キャリアコンサルタント大辞典 Career Consultant Dictionary
キャリアコンサルタントに関する
役立つ情報を掲載
キャリア - 2025.01.23更新 / 2024.09.26公開
Z世代とは? Y世代との違いや育成方法について詳しく解説
個性や考え方は人それぞれです。ただ、人生観は、生まれた時代・育った時代の影響を少なからず受けて形成されるものです。そのため、生まれた世代によって、「〇〇世代」という区切りを設ける考え方が生まれました。
今回はそのなかから、「Z世代」を取り上げます。Z世代とはいつ生まれの世代で、ほかの世代とはどのように違うのでしょうか。
また、Z世代の人たちと接していくときに求められる要素とは何なのでしょうか。ひとつずつ解説していきます。
1995年~2012年くらいに生まれた「Z世代」
Z世代(ぜっとせだい)とは、「生まれたときからインターネットとともにあり、それを使いこなすことを当たり前としている世代」を指します。
「Z世代」という呼び方は、日本独自のものではなく、世界共通で使用されている言葉であり、生み出したのはアメリカのコンサルティング会社(マッキンゼー・アンド・カンパニー)です。
Z世代の「Z」は、アルファベットの最後の文字ですが、「最後の文字だから」という意味でZ世代と名付けられたわけではありません。
世代は、単純にアルファベット順で区切られており、X世代、Y世代の次の世代というところから、順番でZ世代と呼ばれるようになりました。なお、Z世代の次の世代は、α(あるふぁ)世代と呼ばれます。
では、このZ世代とは、具体的にはいつからいつまで生まれの人を指すのでしょうか。
これには諸説があり、1996年〜2012年とする説もあれば、1995年〜2010年とする説もあります。また、1995年〜2012年とする説もあります。広く取ると1995年〜2012年生まれの人がZ世代にあたる、と考えてよいでしょう。
「Z世代生まれ」に分類される人でも、1997年生まれの人と2012年生まれの人では、デジタルに親しんできた度合いが異なります。
デジタルネイティブ世代とも呼ばれるZ世代ですが、たとえば1997年のインターネット個人利用率はわずか9.2%でしたが、2012年には79.5%と、8割近くにものぼっています。なおインターネットの普及率が37.2%と3割を超えるのは2000年で、57.8%と5割を超えたのは2002年、そして79.5%と7割を超えたのは2005年で、2019年には89.9%と9割に届く利用率となっています。
出典:総務省「2022年 情報通信に関する現状報告の概要 第2部 情報通信分野の現状と課題」
このように数字で追ってみると、インターネットは急速に普及してきたことがわかりますが、Z世代のなかでも2000年以前の生まれの人の場合は「成長過程でインターネットがどんどん身近な存在になっていった世代」であり、2005年以降に生まれた人の場合は「生まれたときにはインターネットが身近なものとして存在していた世代」といえるでしょう。
Z世代とY世代は、仕事への向き合い方が大きく異なる
Z世代の前の世代は「Y世代」と呼ばれています。Y世代とは、主に1980年~1995年ごろに生まれた世代を指し、世界的にはミレニアル世代と呼ばれますが、日本では「氷河期世代」という呼び方が一般的に浸透しています。Y世代はバブル崩壊の影響を大きく受けた世代であり、就職難の波が直撃した世代でもあります。そのため、Y世代とZ世代では、仕事への向き合い方が大きく異なるとされています。
あわせて読みたい
|
ここでは、Y世代とZ世代の仕事に対するスタンスの違いについて解説していきます。
この記事では、一般的に多いとされている「世代によっての大まかな価値観やスタンス」を取り上げますが、個人によってさまざまな価値観を持ち合わせており、多様な働き方が存在しているという点に留意しておきましょう。
Y世代は安定志向で正社員を目指す、Z世代は多様な働き方を好む
Y世代は就職氷河期を経験してきた世代であり、「正社員になりたいけれど、なれなかった」「今までの世代(あるいはZ世代以降)ならば、当然に正社員になれる能力があるが、正社員としての求人が少ない状況で就職活動を行い、結果的に非正規として働くことが多かった」という状況にある人が多かった世代でもあります。
その反動か、Y世代は安定志向が強く、正社員で働くことを望む傾向にあります。
対してZ世代の場合は、「働きやすさ」「多様性」という言葉が、成長の過程のなかに存在している世代であるといわれています。またインターネットを通じてさまざまな生き方に触れることができるようになったため、フリーランスや副業などでの働き方も視野に入ってきます。
「自分らしい働き方」を求める傾向が強いため、Y世代ほどには安定志向は強くありません。
ワークライフバランスを基本としたY世代、ワークライフインテグレーションのZ世代
現在の働き方を考えるうえで非常に重要になるのが、「仕事とプライベートの関わり方を意識する」という概念です。
その基礎のうちのひとつともなりうる「ワークライフバランス」は、「仕事4、プライベート6」などのように、仕事とプライベートのバランスを取りながら働いていこう、とする考え方です。バブル期の仕事偏重のスタイルではなく、プライベートにも目を向けようとしたこの考え方は、1990年代から日本に普及し始めました。
Y世代は、社会に出る時期に、ちょうどこの「ワークライフバランス」の考え方に触れたといえます。そのためY世代は現在でも、「仕事とプライベートの割合」を考えて仕事をしている人が多いといわれています。
対してZ世代の場合は、ワークライフバランスではなく、ワークライフインテグレーションの考え方を踏襲しているといえます。これは2008年に提唱され始めた概念であり、現在も非常に注目されているものです。Z世代は、このワークライフインテグレーションの概念に親しむことになります。
