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キャリア - 2024.09.26更新 / 2024.01.18公開
フォロワーシップとは? 部下からの働きかけが注目される背景を解説
ビジネスの場や社内における人から人への働きかけは、上司から部下に限るものではなく、部下から上司への働きかけも当然存在します。
ここでは、「部下からの働きかけ」をテーマに、「フォロワーシップ」という言葉について解説していきます。
「フォロワーシップ」とは
「フォロワーシップ」とは、「部下からのサポート」「部下の主体性」を意味する言葉です。
専門性の高い仕事などを除き、基本的に仕事は「上司と部下」「チーム」であたっていくことが一般的です。
また、自分の持つ専門的なスキルを活かして仕事をしていく場合であっても、それを管理・監督する立場の人との連携は不可欠なものだといえるでしょう。
有能な人材であっても、業務を進めていく中では他者との連携が必要不可欠です。
そのような状況のなかで生まれたのが、「フォロワーシップ」というものです。
「フォロワーシップ」とは「部下からのサポート」
フォロワーシップとは、リーダーのもとで働く従業員が主体的に考え、組織やチームと協力していくことを指す言葉です。部下である従業員一人ひとりがフォロワーシップを持つことによって、チームは円滑に動きやすくなります。
このフォロワーシップがない状況では、優秀な人材がそろっていてもプロジェクトが失敗しやすい傾向があるとされています。
なお、ここでは「部下」としていますが、部下が所属するチームのリーダーである「上司」もまた、会社というひとつの大きな組織の中ではフォロワーシップが求められます。
「フォロワーシップ」が注目される背景
フォロワーシップの概念は比較的新しく、1992年に誕生しました。この言葉の生みの親は、アメリカのカーネギーメロン大学の教授であったロバート・ケリー氏だと考えられています。
彼の考えたこのフォロワーシップは、新型コロナウイルスの影響を受けて、日本でも広く知られるようになりました。また、日本でも生活様式やビジネススタイルが大きく変化しました。
急激な変化を求められた企業も多く、そのなかで「上司一人(あるいは上層部だけ)が、その変化に対応し、会社の未来を予測しながら部下を導いていくこと」の限界が指摘されるようになりました。
変化が著しい現在のビジネスの世界においては、「上司がまったく想定していなかった方向からのアプローチ」「上層部が考えもしていなかった新しい取り組み」を提案し、主体的に動いていくことが部下全員に求められています。そのため今後も、フォロワーシップはますます重要性を増してくるものだと考えられています。
フォロワーシップとリーダーシップの違いについて
フォロワーシップと混同しやすい言葉としてリーダーシップがあります。
フォロワーシップは部下が主体的に動くこと、リーダーシップとはメンバーを引っ張っていくこと
「リーダーシップ」という言葉は、「フォロワーシップ」に比べるとよく知られた概念だといえます。
一般的に、リーダーシップは「目標達成に向けてチームを引っ張っていく力」と解釈されます。また、ビジネスシーンにおいては、フォロワーシップが「部下から上司へ」の働きかけであるのに対して、リーダーシップは「上司から部下へ」の働きかけを指すことが多いわけです。そのため、リーダーシップは「上司の統率力」「チームの仕事を、成果に結びつけるだけの指導力」のように訳されることが多いといえます。
一方で、「『リーダーシップ』という言葉は、『上司』にのみ求められるものではない」とする説もあります。この説では、「リーダーシップとは、組織を引っ張っていく力であり、上司の立場に必要とされることが多い。しかし部下一人ひとりも組織に働きかけているため、部下もまた、リーダーシップを発揮しているといえる」としています。
専門家の見解
「リーダーシップ」という言葉が、主に上司に求められる能力であるのか、それとも全ての従業員に求められるものであるかは、専門家でも見解が分かれますが、「部下からのサポート力」を意味する「フォロワーシップ」とリーダーシップは、大きく異なるものだと考えてよいでしょう。
フォロワーシップとリーダーシップの共通点
もっとも、組織を運営していくうえでは、リーダーシップを持った者だけが集まっていては上手くいかない可能性が高いといえます。フォロワーシップとリーダーシップは、会社組織を支えるための両輪のような存在であるため、どちらかが不足すると、組織が持続的な成果をあげて成功を収めることは非常に難しいといえます。
では、フォロワーシップと混同されやすい、もうひとつの言葉であるメンバーシップについてもみていきましょう。
フォロワーシップはリーダーを、メンバーシップは組織を支えるもの
フォロワーシップと非常に似た言葉として、「メンバーシップ」があります。
「フォロワーシップ」が主に「上司」に対して働きかけるものであるのに対して、メンバーシップは上司個人ではなく「組織全体」に働きかけてそれをより良くしていくことを目指す概念です。フォロワーシップは上司―部下間の感情も重視しますが、メンバーシップは個人としての感情はそれほど重要視されません。
メンバーシップもフォロワーシップ同様に、「上司や自社に働きかける」という性質を持っています。
そのため、専門家の間でも「フォロワーシップとメンバーシップは分けて考えるもの」とする説をとる人もいれば、「メンバーシップのなかにフォロワーシップという概念も含まれる」とする説をとる人もいます。
