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キャリア - 2024.09.18更新 / 2022.11.04公開

【キャリアに役立つ】クランボルツの「プランドハップンスタンス理論」とは? 

キャリアに関する理論に「プランドハップンスタンス理論」があります。ジョン・D・クランボルツ(Krumboltz.J.D)という理論家が提唱し、前向きな考え方で人気の理論の一つです。

このページでは、この理論の基本的な考え方をわかりやすく解説します。キャリアについて悩んだ時に読むと、視野が広がるはずです。初めて聞いた、という方もぜひ参考にしてください。

キャリアの8割は偶然

「プランドハップンスタンス理論」は、「キャリアの8割は偶然の出来事で決まる」と考えます。

この8割はどこからきたかというと、ビジネスに成功した人のキャリアを調べた結果、ターニングポイントの8割が、本人が予想しなかった偶然の出来事だったそうです。

1つ、エピソードを紹介しましょう。大学時代、テニスに熱中するあまり、なかなか進路を決めることができない青年がいました。彼はテニスのコーチに進路相談をします。コーチは自分自身が心理学の教授でもあったため、青年に心理学をすすめました。その青年こそが、後にこのプランドハップンスタンス理論を提唱するクランボルツ氏です。彼もまた、偶然の出来事により心理学の道を歩むようになったというわけです。

ではなぜ、計画的に行ってきた結果ではなく、偶然の出来事をきっかけとした成功の方が多いのでしょうか。

社会の変化はコントロールできない

現代は様々な出来事や変化が起きています。自然災害や世界規模の感染症などは、私たちにはコントロールすることができません。

「旅行に向けて計画を立て万全な準備をしていたのに、台風で中止になった」という経験のある方もいると思います。

キャリアにおいても、「自分の適性が活かせるキャリアを考え目標を立てて仕事をしていたのに、自分の希望ではない部署への異動が決まってしまった」ということがあるのではないでしょうか。

このように、想定していなかった出来事で計画が崩れてしまうことは、どうしても起こりえます。

偶然の出来事をチャンスに

計画通りでない出来事が起こったときに、「思い通りに行かなかった」と落ち込んで行動を止めてしまったり、「自分には無理だ」と避けてしまっていると、先に進むことはできなくなってしまいます。

想定外の出来事が起こっても、それを「機会」だと捉え、積極的に行動をすることでキャリアの可能性が広がる、というのが「プランドハップンスタンス理論」です。

目標にこだわりすぎない

これまでのキャリアの考え方は、自分の適性に合った目標を設定し、その達成に向けて行動する、というのが主流でした。

目標は行動を起こす原動力になるため、これが大事なことに変わりはありません。しかし、目標にこだわりすぎると、想定外の出来事が起こったときにそれを受け入れることができず、キャリアの可能性を狭めることになるかもしれません。

「方向性」として目標を定めつつ、変化には柔軟に対応しながら行動していくことが大切です。

部署異動でこれまでとは全く違う業務になった人が、自分に足りない知識やスキルを懸命に習得したことで仕事の幅が広がり、新しいキャリアが開けたというケースはよくあるのではないでしょうか。

想定していないことが起こっても、自分の行動次第でチャンスに変えることができます。

チャンスを引き寄せる

「プランドハップンスタンス理論」では、偶然の出来事を引き寄せるための行動も必要だとされています。

例えば、興味のある分野のメルマガ登録をする、Webニュースで興味のある単語を登録するといった情報収集。イベントや勉強会に参加し、スキルアップをしたり人脈を広げる、資格を取るといった行動も挙げられます。

「チャンス」と気づくことも重要

目の前で偶然の出来事が起こったときに、それを「チャンス」と気づくことも重要です。上の例のように事前にアンテナを張っておき、いざというときにチャンスを掴めるように準備をしておきましょう。

出来事は大きければ良いわけではなく、小さいものでも将来的には大きなターニングポイントになることがあります。また、人によってはどうでも良いことでも、自分にとっては大きいチャンスの場合もあります。

チャンスを引き寄せられるよう、自分から積極的に行動をし、身近なことからでもいいので準備をしておくことが大切です。

チャンスを掴むには

「プランドハップンスタンス理論」では、偶然の出来事をチャンスと捉え、掴むためには次の5つの行動と考え方が必要とされています。

好奇心

新しいことに興味を持つ好奇心が必要です。いつもと同じことを繰り返すのは楽で心地良いですが、いつもと違う行動をとったり、新しいものにチャレンジすることで、新たな発見や出会いがあるかもしれません。

