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キャリアコンサルタント資格 - 2024.10.02更新 / 2022.10.23公開
キャリアコンサルタントとして独立するためには? 課題やメリットを解説
近年、キャリアコンサルタントの活躍の場が広がり、独立して活動する方も増え、さまざまな成功事例もあがっています。
フリーランスのキャリアコンサルタントを目指したいと考える方もいると思いますが、気になるのは、安定した生活を送ることはできるのか、十分な年収は確保できるのかという点でしょう。
このページでは、キャリアコンサルタントとしての働き方の多様性を知り、独立や副業をする際の課題やメリット、具体的な流れについてを解説していきます。
キャリアコンサルタントは独立できるのか?
まずは、独立したフリーのキャリアコンサルタントが、どのように仕事を獲得し活動しているのか、独立の課題やメリットについて解説していきます。
フリーランスのキャリアコンサルタントの仕事
フリーランスのキャリアコンサルタントの仕事の受注方法は様々で、以前からの人脈で受注している人、サイトやSNS経由で受注している人、クラウドソーシングやエージェントを活用している人などがいます。
フリーランスで活躍している人はキャリアコンサルタントとしての実務経験を積んでいる場合が多く、得意な分野を持っていることが多いようです。例えば学生に向けたキャリア支援、シニアに向けたセカンドキャリア支援などターゲットを絞った活動をしていたり、転職活動支援や能力開発支援などの方向性に特化した活動をしていたり、保育や介護などの福祉系、プログラミング等のIT系といった業界に精通していたり、といった専門性を持っている傾向があります。
どのパターンにも共通しているのは、企業に勤めている場合と大きく異なり、仕事を自ら見つけにいく必要があるという点です。そして、人脈づくりや、仕事を得るための流れを自ら作っていく必要があります。
フリーランスの労働環境
キャリアコンサルタントに関わらず、独立してフリーランスとして働く人は年々増加していると言われています。
(出典:ランサーズ『新・フリーランス実態調査 2021-2022年版』)
フリーランスとして働く人の中にも、本業として活動している人、副業または兼業で活動している人と、働き方はさまざまです。しかし、フリーランス人口が増加している理由には共通しているものがあります。
労働環境の変化
近年、私達の働く場所、働く時間は必ずしも会社が用意するものではなくなりました。特にコロナ禍以降、リモートワークの仕組みが整備され、取引先や顧客が遠方でも、オンラインで顔を合わせたやりとりが可能になりました。
これはフリーランスも同様です。リモートワークの普及によって、複数の仕事の掛け持ちがしやすくなり、フリーランスの働き方の可能性が広がりました。相談者と顔を合わせて仕事をする必要があるキャリアコンサルタントにとって、オンラインでも十分に業務可能な環境になったことは大きなプラス要因であると言えます。
こちらの記事で、キャリアコンサルタントの重要性や将来性について詳しく解説をしています。
キャリアコンサルタントの将来性は? 需要とその背景を解説 | リカレントcounselor |
高まる仕事の受注のしやすさ
「人脈」や「過去・現在の取引先」などから仕事を獲得している場合も多いですが、クラウドソーシングやエージェントの普及により、フリーランスが仕事と出会いやすい環境になっています。
日本では、今後も労働力の不足が見込まれており、企業が外部の人材へ頼る機会は増えていくと考えられます。現に、副業人材サービスやフリーランスを活用する企業は増加していて、フリーランスへ仕事を依頼する需要が高まっています。
フリーランスとして働く課題
フリーランスとして働く上で、大小に関わらずリスクは避けて通れません。この章では主な課題をご紹介します。
事業を継続できなくなるリスク
フリーランスの場合、仕事を受注できるか、継続できるかどうかは自分次第です。十分な収入に足る、安定した件数の依頼が確保できるかの確証を持つことも難しいです。事業開始から一定期間は、思い通りに仕事が入らないことも想定して、資金を用意しておくことも重要です。
取引先とのトラブル対策
契約条件の取り決めや、業務実施から支払いまでの取り引き管理も自身で行います。基本的には、契約書などの各種書類をしっかり締結して進めていくことで、安心した取り引きを行うことができます。