フォロワーシップもメンバーシップも「部下の立場にある人が、自分の所属する人・場所を助けていこうとする考え方である」という点では共通しています。
フォロワーの5つの種類
フォロワーシップがしっかりと機能している企業では、業績が伸びやすいと考えられています。また生産効率などもアップし、企業自体が安定した性質を持つようになります。
ただ、人には個人差があります。積極的に上司・上層部を支えようとする従業員もいれば、意欲を示さない従業員もいます。このため、フォロワーシップでは、フォロワー(部下の立場にあたる人)を下記の5つに分けて解説しています。
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模範型
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孤立型
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順応型
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消極型
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実務型
それぞれ解説していきます。
もっとも理想的「模範型」
「模範型」と呼ばれるフォロワーは、組織においてもっとも理想的な人材だといえるでしょう。
模範型フォロワーは組織に対して積極的に関与し、新しい意見を自ら出してきます。困難な課題にぶつかっても乗り越えていこうとする力と姿勢が見られるのが特徴です。
また、模範型フォロワーは無批判に会社の言うことを受け入れるのではなく、独自の考え方も適切に提示します。
批判力を持つ「孤立型」
「孤立型」は、組織に対しての関わりが消極的かつ批判的であるのが特徴です。また、孤立型に陥る人は、「もともとは模範型であったものの、不当に扱われた、あるいはそのように考えている」ケースが多いとされています。
ただ孤立型の場合は、独自の発想力と、組織に対して批判的であるという特徴を有しているため、しばしば「鋭い」指摘を行います。チームに対して積極的に働きかけることはしませんが、「冷静な視点」で上司や組織を見られるというメリットはあります。
元々模範型フォロワーであったというケースが多々見られるため、能力自体は高いことが多く、組織を肯定的にとらえられる力を育めば組織にとって有用な人材となります。
リーダーに付き従う「順応型」
「上司の言うことをよく聞く」「会社に対して忠実である」という特徴を持つのが、「順応型フォロワー」です。上司の言うことや指示を忠実に守り、それを実行することを職務と考えています。
順応型フォロワーは、指示された業務をしっかりと行いますが、上司やリーダーの意見が間違っている場合でも、そのまま指示に従う傾向があります。順応型フォロワーの育成においては、積極性を持てるようにするためのアプローチが必要となります。
消極的で貢献度が低い「消極型」
「組織に対して批判をせず、かつ消極的で、協調性にも欠けるフォロワー」を、「消極型フォロワー」といいます。
彼らは組織に対する関心が低く、かつ仕事に対する積極性も極めて低い傾向があります。指示された仕事を最低限こなすことはするものの、それ以上の働きを見せることが少ないとされています。
消極型フォロワーは、模範型フォロワーと対極に位置するものです。しかし消極型フォロワーも、自信をつけられるような仕事を割り振ることで、ほかのタイプに代わる可能性があります。
すべてにおいて中庸な立場をとる「実務型」
実務型は、「組織に対する忠誠心もほどほどであり、積極性もないわけではないが優れているというわけではない」といった性質を持ちます。
実務型はすべてにおいて中庸の存在であり、バランス感覚に優れたタイプです。
なお実務型フォロワーは、「失敗」のリスクを避けようと動くことが多い傾向にあるため、「現在の能力よりも、少しだけ難易度の高い課題」を与え続けることで成長していくと考えられています。
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まとめ
組織は、上層部や上司だけで成り立っているものではありません。それを支える従業員・部下が、リーダーや組織を支えてサポートしていく力のことを「フォロワーシップ」といいます。
このフォロワーシップには5つの種類があり、「積極的に仕事に関わり、困難があっても自らの力で乗り越えられる模範型」がもっとも望ましい種類だとされています。ただし、模範型以外の型であっても、成長するにしたがってタイプが変わっていくこともあります。
Q&A
フォロワーシップを実践することで、変化に柔軟に対応することができます。また、模範型を多く抱えた場合、少ない人材数であっても成果が上がりやすく、会社組織をまわしやすいというメリットがあります。
「フォロワーシップとはどのようなものか」を従業員に伝えるための研修を行いましょう。そのうえで、部下一人ひとりの性質や考え方を上司が把握し、それぞれに合った働きかけを行います。
「フォロワーシップとは、部下が上司(上層部)を支える力である」としましたが、その前にはやはり、上司から部下への適切なアプローチが求められるのです。
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