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キャリアコンサルタント資格 - 2024.10.11更新 / 2022.09.15公開

キャリアコンサルタントの将来性は? 需要とその背景を解説

キャリアコンサルタントに興味はあるけれど、将来性や需要、資格を活かす場はあるのかなど、気になっている方は多いのではないでしょうか。

キャリアコンサルタントという職業に限らず、AIの発展などにより仕事の変化が激しい時代ですので、そう思われるのも無理はありません。

このページでは、キャリアコンサルタントの求人や国の取り組み、今後のキャリアコンサルタントの将来性や需要について解説していきます。

将来も活躍し続けるキャリアコンサルタントの特徴も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

キャリアコンサルタントの将来性

結論からいうと、キャリアコンサルタントの将来性は高いといえます。なぜ高いといえるのでしょうか。社会におけるキャリアコンサルタントの将来性から紹介していきます。

多様化した社会におけるキャリアコンサルタントの将来性


厚生労働省 労働力人口・就業者数の推移図表1-3-3を加工して作成
 
上のグラフの青い線「15歳から64歳人口」を見ると、最も多い1995年から2019年までに、1,000万人以上が減少しています。

出生率の低さや国民の高齢化が原因と言えますが、この問題は経済の落ち込みに直結します。そのため、日本は、働き手を増やすために多様な人材の活用を進めていく必要があります。そこで、政府が推進したのが「働き方改革」です。

働き方改革とは

働き方改革は2018年に働き方改革関連法が成立し、2019年4月より順次施行が開始されました。

今までの働く人や働き方のイメージは、「体力がある」「男性」「終身雇用」「正社員」などが主流でした。

働き方改革は、女性や障がいのある方、高齢者など多くの人にとって働きやすい環境を整え、多様な人材に活躍してもらうことを目指しています。

働き方やキャリアの課題

しかし、まだまだ育児と仕事の両立が難しい、障がいに対する理解が低いといった課題があります。

また、このままAI化が進んでいくと職を失うのではないかという不安や、年金受給年齢の引き上げで、この先どう仕事を続けていくのかという、セカンドキャリアの悩むを持つ方も少なくありません。

こういったキャリアに対する個人の課題や悩みを解消するために活躍するのが、キャリアコンサルタントです。

キャリアコンサルタントによるサポートが必要

キャリアコンサルタントは、一人ひとりに寄り添い、キャリア形成を支援する役割を担います。働き方だけではなく個人の在り方も多様化する現代社会において、キャリアコンサルタントの担う役割は非常に重要になっており、キャリアコンサルタントの将来性は高いといってよいでしょう。
 

国の取り組みからみるキャリアコンサルタントの将来性

国の取り組みの中には、キャリアコンサルタントの必要性から導入を推進しているものが増えています。

リカレント教育でもキャリアコンサルティングが期待されている

厚生労働省は『リカレント教育』にも力を入れるように呼びかけています。

『リカレント(recurrent)』は再発や循環を表し、『リカレント教育』は社会人が必要なタイミングで学び直すこと、と言われています。

具体的にリカレント教育とは、仕事に関する専門知識を高めるために専門分野の学校へ通ったり、新たな職種を目指し、必要なスキルを磨くために教育機関に通ったりすることを指します。

社会人の平均勉強時間は6分

日本では一度就職をすると、集中的に学び直す機会が減ってしまいます。総務省統計局の「2016(平成28)年社会生活基本調査」によると、社会人の平均勉強時間はなんと6分。他先進国に比べて圧倒的に勉強時間が少ないことが分かっています。

そこで近年では社会に出た後もそれぞれのタイミングで再び教育を受けることが重要だとし、リカレント教育の支援が始まりました。

学び直しやキャリアアップを支援

キャリアコンサルタントは、何を学ぶか、どのように学ぶかといった相談にも応じ、学びを通したキャリア形成の支援も行います。

厚生労働省が設置する「キャリア形成・学び直し支援センター」では、ジョブ・カードを利用したキャリアコンサルティングが無料で受けられる相談コーナーが用意されています。