しかし、どうしてもトラブルになることもありえます。キャリアコンサルタントは対人支援であることを念頭に、まずはトラブルが起こらないように準備をし、もしもの時のために、相談できる窓口を確認しておくとよいでしょう。
厚生労働省が設置する「フリーランス・トラブル110番」や、各地域の商工会議所による相談窓口などから確認をすると安心です。また、クラウドソーシングやエージェントを介する取り引きの場合は、ある程度ルールが整備されていると考えられます。
出産・育児・介護など、生活に関するセーフティネット
企業の場合は出産や育児、介護などに対して特別休暇や手当金の給付を設けている場合が多いです。フリーランスの場合は、そういった福利厚生を受けることはできませんので、ある程度将来を見越して自身で準備しておく必要があります。
独立することで得られるメリット
独立しフリーランスとして働く上では先に述べたような課題もある一方、メリットもあります。雇用か独立かは、ご自身のスタイルや目標に合わせて、見極めていくのがよいでしょう。
フレキシブルで多様性のある働き方が実現できる
企業に所属していないため、自分でスケジューリングを行うことが可能です。自身の生活に合わせた働き方をマネジメントできます。企業に勤めていた時よりも、効率的に時間が使えて、余暇が増えた、増えた時間をスキルアップや趣味、家族のために費やせるようになったという声もあります。
広い分野で活動できる
企業や専門機関で働くと、顧客の幅が固定されていると感じる人もいるかもしれません。専門分野や得意な領域を軸に活躍していくのがよいですが、もっと活躍の場を広げたいと考える方も多いはず。独立して仕事していく場合は、自ら営業を行うことができるので、活かしたい場を見つけて増やしていくことも可能です。
努力によって収入アップを目指せる
会社員の場合、年に1回の昇給や、成績に応じた賞与額の計算といった制度はあるものの、都度の頑張りに応じて報酬を得ることは難しいです。
給与に頑張りが直結しない、評価制度に妥当性が感じられないと不満を抱いている方もいるでしょう。働きや成果に差のある社員が同じ給与で働いている、という現場もあります。
フリーランスで収入を上げるには自身の得意分野を見極めて確実に実績をつくっていくことが大事です。その努力が認められると収入として跳ね返ってくることが見込まれます。対応件数や支援実績によってよい評価が得られれば、さらなる受注や新たなサイクルを生み出すことができるでしょう。
キャリアコンサルタントとして独立する方法
キャリアコンサルタントとして独立する具体的な流れをお伝えします。
独立・開業の仕方
開業までの事前準備
資金の確保と環境整備を行いましょう。独立して活動していく上で、最初から理想通りの収入が見込めるとは限りません。事業がうまく回るまで安心して生活できる資金を用意しておくのがよいです。また、副業からスタートする、アルバイトなどの直近の収入が確保できる仕事を同時に始めるなど、リスクを分散させるのもよいでしょう。
仕事の環境もしっかり整備しておきましょう。必要な機器や道具が揃っているか、お客から依頼が来たらすぐ対応できる状況かを確認しておきましょう。名刺や印鑑なども必要です。
また、キャリアコンサルタントは、ホームページやSNSを活用している場合が多いです。開業前から自身のドメインを取得する、SNSでPRしておくのもよいでしょう。その際、メインになりそうな受注ルートや、得意な分野を選んでアピールすることも念頭に置き、顧客獲得につなげましょう。
開業・事業スタート
事業の開始は、税務署へ「開業届」を提出することで承認されます。”事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出”が義務になっていますが、提出しない場合の罰則などはありません。
(参考:国税庁・個人事業の開業届出・廃業届出等手続)
一つ注意しておきたいのは、「キャリアコンサルタント」と名乗って活動する場合、資格を取得していなければいけないということです。「資格取得見込みの場合」など、資格取得していないにも関わらずキャリアコンサルタント、もしくは紛らわしい肩書きを名乗って活動すると、30万円以下の罰金に処せられます。
紛らわしい名称としては、「キャリア・コンサルタント」、「キャリアコンサルタント○○(キャリアコンサルタント専門士等)」、「キャリア○○コンサルタント(キャリア形成コンサルタント等)」、「○○キャリアコンサルタント(職業キャリアコンサルタント等)」、「○○キャリコン(標準キャリコン等)」、「キャリアコンサル」等があげられます。
