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キャリアコンサルタント資格 - 2024.11.20更新 / 2022.09.22公開
「企業内キャリアコンサルタント」の役割とは?活動内容や企業が抱える課題を解説
目まぐるしく変化する社会のなかで、企業はさまざまな課題を抱えています。特に、人材育成や若手社員の定着、社員の離職といった問題に悩む企業は多いはずです。こういった中で、「企業内キャリアコンサルタント」が今注目されています。
そこでこの記事では、「企業内キャリアコンサルタント」の役割から活動内容、そして企業が抱える課題まで詳しく解説していきます。
企業内キャリアコンサルタントとは
企業内で活躍するキャリアコンサルタントには、従業員のキャリア支援をはじめ、従業員と企業間の価値観のすり合わせや、企業自体が持つ課題解決に向けた提案などが求められます。
現在は離職率を課題とする企業が多くあります。働きがいや仕事をする上での幸福度が高まれば離職率の低下が見込まれることから、企業は職場環境を整えていく必要が出てきています。
以前の「従業員は企業のために」という企業側の意識から、「従業員がより高いパフォーマンスを発揮するために企業は何ができるか」という取り組みに変化しつつあり、その中で活躍するのが企業内キャリアコンサルタントであるといえます。
企業が抱えている問題とは
企業が抱える問題は業界や規模によってさまざまですが、共通するものとして「従業員一人ひとりが抱える課題への対応」が挙げられます。
従業員のやりがい、モチベーション低下
企業としては、採用した従業員、長く働いてくれている従業員は大事にしたいものです。採用活動、人材育成には多くの費用と労力がかかっています。従業員は、企業にとって重要な戦力であり、資産であるといえます。
従業員が働きやすいかどうかの基準として、労働条件や福利厚生などが挙げられます。しかし、働き手がこういった目に見える基準だけを重視しているわけではありません。やりがいやモチベーションといった見えない基準も、長く働きたいかどうかの重要な判断材料になります。
モチベーション低下は離職にもつながる
給与はいいけれど配属された部署にやりがいを見出せない、年間休日は多いけど残業が多く仕事と生活のバランスが取れず体調不良に陥ってしまうなど、さまざまな面で従業員は悩みを抱えます。
日本の企業で働く従業員の多くは、他国に比べて「働きがいを感じていない」と言われています。
働きがいが感じられなければ、従業員のモチベーションは下がり、早期離職につながってしまいます。安定した労働力を確保したい企業にとっては非常に深刻な問題です。
メンタルヘルス不調などへの対応
ストレス社会と呼ばれるようになって久しい現代、メンタルヘルス不調への対応は個人だけでなく、企業にも関わる問題です。
2022年に厚生労働省がまとめた「労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概要 」の中の「過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所割合及び労働者割合」を見てみると、500 ~ 999人の事業所で89.4パーセント、1,000 人以上の事業所では93.5パーセントと、事業所の規模が大きくなるにつれて該当する労働者がいた割合が高くなっていることがわかります。
厚生労働省 2022年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要 第1表を加工して作成
メンタルヘルスに問題を抱える人は増加傾向にあり、特に、働き盛りの20代や30代の休職率の高さが問題視されています。労働安全衛生法の改正によって、労働災害を繰り返す企業への対応が強化される、ストレスチェック制度が義務化される、などの対策も講じられていますが、企業に委ねられる部分も大きい問題です。
休職や退職につながるメンタルヘルス不調
メンタルヘルス不調に陥るとパフォーマンスが低下し、そのまま仕事を続けていると、症状が悪化する可能性があります。
仕事に関する悩みは複合的であるため、直属の上司や、社内の相談窓口には相談しにくいといったケース多いため、仕事とメンタルヘルス両方を相談できる、キャリアコンサルタントの存在は大きいといえるでしょう。
ワーク・ライフ・バランスへの対応
さまざまな場面で耳にするようになった「ワーク・ライフ・バランス」。2007年12月18日、政府によって策定された「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」・「仕事と生活の調和推進のための行動指針」に基づいての取り組みが推進されています。
