことです。会議の開始時間や終了時間を案内したり、会議で取り合う議題を紹介したりするのが司会者の役目です。タイムキーパーの役目を兼任することも多く、会議の管理を行います。
対してファシリテーターの場合は、意見のすりあわせやとりまとめを行ったり、コミュニケーションが活発になるように働きかけをしたりする役目をいいます。会議の進行そのものに関わるというよりは、会議で出た意見を調整していく調整役としての性格が強いといえます。
なお司会者に似た言葉として「モデレーター」があります。
司会 | ||
モデレーター | ||
ファシリテーター |
モデレーターについては、次の章で見ていきましょう。
2.コミュニティのルールや品質を維持する役割を担うモデレーター
モデレーターは、オンラインコミュニティやソーシャルメディアプラットフォームなどで、コンテンツやコミュニケーションの品質を維持し、適切な振る舞いを促進する役割を担います。
近年では、動画投稿サイトのライブ配信などで、コミュニティのルールやガイドラインを明確に伝え、違反が発生した場合に対処する役割として「モデレーター」という言葉を耳にした方もいるかもしれません。
ファシリテーターは中立な立場から議論や作業の円滑にとりまとめますが、モデレーターは品質を維持し、参加者がルールから逸脱しないように品質を維持する役割を担います。
3.リーダーは会議内容の責任を負うが、ファシリテーターは中立の立場で話をする
リーダーとファシリテーターの違いについてもみていきましょう。
リーダーは、チームや会議の責任者の立場にある人のことをいいます。そのため、会議で出た意見や結論の最終的な責任を負う立場にあります。
たとえば、「理想論であり、実際にはどう工夫しても実現ができない」とされる意見が結論として導かれたり、「自社にとって不利益になる」と判断される意見が出てきたりした場合は、それを却下する役目を担います。
また、出た結論に対しての責任を担うことになるため、その立場は非常に重いものだといえるでしょう。
対してファシリテーターは、会議の場で出てきた意見を「良い・悪い」と個人で判断を下す役目を担うものではありません。ファシリテーターは会議の結論がより良いものになるようにと調整を行ったりバランスを取ったりすることはありますが、あくまで中立の立場を守る必要があるものです。
ただ場合によっては、「リーダーであり、ファシリテーターである」というように、2つの立場を兼任することもあります。
4.「交渉役」としての側面が強いネゴシエーターと、「調整役」としての性格が強く出るファシリテーター
「ネゴシエーター」という言葉や役割は、映画などで目にした方も多いのではないでしょうか。
犯罪者と交渉する役割として登場することも多いネゴシエーターですが、ビジネスの場では「取引先との交渉を担う役割を持つ人」という意味で使用されることが多いといえます。
ネゴシエーターもファシリテーター同様、意見の調整を行います。ただしネゴシエーターの場合、「相手の意見を尊重しながら、お互いの合意点を探し出す」という性質が強いといえます。そのため、企業改修や合併などのM&Aなどでも活躍します。
対してファシリテーターの場合は、出てきた意見を取りまとめたり、より良い結論にたどり着くように調整したりする役目を持ちます。また利益が相反しない者同士の会議でも働くことがあります。
ネゴシエーターは「交渉役」、ファシリテーターは「調整役」と考えると理解がしやすいでしょう。
ファシリテーターに求められるスキルとは
ここまで、「ファシリテーターとは何か」について解説してきました。ここからは、ファシリテーションスキルにはどのようなものがあるのかについて解説していきます。
また、このファシリテーションスキルを身につけるためには、どのような取り組みを行えばよいのかも合わせて解説していきます。
コミュニケーション能力
ファシリテーターには、高いコミュニケーション能力が求められます。なぜならファシリテーターには、さまざまな意見を聞きだし、取りまとめることが求められるからです。
人の意見を聞きだすためには、「傾聴の技術」が必要不可欠です。「人にはそれぞれ意見があり、話したいことがある」という前提の元、相手の話をよく聞くようにします。
また、コミュニケーションにはバーバルコミュニケーションとノンバーバルコミュニケーションがあることも理解しておかなければなりません。
