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キャリア - 2024.09.19更新 / 2024.05.27公開
企業の力を高める「プロアクティブ行動」について解説!
変化の激しい時代を生き残っていくためには、企業だけではなく従業員の意識改革が欠かせません。
現在では、このような意識改革を助けるためのさまざまな方法論や概念が用意されていますが、 ここでは「プロアクティブ行動」を取り上げて、その概念や歴史、プロアクティブ行動とリアクティブ行動の違い、そしてプロアクティブ行動のもたらすメリットについて解説していきます。
プロアクティブ行動とは、能動的で主体的な行動を指す
プロアクティブ行動とは、「積極的かつ主体的な行動」を指す言葉です。
もう少し詳しく見ていきましょう。
プロアクティブ行動は、ビジネスの場では、「従業員が期待に応じるべく積極的かつ主体的に動くこと」を指す言葉です。また、トラブルなどを予想して、それを防ぐために行動することも含む言葉でもあります。
なお、プロアクティブ行動には2つの要素があります。
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イニシアティブ思考
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チェンジ思考
イニシアティブ思考とチェンジ思考は、どちらも個人や組織が変化に対応し、成長するための重要な概念です。
1.イニシアティブ思考
イニシアティブ思考は、自分自身が主体性をもって物事にあたっていくという考え方です。
イニシアティブ思考は主体性、責任感、創造性、リーダーシップの発揮が重要な要素であるといえます。
2.チェンジ思考
チェンジ思考は、変化を受け入れ、適応し、活用する能力を指します。
変化が生じたときに、これをチャンスと捉え、柔軟に対応し、変化に適応する姿勢が求められます。
両方の概念は、個人や組織が成長し、成功するために重要です。イニシアティブ思考は、新しいアイデアを生み出し、チェンジ思考は、環境や市場の変化に柔軟に対応し、変化をチャンスと捉えて利用する能力を育成します。
2つの要素をバランス良く持つ「プロアクティブ人材」とは
プロアクティブ行動は、イニシアティブ思考とチェンジ思考をバランスよく統合することで成り立つものだとされています。
プロアクティブ行動は組織行動学のひとつであり、このようなプロアクティブ行動ができる人材を特に「プロアクティブ人材」と呼びます。
プロアクティブ行動の概念について
プロアクティブ行動の基本となる概念は古く、1960年ごろからすでに研究が進められていました。
ただ、現在のプロアクティブ行動の概念の基礎となる考え方に注目が集まったのは、それよりもずっと後のことです。研究が始められてからおよそ40年後の2008年にマイケル・グラントが「プロアクティブ行動」という言葉を取り上げたことで広く知られるようになったといえます。
新型コロナウイルスがもたらした企業活動の変化
プロアクティブ行動が注目されるようになったのは、新型コロナウイルス(COVID-19)が大きく影響しています。2019年から世界で猛威をふるったこの新型コロナウイルスは、私たちの生活を一変させ、企業活動を大きく変化させました。
プロアクティブ行動の重要性と再評価
未曾有の危機のなかで、企業は、今までとは異なる企業運営を求められることになりました。その結果として、「将来のトラブルを予期し」「それを積極的に解消するために」「主体的に動ける人材」が重要視されるようになったわけです。
また、従業員一人ひとりがそのようなプロアクティブ人材になれるように、企業側が働きかける必要性も叫ばれるようになりました。
プロアクティブ行動とリアクティブ行動
プロアクティブ行動の対比として、「リアクティブ行動」があります。
リアクティブ行動とは
リアクティブ行動は「受動的で消極的な行動」を指します。リアクティブ行動は、物事が起きた後にどのように対応していくかを考えるものであり、日本的と言えるかもしれません。
リアクティブ行動は受身な行動のため、消極的な印象を持たれがちですが、プロアクティブ行動とリアクティブ行動の間には優劣はありません。
起きたことに対応することも、企業を運営していくうえでは重要です。しかし、リアクティブ行動だけではこの変化の激しい時代では生き残りが難しいともいえるでしょう。
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プロアクティブ行動がもたらす3つのメリット
ここからは、プロアクティブ行動のもたらすメリットについて取り上げていきます。
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作業性とモチベーションの向上
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社会の変化に対応しやすくなる
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従業員のスキルがアップする
ひとつずつ解説していきます。
作業性とモチベーションの向上
従業員の一人ひとりがプロアクティブ行動をとれるようになると、「もっと仕事を効率よく進めるためにはどうしたらよいか」「作業性を上げる方法としてどのようなものがあるか」を考えて、能動的に動くようになるため、作業効率がアップします。
プロアクティブ行動がモチベーションに与える影響
企業がプロアクティブ行動を推奨することで、従業員のモチベーションアップも期待できます。「自分の意見が取り入れられている」「自分の出したテーマを真剣に考えてくれている」という喜びは、従業員のやる気につながるため、ミスもしにくくなるでしょう。
従業員の自主性とやりがいを促進するプロアクティブ行動
さらに、プロアクティブ行動が活発になることで、従業員自身が組織に対する愛着を持つようになります。企業に愛着を持った従業員は離職をしにくくなるため、結果として、「作業が速い熟練の従業員」を育成しやすくなります。
社会の変化に対応しやすくなる
日本で進行している少子高齢化や、情報化社会のあり方の変化は、企業の運営に大きな影響を与えています。そしてこの変化の波は、100年前や200年前に比べて非常に大きく、また速いという特徴を持っています。
自社の変革が求められる背景と必要性
このように目まぐるしく変化していく社会情勢のなかで生き抜くには、企業には「変化に対応する力」と「自社を変革する力」の両方が求められています。
特に後者の「自社を変革する力」は、新しいアイデアや柔軟な思考とセットにされるものです。従業員一人ひとりがプロアクティブ行動により、新しい考えや発想を出していくことが期待されます。
従業員のスキルがアップする
プロアクティブ行動は企業だけでなく、従業員にも数多くのメリットをもたらします。「従業員自身のスキルアップにつながること」もまた、プロアクティブ行動に取り組むメリットであるといえます。
ライフステージの変化とスキルの有用性
自分の仕事を主体的にとらえられるようになり、高いやる気をもって仕事に取り組む従業員は、その過程で、「より自分の能力をアップしたい」「資格を取得してできる仕事をもっと増やしたい」という考えを抱くようになります。
新しいスキルや資格を取得するために行う学習は、その人に多くの利益をもたらします。また、仮にライフステージの変化などによって離職をせざるを得なくなった場合であっても、取得したスキルや資格は復職や再就職の際の強みとなるでしょう。
まとめ
積極的かつ主体的な行動を指すプロアクティブ行動は、この変化の激しい時代のなかで必要とされています。
企業にとっては、プロアクティブ行動をとれる従業員がいることで、新しいアイデアがうまれ、企業の発展につながることが期待できるでしょう。
また、個人にとっても、プロアクティブ行動が取れることは自身の大きな強みになります。
採用活動をしている人事の方はもちろん、これから新しいことにチャレンジしたいという方、キャリアコンサルタントとして様々な人のサポートをしたいという方も、今の社会に求められるものの一つとして参考にして頂けますと幸いです。
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