しかし、安定した収入が得られず経済的に自立することが難しい、あるいは仕事と介護の両立で悩んでいるなど、仕事と生活の調和をはかることが難しいケースもあります。
また、今後の日本は高齢化や人口減少で労働力の減少が見込まれています。上記の様な問題を抱える方たちが、いかにやりがいを持って仕事に取り組めるかどうかの環境整備は、企業にとっても重要な問題です。
ダイバーシティへの対応
減少が見込まれる労働力をどうカバーするか、人材をいかにうまく活用するかは企業にとって大きな課題です。そこで多様な人材の活用が鍵となってきます。
多様とは、性別、年齢、人種や国政、障がいの有無などに留まりません。どのような仕事をしてきたのか、どういった経験があるのかなど、働き方の多様性も含めてうまく活用し、個々の能力が最大限発揮できる機会をつくることが求められています。
また、ここでいう能力とは、すでに働き手がスキルとして習得しているものだけでなく、潜在的な能力や特性も含みます。「このキャリアがあるから採用しよう」「この部署に配属させよう」という見方だけではなく、将来的に活躍できる人材の育成に力を入れていくことが必要となります。
多様な人材を活用するためには、それぞれのキャリアプランを描き、実践させていく仕組みが強い後押しとなるはずです。
企業内で期待できる「キャリアコンサルタント」の活躍
目まぐるしく変化する労働環境の中で、さまざまな課題解決に取り組む役割として「キャリアコンサルタント」が注目されています。企業内でキャリアコンサルタントはどのような働きが期待できるのか、解説します。
企業内キャリアコンサルタントが注目されている理由
近年、従業員のキャリア形成は重要視されているポイントです。2001年の「職業能力開発促進法」の改正で、以下のような宣言がなされています。
従業員のキャリア形成を支援し、個々の職業能力を存分に発揮してもらうことは企業の発展に不可欠な要素です。従業者の職業能力開発を計画的に企画・実行することが大切ですが、こうした取組を社内で積極的に推進するキーパーソンが「職業能力開発推進者」です。
出典)厚生労働省Webサイト|職業能力開発推進者
人事部や各職場で、職業能力開発推進者を選任することは事業主の努力義務となっています。しかしながら、社内の人間の力だけでは、十分なキャリア形成に限界があることも課題となっています。専門的な知識と技術を持つ職業能力開発推進者として、キャリアコンサルタントは注目されているのです。
企業では、社内でキャリアコンサルタントの資格取得を支援する傾向もあります。
従業員それぞれにあったキャリアデザイン、キャリアアップが狙える
キャリアコンサルタントはキャリア支援の専門家です。企業内キャリアコンサルタントは従業員のキャリアに係る悩みに寄り添い、それぞれに合ったキャリアプランを提案します。
キャリアコンサルティングを通じて従業員自身が気づいたいない強みを引き出すなどのサポートも行い、従業員に適したキャリアデザインや、キャリアアップの道筋を提案していきます。
従業員のモチベーション維持にもキャリアコンサルティングは有効
思うような働きがいを得られない、モチベーションが維持できないといったことは離職につながりますが、新たなキャリアプランを描き、目標に向かって進むことができる環境では、そういった事態を抑え込むことができるはずです。
従業員のモチベーションは高まり、キャリアアップとともにスキルも向上していくでしょう。
会社全体の働き方改革を促すことができる
企業内でのキャリアコンサルタントは従業員だけではなく、企業側が抱えるキャリアに関係した課題解決のサポートもしていきます。
ワーク・ライフ・バランスの実現や、国が推進するセルフ・キャリアドックの導入が進むと、キャリアコンサルタントの重要性はさらに増していくことが予想されます。働き方の多様化などの変化が求められる環境において、キャリアコンサルタントは心強い存在であるといえるでしょう。
【これでわかる】従業員のキャリア形成を支援するセルフ・キャリアドック制度とは? | リカレントcounselor |
企業内のキャリアコンサルティングに関する課題
人事課題や環境の変化に対応できるキャリアコンサルタントは、企業にとっても心強い存在です。ここ10年ほどで、企業内で活躍するキャリアコンサルタントの割合は大きく上昇していることからも示されています。
しかし、キャリアコンサルティング自体の導入に課題を抱えている企業もあります。その主な例をいくつかご紹介
中小企業など、大企業以外での導入割合が低い