バーバルコミュニケーションは「言語コミュニケーション」とも呼ばれるもので、言葉そのものや文字などによるコミュニケーションを指します。
対してノンバーバルコミュニケーションとは、言語以外のもの、たとえば人の仕草や表情、声のトーンなどによるコミュニケーションです。
アクティブリスニング(積極的傾聴姿勢)とは? 意味とその効果を解説 | リカレントcounselor |
ファシリテーターは、会議のなかで、発言者との間で言語によるコミュニケーションをとるだけでなく、非言語的なものによるコミュニケーションも図っていく必要があります。
なお、「ただ人の意見を聞くだけの人」ではなく、自分自身の考えや意図を、相手にわかりやすく誤解なく受け入れられるように伝えることも、ファシリテーターとして重要なスキルであるといえるでしょう。
このコミュニケーションスキルは、一朝一夕で身につくものではありません。また前述したように、日ごろから円滑な関係を築くように努力する必要もあります。
普段のやり取りのなかでも、
-
きちんと挨拶をする
-
柔らかい言葉遣いを選ぶ
-
相手の顔を見てしっかり話す
-
あいづちやオウム返しを会話のなかに差し挟む
-
物事を話すときは具体的に話す
などを意識するとよいでしょう。
客観的で公正、冷静な視点
ファシリテーターは会議をより良い結論に導くための役割を担っていますが、だれかに肩入れしたり、一方の意見にだけ賛同したりすることは控える必要があります。
常に客観的で公正、冷静な視点を持つことが求められます。社会通念上あるいは経営上の観点から見て、明らかに不適当であるという意見以外を、ファシリテーターの個人的な意見で却下することは好ましくないとされています。
客観的で公正、冷静な視点を持つためには、日ごろから論理的に物事を見る訓練を行う必要があります。たとえば部下が失敗をしたときは、感情的に部下を怒るのではなく、「なぜ失敗したのか」「どのような原因があったのか」「その原因を取り除くためにはどうすればいいのか」を体系的に考えていく思考習慣を身につけるのです。
また、多様な考え方や価値観を柔軟さを持って理解していくことも重要です。その際に役立つのが、情報の出所を確認する習慣です。
情報の出所は公的機関の発表などのものだけではなく、ソーシャルメディアなど個人が発信しているケースも少なくありません。情報が信頼できるものなのかをしっかりと確認する習慣をつけることは、ファシリテーションスキル向上に大きな影響を与えるでしょう。
物事を整理する力
会議ではいろいろな人が発言をしますし、場合によっては主題から外れた展開になってしまうことも予想されます。そのような状況でも出された意見を整理し、組み立て、会議を発展させることがファシリテーターには求められます。
そしてそのためには、「物事を整理する力」が必要です。
上でも述べた「論理的に物事を見る訓練」は、物事を整理する力をつけることにも役立ちます。「結果」「原因」「対策」を分けて考える習慣を身につけることで、会議で出てきた意見も「要望」「理由」「採用の可否」「採用できる場合は、どんな風に行えばより良いのか」を分けて考えることができるようになるからです。
また、物事を整理する力を身につけるためには、自分自身の知識も深めておく必要があります。現在はインターネットで多くの言葉の意味を調べることはできますが、その大元の単語を知っておかなければ調べることはできませんし、また調べても正しい知識を身につけることはなかなか難しいといえます。
普段から多くの言葉や情報に接し、知識を深めておくこと(また深められる状況にしておくこと)が非常に重要です。
まとめ
会議で発言を促し、意見を取りまとめ、より良い結論に導くファシリテーターは、非常に重要なポジションです。コミュニケーション能力や冷静な視点、物事を整理する力が求められますから、普段の生活のなかでも意識するとよいでしょう。
Q&A
ファシリテーターは、人から意見を引き出し、理解し、物事を組み立てていく役割を担います。そのためファシリテーターは、物事や人に対して興味を持つ人物であることが望まれます。
初心者から短期間で
カウンセラーやキャリアコンサルタントになるには
リカレントでは、日本を代表するキャリアカウンセリングスクール「リカレントキャリアデザインスクール」を運営しています。
「国家資格キャリアコンサルタント」を取得したい方や、初心者からキャリアカウンセラー、キャリアコンサルタントとして、キャリア支援を行ってみたい方は、ぜひ下の青いボタンからパンフレットをご請求ください。