人材開発支援助成金制度による後押し

キャリアコンサルタントが力を発揮できる場は、ここ10年で増えてきましたが、企業内での活躍は特に増加傾向と言えます。

理由のひとつとしては、助成金の支給などの政府の推進により、キャリアコンサルティングを後押しする制度が整備されたことが挙げられます。キャリアコンサルティングなどを導入・実施し、人材育成に取り組んでいる企業には、「人材開発支援助成金」が支給される制度があります。
 

人材開発助成金は、労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階的かつ体系的な職業能力開発を効果的に促進するため、事業主等が雇用する労働者に対して職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

出典)人材開発支援助成金 概要
 
ざっくり言うと、キャリアコンサルティングが人材開発支援助成金の要件になっているため、従業員のキャリアコンサルタント資格取得が人材育成に繋がることもあり、企業での資格取得の促進がされているという事です。

セルフ・キャリアドック

厚生労働省では従業員一人ひとりが、キャリアについて考える時間を設けることが重要だとし、従業員がキャリアコンサルティングを受けられるような仕組み作りを企業に推奨しています。これをセルフ・キャリアドック制度といいます。

セルフ・キャリアドック制度とは

セルフ・キャリアドック制度の定義は以下のとおりです。

セルフ・キャリアドックとは、企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組み、また、そのための企業内の「仕組み」のことです。

引用:厚生労働省  |  セルフ・キャリアドック導入と方針の展開

セルフ・キャリアドックは、就職、昇進や異動、育児休暇明けなどの節目、または、シニア層などの各段階にいる従業員に対して、キャリアコンサルティングや研修を実施します。

その時の従業員の課題をクリアにし、今後の目標を明確にすることで、モチベーションの向上を目指します。結果的には、企業の生産性アップや従業員のキャリアを充実させることにつなげる、という目的になっています

セルフ・キャリアドックの必要性

セルフ・キャリアドックを推進する背景には、社会的な変化が大きく関係しています。IT化やグローバル化が進み、企業は世の中の変化に対応するために、定期的にビジネスのモデルチェンジを繰り返していきます。その中で従業員が企業の変化に対応できるのかが重要になってきますので、セルフ・キャリアドックは必要不可欠と言えます。

また、セルフ・キャリアドックが推進される理由のひとつに、企業側の「従業員の離職率が高い」という課題も背景にあります。終身雇用制度にとらわれることなく、働き方が多様化したことによって転職が当たり前となり、企業は従業員の確保が難しくなっています。

企業側はキャリアコンサルティングを通して従業員にキャリアパスの可能性を知ってもらい、定着率アップを図っていきます。キャリアに係るサポートの需要は益々高まりを見せることが予想されますので、キャリアコンサルタントの将来性は高いと言えるでしょう。

これからの課題である「職場復帰率」

更に日本では、育児や介護休職者の職場復帰率が低いという課題もあります。育児休暇や介護休暇を取得しても、その後職場復帰をすることなく、そのまま退職となる人が多くいます。生活と仕事の調和、いわゆるワークライフバランスが取れた状態を目指し、キャリアコンサルティングを行うことによって、従業員の職場復帰率の向上が期待されます。

キャリアコンサルティングのニーズから見るキャリアコンサルタントの将来性

以下の業種では人材不足や人材の定着率の低さにより、キャリアコンサルティングの需要が高まっています。

  1. 医療機関

  2. 福祉施設

  3. 自治体

医療機関や福祉施設では、慢性的な人手不足のため、人材定着を目的としたキャリアコンサルティングのニーズが高いと言えます。

また、福祉施設では、施設利用者への就労支援にも需要があります。働き方改革の推進もあり、多様な方々をフォローアップする動きが今後増えていくため、キャリアコンサルタントの将来性は高いでしょう。

様々な場でキャリアコンサルタントの必要性が出てきているため、国による制度の下支えやさらなる環境整備が今後も期待されます。


 

将来も活躍し続けるキャリアコンサルタントになるには?