ワークライフインテグレーションとは、「仕事とプライベートは相互に関わり合っていて、行き来が自由なものであり、仕事を充実させることでプライベートが、プライベートを充実させることで仕事も充実する」という考え方です。ワークライフバランスのように「仕事か、プライベートか」を分けるのではなく、「仕事とプライベートは統合されて存在する」というこの概念は、Z世代の追求する多様な働き方とも相性がよいものです。
情報収集源に「紙」があるY世代、デジタルツールが基本となるZ世代
Y世代は、「紙」と「デジタルツール」の両方に接してきた世代だといえます。デジタルテクノロジーとともに育ってきた世代ではありますが、学校のおしらせなどは紙で配られることが多かった世代であり、本や雑誌などの「紙の媒体」と親しむこともよくあった世代だといえます。
対してZ世代の場合は、やりとりや情報収集のツールとして、デジタルツールが当たり前に存在していました。たとえばY世代の場合は、「中学校までは携帯電話などなかった。高校(あるいは大学)入学後に、初めて携帯電話を持ち、メールをするようになった」という人も多いものですが、Z世代の育った時代はすでにPHSや携帯電話が当たり前に存在する時代でした。
そのため、プライベートの連絡のみならず、仕事の連絡でもデジタルツールが当然のものとして使用されています。デジタルネイティブ世代と呼ばれるZ世代にとって、デジタルツールは「ごく当たり前に昔からそこにあったもの」だといえます。
Z世代の育成のために
ここまで述べてきた通り、Z世代は今までの世代とはまた異なった特徴を持ちます。そのため、Z世代を育成するときには、これを頭に置いたうえで育成方法を考えなければなりません。
Z世代の育成においてキーとなるのは、
- 目的とメリットの伝達
- 悪い点だけでなく、良い点もフィードバックする
- 働きやすい環境を整える
の3つです。
目的と、それによって得られるメリットを明確に伝える
リクルートマネジメントソリューションズが2021年に取った「理想の職場、上司像」では、「お互いを尊重し、助け合える職場であること」「一人ひとりに対して丁寧な指導が行われること」「良い点を認めあえること」などが上がりました。また、多くの人が、「自分の力を社会のために役立てたい」と考えています。
次に紹介する「丁寧な指導」とも関係しますが、Z世代への指導は、「目的とメリットを明確に伝えること」が非常に重要になってきます。
「なぜこの仕事が必要か」「この仕事によって何が得られるのか」を、明文化して伝えるようにしましょう。自分がする仕事の意味が分かればZ世代はより熱心に仕事に取り組むことができます。またその仕事の内容が、社会や人に役立つものであれば、その傾向はより強くなるでしょう。
出典:リクルートマネジメントソリューションズ「Z世代の新人・若手の育て方・生かし方」
指導は丁寧に、良い点と悪い点の両方をフィードバックする
「指導」というと、「良くなかった点、改善点を伝えるもの」という認識を持っている人も多いかもしれません。改善点を伝えることは、たしかに指導においては非常に重要なことです。しかしZ世代のより良い育成を考えるならば、悪い点だけでなく、良い点も一緒に伝えることが必要です。
人間は自分の悪い点だけを見て指摘してくる人に対してはどうしても反発心を抱いてしまうものですし、素直に話を聞けなくなってしまうものです。また場合によっては、「また怒られるかもしれない」という気持ちが先に立ち、新しいチャレンジをしようとする気持ちが萎縮してしまうこともあります。
指導を行う場合は、良かった点をまず褒め、その後に改善点を伝えるようにします。また何かトラブルが起きた時は、「トラブル」と「人」を切り分けて話を進めましょう。
「仕事に真面目に打ち込んでいないからこうなるんだ」などのような人格攻撃は、その人本人に明確な落ち度(勤務中に私用のスマホで遊んでいたなど)がない限りは避けるべきです。
働きやすい環境の整備を意識する
Z世代は、「多様性のある働き方」を求める傾向にあります。リモートワークなどに対して好意的な印象を抱く人や、福利厚生などを気にする人も多く見られます。そのため、「働きやすい環境」を作ることは非常に重要です。
労働環境の整備はZ世代の従業員に関わらず、優秀な人材の確保や、離職防止につながります。
また世代に限らず、性別や国籍、ライフスタイル等の話題は慎重に取り扱い、必要に応じてガイドラインに沿った対応をしていきましょう。
まとめ
デジタルネイティブ世代と呼ばれるZ世代は、今までの世代とはまた異なる価値観で生きています。そのため、求められる接し方も異なります。
もっとも一口に「Z世代」といっても、当然そこには各々の個性があり、個々の考え方があります。そのため、「世代による傾向」を把握しておくことは大切ですが、それにとらわれることのないようにすることが大切だといえるでしょう。
Q&A
デジタルネイティブ世代として知られているZ世代は、生まれたときあるいは成長の非常に早い段階から、インターネットとともにありました。そのためネットツールに強く、デジタル機器を扱うことにまったく抵抗がありません。
また、「多様化」「ワークライフインテグレーション」という言葉が当たり前に存在する時代に社会に出てきたため、人の多様な価値観を尊重したり、仕事とプライベートをより良く関連付けることができたりします。
初心者から短期間で
カウンセラーやキャリアコンサルタントになるには
リカレントでは、日本を代表するキャリアカウンセリングスクール「リカレントキャリアデザインスクール」を運営しています。
「国家資格キャリアコンサルタント」を取得したい方や、初心者からキャリアカウンセラー、キャリアコンサルタントとして、キャリア支援を行ってみたい方は、ぜひ下の青いボタンからパンフレットをご請求ください。