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キャリア - 2024.11.08更新 / 2023.09.17公開

個人のスキルが企業に与える影響 無形資産「インタンジブルズ」とは

2000年代に入ったころから、「人的資本」に大きな関心が寄せられるようになりました。その中でもビジネスシーンでは「無形資産」を意味する「インタンジブルズ」が注目を集めています。

この記事では、従業員個人が持つ形の無い資産である「インタンジブルズ」に焦点をあてて紹介します。

インタンジブルズとは

インタンジブルズとは、企業のブランド価値や特許、ソフトウェアや研究開発、そして従業員のスキルなど、形を持たない資産である「無形資産」を指します。

インタンジブルズの要素

ブランド価値

企業や製品の名前やイメージ、顧客の認識や信頼を含むブランドの価値。

特許や知的財産

企業が保有する特許権、商標、著作権、ノウハウなどの知的財産権。

研究開発(R&D)

企業が行っている研究開発活動や技術的なノウハウ。

ソフトウェアやデータベース

ソフトウェアプログラムやデータベースの開発・保有に関連する価値。

マーケティングおよび顧客関係

顧客データベースやマーケティング戦略に関連する価値。

従業員のスキルや教育

従業員の経験、専門知識、技能、トレーニングに関連する価値。

「資本」「資産」「資源」それぞれの違い

「人的資本」「人的資産」「人的資源」などの違いについてみていきましょう。

人的資本

個人の能力の経済的な価値

 

人的資産

個人の能力そのものの価値
企業が能力向上のために投資する

 

人的資源

個人の能力を企業が消費していく
能力向上のためにかかる費用はコストに分類される

 
以前は従業員のスキルは消費する、コストがかかる人的資源とされていました。

しかし近年では、従業員の能力を価値とし、向上のために企業が投資をする人的資産であると捉える動きが強まっています。

日本の有形資産と無形資産の割合

有形・無形と聞くと文化財をイメージする方が多いかもしれません。

有形文化財は形としてあるもの、無形文化財は伝統工芸などの形がない文化財を指しますが、インタンジブルズも同様に、無形の資産や価値を意味します。

経済産業省がまとめた通商白書2022では、2015年のアメリカの無形資産の割合は84.0%だったのに対し、日本では31.0%となっています。

また、諸外国と比較しても日本の無形資産の割合は低い傾向にあるため、企業の存在価値を高める上で、割合を高めることが課題とされています。


経済産業省 | 通商白書2022 第Ⅱ-2-3-1図を加工して作成

では、世界的に見ると無形資産の割合が高く、インタンジブルズが注目されている背景には、どのようなどのようなものがあるのでしょうか。

インタンジブルズが注目される背景

インタンジブルズが注目される背景には、最先端技術の発展が大きく関係しています。

最先端技術産業の市場規模


経済産業省 | 通商白書2022 第Ⅱ-2-3-2図を加工して作成

近年、デジタル技術の発展と知識経済の台頭により、経済活動の中心は物理的な資産から知識や、情報に基づく資産へとシフトしています。

従来の生産資源や物理的な資産に加えて、知識、技能、ブランド価値などのインタンジブルズが重要な要素となりました。

技術革新とイノベーション

技術の進歩が加速し、イノベーションがビジネス成功の鍵となっています。

イノベーションは、従業員の創造性や専門知識、経験に基づいて生み出されるものであり、これらはインタンジブルズとして評価されます。

ESG

ESG(Environmental Social and Governance)とインタンジブルズは重要とされています。

ESGは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの要素を指し、企業のサステナビリティ、社会的責任、リスク管理といった、長期的な価値創造に影響を与える要素となります。

人的資本可視化指針

内閣官房は2022年8月に「人的資本可視化指針」を発表しました。

人的資本の可視化は以下の方法で進めることが望ましいとしています。

1.

可視化において企業・経営者に期待されること

2.

人的資本への投資と競争力のつながりの明確化

3.

4つの要素(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った開示

4.

