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キャリア - 2024.10.17更新 / 2022.11.09公開
内的キャリアを知ると働き方が変わる! 考え方をわかりやすく解説
キャリアには、「内的キャリア」と「外的キャリア」という2つの視点があります。
このページでは、特に近年重要視されるようになってきている「内的キャリア」について詳しく解説します。
外的キャリアとは
まずは、外的キャリアからみていきましょう。
外的キャリアとは、外側から見たキャリアのことです。
職種・職位・技能・実績・年収など、客観的に把握できる経歴や、外から与えられる称号、報酬を指します。エントリーシートや履歴書に記入できるようなわかりやすい指標とも言えます。
内的キャリアとは
次に、内的キャリアをみていきます。
内的キャリアとは、自分自身の内側にある価値観です。
仕事のやりがい・キャリア開発できることへの喜び・仕事の人間関係から得られる満足感など、仕事や働き方、ひいては生き方に対する個人の主観的な評価や認識・価値観を指します。
内的キャリアは、本人が口にしない限りは他者には判断することが難しい価値基準だと言えます。また、本人であっても、自覚しているかどうかで理解の深度は異なります。
高まる内的キャリアの重要性
仕事する上でのポジションや報酬といった外的キャリアは、働く上でなくてはならないものです。
一方、外的キャリアが充実していても、やりがいを感じない、働きがいがないという、内的キャリアが不足しているケースもあります。近年は内的キャリアの充実が特に重要視されています。
内的キャリアが重要な理由の一つは、業績向上への影響です。
内的キャリアが充実することで、従業員はもっと活躍したい、もっと成果を出したいと業務に率先的になり、高いパフォーマンスを発揮します内的キャリアの充実度が高い企業は、従業員一人当たりの生産性も高いのです。
2つ目の理由は、人材確保の観点です。
働きがいが高いほど離職率が低く、従業員が定着することがわかっています。労働人口の減少が見込まれる現代において、事業継続のために非常に重要なポイントになります。
これまで「働きやすさ」、つまり労働条件や福利厚生など、目に見える外的な報酬に焦点があたることが多かったですが、近年は従業員それぞれの「働きがい」などの内的キャリアに注目する企業が増えているのです。
内的キャリアの基準は個人になるため高めるのは難しいですが、様々な企業で取り組みが行われています。
内的キャリアを見つける方法
内的キャリアを充実させるためにはまず、自身が自覚することが必要です。
どういった仕事に興味があり、やりがいを感じるのか、どういった人間関係で仕事を達成した時に満足感が得られるのかなど、自身への気付きを得る方法を説明します。
内的キャリアを見つける手順
内的キャリアを見つけるためには、過去の自身の行動・考え方を知る自己分析と、アクションを取るその時々の動機・意識を認識することが必要です。
自己分析では経験の棚卸をしながら、やりがいを感じたこと、感じにくかったことなどを整理していくとよいでしょう。
動機・意識の認識は、仕事を行う上で自身が何を考えているか、なぜそのやり方を選んだのかなど、実際に業務を行いながら見つめ直していくとよいでしょう。
これまで意識していなかった自身の考え方や価値観に気付くきっかけになるでしょう。
内的キャリアを見つける具体例
内的キャリアを見つける具体例をみていきましょう。
1.キャリア・アンカーを明確にする
「キャリア・アンカー」とは、エドガー・H・シャイン(Edgar H. Schein)が提唱した言葉です。「キャリア・アンカー」の”アンカー”とは船の錨のことで、キャリアのよりどころとなるもののことを指します。
キャリア・アンカーを明確にするメリットとして以下が挙げられます。
【メリット1】自分にあった働き方を見つけることができる
適職を知ることで、満足度が高くやりがいのある働き方を選択しやすくなる。
【メリット2】業務の不一致を未然に防げる
個人と企業両方にとって、業務のミスマッチを未然に防ぐことができ、従業員に適した部門に配置することにより、離職率の低下も期待できる。
キャリア・アンカーは、以下の8つのカテゴリに分類して考えることができます。
① 管理能力 |
組織の中で責任ある役割を担うことを望む。これに当てはまる方は、経営者タイプと言えます。 |
② 技術的・機能的能力 |
自分の専門性や技術が高まることを強く望む。これに当てはまる方は、企画、営業、エンジニアリングなど、特定の分野で能力を発揮することに喜びを感じるタイプと言えます。 |
③ 安全性 |
安定的に1つの組織に属し勤め上げることを望む。これに当てはまる方は、雇用安定を重視するタイプと言えます。 |
④ 創造性 |
クリエイティブに新しいことを生み出すことを望む。起業的な発想・行動を好む。これに当てはまる方は、新しいものを創り出すこと。障害やリスクを恐れずに行動し、結果を得ることが原動力なタイプと言えます。 |
⑤ 自律と独立 |
自分で独立することを望む。これに当てはまる方は、組織のルールややり方に縛られずに、自分のやり方で働きたいタイプと言えます。 |
⑥ 社会貢献 |
才能や有能な分野よりも価値観によって方向づけられている。これに当てはまる方は、暮らしやすい社会の実現、他者の救済、教育などに価値を見出し、成し遂げていくタイプと言えます。 |
⑦ 全体的な調和 |
個人、家族、仕事のバランスを望む。これに当てはまる方は、個人的な欲求、家族の願望、自分の仕事とのバランスや調整を考え、全体的な調和を実現したいタイプと言えます。 |
⑧ チャレンジ |
不可能と思えるような障害を克服する。これに当てはまる方は、困難な問題の解決や人との競争にやり甲斐を感じ、新しさや変化、難しさを目標とするタイプと言えます。 |
ある程度の職業年数を経験し、成功や失敗などを重ねてきた方にとっては、自身のタイプの指標になるのではないでしょうか。具体的な経験を思い出しながら自分自身への理解を深め、よりはっきりとした内的キャリアを見つけてみてください。
2.セルフ・キャリアドックの活用
内的キャリアは個人の価値基準であるとはいっても、自分の力だけで明確にするのは難しいものです。そんな時は、企業に導入されている制度を利用するのも良い手段です。
キャリア形成が重要視されるようになった中、「セルフ・キャリアドック」という制度が注目されています。
「セルフ・キャリアドック」とは、「企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組み、また、そのための企業内の『仕組み』のこと」
引用:厚生労働省 | 「セルフ・キャリアドック」導入と方針と展開
キャリアの専門家であるキャリアコンサルタントが、企業と従業員のすり合わせを行いながら実施するため、双方の課題解決につながりやすく、高い効果が期待できます。
働きがいなど、内的キャリアについて理解を深める機会になることはもちろん、より充実させていくためのきっかけになるはずです。
まとめ
このページでは、キャリア、とりわけ「内的キャリア」について解説してきました。今回の解説を通して、キャリアへの理解を深めるとともに、自身の内的キャリアを発見するお力になれましたら幸いです。
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また、動機や認識などは、実際に業務を行いながら見つめなおしていくと、今までは特別意識をしていなかった自身の価値観に気づくきっかけにもなります。
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