将来も活躍し続けるキャリアコンサルタントの特徴を紹介します。

大きく分けて3つあります。
 

  1. 専門性を高める

  2. ターゲット層をしぼる

  3. 継続的に学び続ける

 
それぞれ具体的に見ていきましょう。

専門性を高める

キャリアコンサルタントの活躍の場は増えていますが、専門性を高めることが重要です。

相談者がどのキャリアコンサルタントに相談しようか迷っているとき、専門性があることで、「この人に相談すればわかる」という一つの目安になります。

たとえば、以下のようなキャリアコンサルタントがいたとします。

「企業キャリアコンサルタントを5年行ってきたので、人事の相談はお任せください。」
「キャリアコンサルタントを5年行ってきたので、なんでも聞いてください。」

もしも、相談者が企業側の人間だったとしたら、どちらに相談をしたいでしょうか。おそらく、具体的な強みを提示した前者のキャリアコンサルタントではないでしょうか。

専門性を高めるメリット

幅広く対応できることは強みでもありますが、その中でも専門領域を持つことでよりアピールがしやすく、自身がより特化している分野を押し出すことで相談者とマッチングしやすい、活躍の幅が広がるというメリットがあります。

ターゲット層を絞る

専門性を高めることにも似ていますが、ターゲットをしぼるのも大切です。

  1. 中高年

  2. 若年層

  3. 女性専門

上記のように年代のターゲットなどをしぼると、将来的に専門性を持って活躍したいジャンルが見えてきます。ターゲットのしぼり方は、個人的な体験によるものがよいでしょう。

「育休明けのキャリアで大変だったから同じような人を支援したい」「若い頃のキャリア選択で苦労したから若者の支援をしたい」とかかわりたい年代からアプローチしてみてください。

ターゲットをしぼることで、キャリアコンサルタントとしての方向性が見つけやすくなります。

継続的に学び続ける

キャリアコンサルタントとして活躍するにあたり、自身で定めたターゲット層や専門に合わせて、自分に不足していると感じる分野、強めたい分野などで選択してスキルアップをしていきましょう。

国家資格キャリアコンサルタントは5年ごとに更新があり、厚生労働省の指定機関が行っている更新講習を受ける必要があります。様々な種類の講習が用意されており、自身で選択することができるため、スキルアップの機会として計画的に講習に臨むとよいでしょう。

また、キャリアコンサルタントには国家資格キャリアコンサルタントの他に、キャリアコンサルティング技能士1級、2級という国家検定があります。キャリアコンサルタントとしてのスキルを更に磨きたい方は、この技能士を目指すのも一つです。
 

あわせて読みたい
【何が違う?】国家資格キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティング技能士 | リカレントcounselor

 

まとめ

このページでは、キャリアコンサルタントの将来性について解説しました。

今回紹介したキャリアコンサルタントの需要は一部に過ぎません。例えば、小・中・高では既にキャリア教育が進んでいます。特に義務教育課程では小・中と継続したキャリア教育に取り組んでいる地域もあります。

このように、キャリア形成に係る支援が拡大すれば、キャリアコンサルタントが必要とされる場は増えていくでしょう。

国家資格キャリアコンサルタントは比較的新しい資格ですが、その分、将来性は広がっているといえます。

人のキャリアを支援するキャリアコンサルタントに興味がある方は、ぜひ資格取得を考えてみてください。そしてこのページがキャリアコンサルタントに興味がある方にとって参考になれば嬉しいです。

Q&A

キャリアコンサルタントの将来性は?
多様化する働き方により、キャリアコンサルタントの需要は高まってきているといえます。また、働き方だけではなく、個人のあり方も多様化する社会になってきていますので、キャリアコンサルタントの担う役割は非常に重要になってくるでしょう。
「AIで仕事がなくなる」と耳にすることが増えましたが、キャリアコンサルタントの仕事はどうなのでしょうか?
AIによって私たちの生活や働き方に変化が起きるのは間違いありません。単純な書類作成やデータ入力はAIに代替されるとも言われています。しかし「悩みを聞いてほしい」や「相談したい」という気持ちに寄り添い、一緒に考えていくというのは人間だからこその強みです。ともに考えるという作業ができるのは人間同士だからでもありますので、キャリアコンサルタントの仕事をAIが行うということはなかなか難しいところでしょう。
オンラインでの相談業務が増えた場合、キャリアコンサルタントはどのようなところに気をつけていけばいいのでしょうか?
オンラインでよく使われるツールとしてはZoomなどが挙げられます。まずは使用するツールを理解して、しっかりと通信環境を整えることが大事です。
なお、オンライン面談は次のことに注意しながら行います。相談者が話しをしている最中は声が被らないように注意をしたり、ジェスチャーやリアクションを大きめにする、などを意識するとよいでしょう。

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