開示事項の類型(2類型/独自性・比較可能性)に応じた個別事項の具体的内容の検討 ※具体的な開示事項の検討に際しての留意点有り

参考)内閣官房 | 人的資本可視化指針

では、人的資本の価値を高めるために考慮すべき点は何なのでしょうか。

企業がインタンジブルズの価値を高めるためには

働き方が多様になり、スキルを持つ人材は、自身の価値を最大限に活かせるフィールドを選択できるようになりました。

企業は従業員の技術や能力を最大限に活用するために、人材の採用や育成、維持・管理に注力する必要があります。また、従業員の離職や引退などによって失われる可能性もあるため、人材管理と継続的な能力開発が課題となっています。

企業が人的資本の価値を高めるためには、以下を考慮することが重要です。

  1. 適切な人材配置

  2. 教育と開発

  3. 従業員のモチベーションとエンゲージメント

順番に見ていきましょう。

1.適切な人材配置

人的資本の価値を高めるためには、従業員のスキルや適性に応じた人材配置を考慮することが基本とされています。

個々の潜在価値や個性を見極め、従業員が持つ強みを企業の成長につなげていくことが重要です。

2.教育と開発

人的資本を高めるためには、従業員の教育と開発に積極的に取り組む必要があります。

定期的な研修プログラムや継続的なスキルアップの機会を提供することで、従業員の能力や知識の向上が期待できます。

3.従業員のモチベーションとエンゲージメント

従業員のモチベーションとエンゲージメントを高めることは、人的資本の価値向上につながります。

従業員エンゲージメントを高めるために、組織内のコミュニケーションを改善し、従業員のやりがいや意欲を引き出す環境を整えることが重要です。

従業員のスキル向上

インタンジブルズの価値を高めるためには、従業員のスキルアップが大きく影響します。

従業員個人がスキル向上のために取り組めることは以下の3つです。

  1. 継続的な学習

  2. フィードバックの受け入れと改善

  3. 自己評価と目標設定

1つずつ見ていきましょう。

1.継続的な学習

スキルアップに学習は欠かせません。

業界全体のトレンドや、関連するトピックやスキルについて、書籍やウェブページなどの資料を活用して学びましょう。

また、セミナーやワークショップに参加することも有益です。

2.フィードバックの受け入れと改善

上司やチームからのフィードバックを積極的に受け入れ、改善する意識を持つことが重要です。

他者からの意見や建設的な批評は、自己成長のための貴重な情報源です。

3.自己評価と目標設定

定期的に自己評価を行い、自分の強みや改善すべき点を見つけましょう。それに基づいて具体的な目標を設定することで、より具体的なプランを立てやすくなります。

1から3の方法を効率よく組み合わせて実践することで、スキルアップの促進につながります。

また、自己評価を定期的に行う時には「リフレクション」を取り入れるとよいでしょう。
 

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「リフレクション」をサクっと解説! 進め方やポイントとは? | リカレントcounselor

 

まとめ

この記事では無形資産を意味するインタンジブルズを紹介しました。

無形資産は、企業の競争力や将来の収益に大きな影響を与えることがあり、強力なブランド価値を持つ企業は、市場での競争力を高めることができます。

また、従業員個人の持つスキルもインタンジブルズに含まれることから、従業員個人がスキルアップに取り組むことも非常に重要になってきますので、ぜひ自身のスキルを高めていきましょう。

Q&A

インタンジブルズとはなんですか
形を持たない資産である「無形資産」がインタンジブルズです。
インタンジブルズの要素を教えてください
企業のブランド価値、特許や知的財産、研究開発、ソフトウェア、顧客関係、そして従業員のスキルなどがインタンジブルズの代表的な要素です。
インタンジブルズが注目される背景は?
最先端技術の市場規模が拡大されていることが大きく影響していると考えられています。
インタンジブルズの価値を高めるためには?
企業による人材管理と、従業員の継続的な能力開発が重要とされています。

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