厚生労働省が行った、2020年度「能力開発基本調査」では、キャリアコンサルティングを行うしくみを、正社員に対して導入している事業所は37.8%(前回39.4%)、正社員以外に対して導入している事業所は24.9%(前回27.0%)。という結果が出ています。
出典)厚生労働省Webサイト|2020年度「能力開発基本調査」
また、キャリアコンサルティングの仕組みの導入が大企業で5割超えであるのに対し、中小企業では2、3割であると言われています。理由としては、キャリアコンサルタントの導入や育成に投資する余裕がない、そもそもキャリア支援に力を入れていない、重要視していないということがあります。会社の利益に直接影響する部分でないからと、後回しになってしまう場合があるのです。
非正規社員への対応が手薄
社内にキャリアコンサルティングの仕組みがあっても、非正規社員への実施は行っていない、社員と非正規社員とで制度利用率に大きく開きがあるという場合があります。
厚生労働省 2023年度「能力開発基本調査」図31を加工して作成
正社員・非正規社員に関わらず、キャリアコンサルティングを利用した場合、多くの方が問題が解決したと述べており、効果があることがわかっています。従業員が平等にキャリアコンサルティングを受けれる環境を整えることも、企業にとっては重要な課題なのかもしれません。
厚生労働省 2023年度「能力開発基本調査」図35を加工して作成
キャリアコンサルティングの仕組みはあるがキャリアコンサルタントがいない
社内に相談窓口を設けている、ストレスチェックやその他のアンケート実施を行っているなど、キャリアコンサルティングを行う仕組みはあるけれども、肝心のキャリアコンサルタントがいない、という場合があります。
キャリアコンサルタントは、社内だけで解決が難しい問題にも対応していきます。キャリアで悩む従業員の中には「上司や身近な社員には相談しづらい」と考える方も多くいます。キャリアコンサルタントがいない企業では、その役割を人事が担う場合が多いので、企業によっては人事がキャリアコンサルタント資格を取得し、社内の仕組みをうまく活かそうという取り組みも始まっています。
キャリアコンサルタントの意義が十分に理解されていない
そもそもキャリアコンサルティングのメリットが理解されていないという場合があります。
キャリアコンサルティングというと、従業員が転職を考えてしまうのではないかと懸念したり、義務化ではない取り組みだからと、経営陣がキャリアコンサルティング自体の必要性を感じていないケースがあるのです。
また、経営陣が内部の情報を共有することに否定的で、キャリアコンサルタントを導入したくないと考えるケースもあります。
キャリアコンサルタントには守秘義務が定められており、情報を漏えいした場合には罰則が課せられます。キャリアコンサルタントは信頼を土台に置いた職業でもありますので、情報が漏えいするリスクは低いといえるでしょう。
また、キャリアコンサルティングは従業員のやりがい・モチベーションを高め、職場定着率を上げる有効な手段ですので、企業はキャリアコンサルティングを導入することにより、結果的に生産性を高めることができるのだと理解される必要があります。
まとめ
このページでは「企業にキャリアコンサルタントを導入するメリット」について解説してきました。
現代の社会において企業が抱えるキャリアに関わる課題は数多くあり、それらの解決にはキャリアコンサルタントの導入が効果的です。
しかし未だ導入をしていない企業もあり、そこにはさまざまな課題があります。国としてキャリアコンサルタントの推進の動きは加速しており、今後さらなる理解が進むことが期待されています。
企業でのキャリアコンサルタントの需要は高まっています。変化する環境の中で、事業を継続していくための大事な手段として、キャリアコンサルティングの充実が重要視されているのです。
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キャリアコンサルタントとは? 未経験でも国家資格の取得が可能 | リカレントcounselor |
Q&A
・労働力の減少が見込まれる中で、個々人が十分に力を発揮できるキャリア支援を行うことができる。
・多様な働き方の実現のために、企業と従業員の間で価値観をすり合わせ、提案を行うことができる。
・メンタルヘルスなど、現代増加している従業員の問題に対し、総合的に相談に乗ることができる。
しかし、キャリアコンサルティングの導入は従業員が働く上で非常に重要なポイントです。また、キャリアコンサルタントは従業員と企業の問題を解決するうえで心強い存在です。年々、重要視する企業が増え、需要が高まっています。
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