いつも同じお店でパンを買っているけれど、近所に新しくできたパン屋に行ってみる、でもOKです。身近なところから意識的にやってみるのもお勧めです。好奇心を持つことで、様々な出来事に遭遇でき、チャンスを掴む可能性は高くなるでしょう。

持続性

新しいことを始めても最初は上手くいかないかもしれません。そのときにすぐに投げ出さず、継続して続けることが必要です。そこで辞めると失敗はなくなりますが、苦手意識を持ってしまい、チャンスに出会う可能性が少なくなってしまいます。

上手くいかないことを継続することは大変ですが、「ちょっとだけ出来たこと」「少しだけ改善出来そうなポイント」など、無理なく出来そうなところから向き合ってみるのがお勧めです。

持続をすることで、新たなスキルが身に付き、チャンスに出会える可能性が上がります。そして、さらに興味のあることに出会えるかもしれません。

楽観性

多くのことは自分の思い通りには進んでくれません。失敗に必要以上に落ち込まず、「次は大丈夫だろう」「きっとうまくいく」と楽観的に考えることが必要です。

失敗を恐れて新しい挑戦に躊躇してしまうと、チャンスに出会える可能性も少なくなってしまいます。楽観的に考えるのが苦手な方は、「失敗はしたけど、あの人は喜んでくれた」「失敗したけど、次に活かせそう」など、小さいプラスの面を意識的に見つけてみるのもいいかもしれません。

柔軟性

こだわりを持つことは良いことですが、固執しすぎず、柔軟性を持つことが必要です。人それぞれ、仕事の進め方のこだわり、部下育成のこだわり、接客のこだわりなど色々あるでしょう。これにこだわり過ぎてしまうと、新しいやり方やもっと良い考え方などを見逃してしまいます。ときには「人のアドバイスを参考にする」「人の真似をしてみる」などの柔軟性を持つと、新しい発見やチャンスに出会える可能性が増えるでしょう。

冒険心

目の前にチャンスが来たときに、思い切って飛び込む冒険心が必要です。新しいことを始めるときは慎重になってしまいますが、慎重になりすぎるとチャンスは通り過ぎてしまいます。

「とにかくやってみる」という行動力は、偶然の出来事が起こったときにチャンスを掴むきっかけとなります。いざというときにすぐに動き出せるよう、小さいことからでもいいので、日ごろから新しいことに挑戦をしてみてはいかがでしょうか。

プランドハップンスタンス理論を理解したら

プランドハップンスタンス理論の基本的な考え方を理解したとき、「自分も何か新しい挑戦をしてみよう」と思うかもしれません。

たとえばプランドハップンスタンス理論は、国家資格キャリアコンサルタントの学科試験でよく出題されていますので、資格取得に挑戦するのも一つの方法です。

 

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まとめ

「プランドハップンスタンス理論」は、ジョン・D・クランボルツ(Krumboltz.J.D)による、「キャリアの8割は偶然の出来事で決まる」という理論です。

自身のキャリアに悩んでいる方、目標が定まらずどうしていいかわからない方、多くの方が取り入れやすい理論です。

想定外の出来事がチャンスとなるように行動したり、偶然の出来事に出会うために行動することが大切です。「行動する」と聞くと大変に感じる方もいるかもしれませんが、小さい出来事がチャンスになることもあります。ぜひ身近なところから始めてみてください。

 

Q&A

「プランドハップンスタンス理論」は誰が提唱した理論ですか?
ジョン・D・クランボルツ(Krumboltz.J.D)が提唱しました。
「プランドハップンスタンス理論」はどういう理論ですか?
ジョン・D・クランボルツ(Krumboltz.J.D)による「キャリアの8割は偶然の出来事で決まる」という理論です。また、「想定外の出来事をチャンスに変える行動をとる」「偶然の出来事に出会えるように意識的に行動する」ことでキャリアにつながるとしています。チャンスに遭遇するために日ごろから準備をし、チャンスに出会う可能性を広げておくことが大切です。
「プランドハップンスタンス理論」はどうして必要なのですか?
現代社会は、自分ではコントロールできない出来事が起こりえます。自身のキャリアプランを立てていても、外部からの影響で思い通りに行かないこともあります。そのため、「偶然の出来事をチャンスに変える」という「プランドハップンスタンス理論」で柔軟にキャリアを築くことが必要です。
「プランドハップンスタンス理論」に必要な行動と考え方はなんですか?
好奇心、持続性、楽観性、柔軟性、冒険心の5つが必要だとされています。

 

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