フリーランスとしての働き方
仕事の受注の仕方
人脈の活用、自身で営業を行う、クラウドソーシングやエージェントを利用する、など、自分に合った形で仕事を受注していきましょう。
人脈がないという方も、キャリアコンサルタントのセミナーや勉強会など、同業の方とのコミュニケーションを通して、広げていくこともできます。業界の動向を知る機会にもなりますので、積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
実務、学習を重ねて更にスキルアップ
キャリアコンサルタントとして、更に幅を広げたい、深めたいという方は、実務経験や知識取得を重ねることでスキルアップしていくことも可能です。
キャリアコンサルタントにはその資格の他、「キャリアコンサルティング技能士」という技能検定があります。働きながら自分の目指すレベルまでの目標を設定し、スキルアップしていくこともできます。
他の資格・スキルとかけ合わせて活躍
キャリアコンサルタントとして独立している方の中には、他の資格やスキルと合わせて活動している方も多いです。
例えば、メンタルヘルスに関わる資格を併せて取得し、難しい問題を抱える方への対応力を高めた方、社会保険労務士を併せて取得し、企業・従業員双方の観点から問題に取り組むスキルを持った方、その他にも、行政書士、中小企業診断士など、自身の活躍の領域に相性が良い資格を取得して活躍している方がいます。
キャリアコンサルタントと他の資格・スキル、ダブルライセンスを取得することで、ご自身の付加価値を高めることができます。
将来的な独立を目指して少しずつ活動するのもあり
いきなり独立というのはハードルが高く感じられるものです。実際、実務経験がある方がキャリアコンサルタントとして独立しやすく、その後も成功しやすいと言われています。
独立している方にはさまざまなケースがあります。例えば、副業や派遣業務を経験してから独立し、本業にした例です。副業でキャリアコンサルタントをしている方の中には、企業で全く別の業務をしながら、月に数時間を割いているという方もいます。スキルを習得しつつ、こつこつ実務経験を積むことができます。
また、育児をしながら資格を取得し、開業、オンライン環境が整ったことを活かし、オンラインのカウンセリングを実施していている方もいます。
ご自身の状況に合わせて、「将来的には独立してみたい。そのために今はこれを勉強してみよう」と、小さな目標を設けていくのもおすすめです。
独立・フリーランスと聞くと、「思い切りが必要」「ハードルが高い」といったことをイメージされる方も多いと思いますが、キャリアコンサルタントとしての活躍は、小さな一歩から着々と形成できるものなのです。
副業を経てフリーランスになったAさんの例
最後に、副業で経験を積み、フリーランスになったAさんの事例を紹介します。
企業の人事部で社会保険労務士の資格取得をしたのを皮切りにキャリアコンサルタント資格を取得したAさん。キャリアコンサルタントとしてのキャリアを磨く目的で大学のキャリアセンターでボランティアから学生の就活支援サポートをはじめました。しかし学生のキャリア支援ボランティアでは飽き足らず、エージェントに登録し副業としてのキャリアコンサルタント業務を増やしていきました。経験値が積み上がり実績が自信に変わった頃、キャリアコンサルティング技能士2級の合格を経て企業を退職し独立。エージェントからの仕事依頼は保険代わりに続けつつ、フリーランスをメインとして事業を展開するまでになりました。 |
まとめ
このページでは、キャリアコンサルタントとして独立する場合について解説してきました。
キャリアコンサルタントの仕事についてのご説明から、キャリアコンサルタントは独立可能なのか、独立する場合の課題とメリット、独立の例をご紹介しました。今回の解説を通して、キャリアコンサルタントの活躍を知っていただき、ご興味をお持ちの方が一歩踏み出すお力になれましたら幸いです。
Q&A
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この記事の監修者
元村久美子
国家資格キャリアコンサルタント
広告会社、大手化粧品会社宣伝部にてマスコミュニケーションに携わる。 その後フリーランスとして様々な分野で活動。
国家資格キャリアコンサルタントとしては企業内障害者ジョブ支援を経験後、 自治体事業の就労支援・プログラム講師等も担当している。
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