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キャリア - 2024.09.05更新 / 2024.02.21公開
新しい働き方「ジョブ・シェアリング」に注目する~そのメリットと注意点
近年注目を集めている働き方のひとつとして、「ジョブ・シェアリング」があります。
このページでは、そもそもジョブ・シェアリングとは何か、ジョブ・シェアリングとワークシェアリングの違い、ジョブ・シェアリングのもたらすメリットについて解説していきます。
ジョブ・シェアリングとは
ジョブ・シェアリングとは、「フルタイムで働く従業員1人の職務・成果・処遇のすべてを2人(以上)で分担すること」を指す言葉です。なおこの考え方は、20年以上前の2001年にはすでに日本の厚生労働省の発表した報告書で見ることができます。
ジョブ・シェアリングの考え方は、「労働者がプライベートの時間を自分自身で決めることができるように」「柔軟な働き方ができるように」という目的の元で導入が検討されてきた経緯があります。
よりよい働き方を考えるにあたって、知っておきたい働き方のひとつだといえるでしょう。
ジョブ・シェアリングにおける賃金
ジョブ・シェアリングの下では、労働者1人あたりの労働時間が2分の1(以下)程度になります。ジョブ・シェアリングの適合者は短時間労働者となるため、勤務時間に応じた賃金になるケースが一般的には多いとされています。
ジョブ・シェアリングにおける評価
ジョブ・シェアリングにおいては、2人で行った業務とその成果に対して評価が行われます。つまり、業務の責任や評価は2人セットで受けることになります。
そのため、ジョブ・シェアリングを導入する場合は、仕事を2人以上で分担することで、1人で仕事をするときと同等以上の成果を上げられるかどうかを考えることが必要です。
そしてこれを実現するためには、単純に50:50で仕事を分けるのではなく、それぞれの適正に合った仕事を割り振ったり、ジョブ・シェアリングを行う従業員間で、円滑な情報共有を行うなどの工夫が必要になってきます。
ジョブ・シェアリングとワークシェアリングの違い
次に、似た言葉のワークシェアリングとジョブ・シェアリングの違いについて解説していきます。
ワークシェアリングは、「雇用の維持・創出を目的として労働時間の短縮を行うものである。」とされています。日本においては、働き方の多様化や不況時の雇用維持を主な目的として推進がされていました。
参考:厚生労働省 わが国におけるワークシェアリングの実践例
ワークシェアリングには、「雇用維持型」と「雇用創出型」があります。前者は、1人あたりの従業員の労働時間を減らすことで、企業として従業員の雇用を維持し続けることを目的としています。そして後者は、短時間勤務により雇用人数を増やし、企業にとって有益な多種多様な人材を確保することを目的としているものです。
ワーク・シェアリングは雇用の維持と均等な労働時間分散が中心であり、ジョブ・シェアリングは従業員の個別の労働時間の短縮や柔軟性を重視しています。
ジョブ・シェアリングの3つのメリット
ここからは、ジョブ・シェアリングがもたらすメリットについて解説していきます。
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労働時間が短くなる
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働く場所を確保しやすくなる
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1人にかかる業務上のストレスが減る
1つずつ説明します。
労働時間が短くなる
ジョブ・シェアリングは、「1人分の仕事を2人以上で行う働き方」です。そのためこれを実施することで、一人ひとりがこなさなければならない業務量が減り、労働時間が短くなります。
労働時間が短くなれば、プライベートの時間が確保できるため、子育てや介護との両立がしやすい環境になります。
また、副業やスキルアップのための学習と並行しながら就労できるという点が大きなメリットだといえるでしょう。
企業側はジョブ・シェアリングを実施する過程で、多くの場合、業務フローの見直しや、労働環境の改善などにも力を入れていく必要があります。
労働環境や働き方が改善されれば、業務の効率化が期待できるため、被雇用者が長時間労働から解放される可能性が高くなります。
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働く場所を確保しやすくなる
ジョブ・シェアリングを実施することで、「働き場所を求める人」が就労先を確保しやすくなります。今までは1人分だった就労の枠に、2人以上の人が入ることができるようになるからです。
また、上記で例として挙げた、「子どもや要介護者がいるため、フルタイムで働くことができない」「1人分の仕事を、1人で完結することが難しい」という立場でも雇用されやすくなります。副業を考えている人にとっても、ジョブ・シェアリングは親和性が高い考えだといえるでしょう。
なお、たとえジョブ・シェアリングが実施されたとしても、元々雇われていた従業員の雇用自体は確保されます。そのため基本的には「働く場所」を失うというデメリットはないといえます。
しかしフルタイムで働き続けることを希望していても、「ジョブ・シェアリングが導入されたことで働く時間が減り、給与が下がった」という状況になる可能性は考えられます。
1人にかかる業務上のストレスが減る
過重労働は、人の心を摩耗させ、ストレスを上昇させます。また、ストレスがかかると人はミスをしやすくなり、さらに「ミスをしたことのストレス」が新たなミスを誘発するようになります
ミスが頻発すれば上司から叱責される機会も多くなりますし、仕事に対するモチベーションも保ちにくくなってしまいます。
しかしジョブ・シェアリングを実施することによって、1人あたりの労働量が減ります。この結果として、被雇用者の負担は減り、安定した精神状態を保ちやすくなると考えられています。
ジョブ・シェアリングのデメリット
ジョブ・シェアリングにはデメリットもあります。
賃金の減少
労働者の勤務時間が短くなることで、従来よりも、得られる賃金が少なくなるため、ジョブ・シェアリングを希望していなかった従業員にとっては、希望する働き方とは異なる場合があります。
このため企業は、成果に応じた賞与の調整や、福利厚生の充実、副業を可能にするなどの、賃金減少をカバーする仕組みの検討が必要な場合もあるでしょう。
評価の平等性
ジョブ・シェアリングは、業務や成果、処遇が2人以上でセットとなる制度であるため、能力格差があった場合は、評価が不公平なものとなる可能性があります。
例えば、同じ時間数を働いたにもかかわらず、70%の業務を進めた従業員と、30%のみを行った従業員とでは、負担の多かった従業員側が不満を抱くことになります。
2人の能力を事前に把握し、能力に差がある場合はどのような業務分担にするのかなどを事前に検討することが必要で、かつジョブ・シェアリングを行う従業員間で円滑にコミュニケーションを取れるようにするなどの準備が必要です。
制度の整備
ジョブ・シェアリングの導入により、新しい就業形態、人事評価、就業状況管理等のための準備や整備が必要になります。特に、人事・総務部門での負担が増加します。
平等な評価基準を作る、ジョブ・シェアリングを行う従業員がよりよく働くための環境整備、それらのマニュアル作成など、対応は多岐にわたるでしょう。
まとめ
ジョブ・シェアリングとは、1人分の労働時間・評価・成果などを2人以上で分け合う考え方をいいます。このジョブ・シェアリングは、1人あたりにかかる労働時間やストレスを軽減し、雇用の拡大につながると考えられています。
このページでは、ジョブ・シェアリングのメリットだけではなくデメリットもお伝えしましたが、企業側がジョブ・シェアリングの導入に向けた十分な準備や整備を行い、従業員側も制度の特長を理解することで、より良い働き方の一つとなっていく可能性もあるといえるでしょう。
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