キャリアコンサルタント大辞典 Career Consultant Dictionary
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キャリアコンサルタント資格 - 2024.10.14更新 / 2022.10.25公開
キャリアコンサルタントを目指す人が読むべき【役割】について解説
キャリアコンサルタントは、多くの人のキャリアや就職・転職に関わる仕事です。このページではキャリアコンサルタントの基本的な役割から、活躍の場ごとに重要視されるスキルについて解説します。
キャリアコンサルタントの役割とは
キャリアコンサルタントは、活躍の場所によって仕事内容に多少の違いがありますが、キャリアコンサルタントに求められる役割の基本は変わりません。
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相談者の悩みの本質を引き出す
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現在持っているスキルを洗い出す
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情報提供と目標達成のサポートをする
この3つです。1つずつみていきましょう。
相談者の悩みの本質を引き出す
キャリアコンサルタントは、主に人のキャリアや就職・転職のサポートをする役割を担います。初めて就職をする人であれば、面接をクリアする方法や履歴書の書き方などの悩みを持っているでしょうし、転職希望者であれば、現在の職場に対する不満や理想とする職場の探し方に悩んでいる人も多いでしょう。
キャリアコンサルタントとしての仕事は、キャリアカウンセリングを通して、このような悩みや不安を聞き出すことから始まります。しかし、単純に「悩みは何ですか?」と聞くだけではありません。相談者は、「自分は一体何に不安や不満を持っているのか」を掴めていないケースがほとんどです。
相談者が「今の仕事をしていても楽しくなくて…」と話したら、「その中でも、どういう業務をしているときにそう感じますか?」といったように、相談者の言葉にしっかりと耳を傾けて少しずつ掘り下げていき、相談者が気づきを得られるようにするのも大切です。
現在持っているスキルを洗い出す
相談者の中には、「自分に合う仕事がわからない」という悩みを持っている人が多くいます。また、意外に思われるかもしれませんが、自分自身が持っている「スキル」を自覚していない人もいます。
この「スキル」とは、資格などの分かりやすいものばかりではありません。たとえばコミュニケーション能力が高く会話が上手かったり、報告・連絡・相談をまめに行えたりすることもまた、1つのスキルだといえます。
また、「これまで事務の仕事だけをしてきたため、対人は苦手。接客や営業はやりたくない」という人もいると思います。しかし、「後輩の育成を大切にしていて、教育係を任されていた」という面を持っていることもあります。本人は苦手と言っていても、別の面を見ると、人と接する業務への可能性が見えてくるかもしれません。
このように、相談者が気づいていない自身のスキルや特性に気づいてもらい、選択肢を広げるというのも場合によっては必要です。
キャリアコンサルタントは、相談者が所持している資格などだけでなく、このような「潜在的なスキル」を洗い出す役割も持っています。
情報提供と目標達成のサポートをする
このように、相談者の状況や悩みを把握し相談者が自分自身への理解を深めた上で、これからどうしていくかを一緒に考えていきます。
例えば、「この業界に就職したい」という目標が決まれば、それに向けて「いつまでに履歴書を作る」「いつまでに応募する企業を選ぶ」といった計画を立てていきます。また、その業界の情報や求人情報などの情報提供や、履歴書作成にあたってのアドバイスなども行います。
また、就職の前にスキルアップのための学習を希望しているようであれば、受講できる講習の情報を提供することも必要になります。
このように、相談者に合わせて情報提供を行い、最終的に相談者自身が目標を決めて、それを達成できるように適切なサポートを行っていきます。
キャリアコンサルタントに求められるスキルとは
上記で挙げた「キャリアコンサルタントに求められる役割」は、そのまま「キャリアコンサルタントに求められる要素」にもつながります。その要素である「傾聴のスキル」「向学心」「冷静な視点と判断力」「柔軟性」「知識」の5つについて解説していきます。
傾聴のスキル
キャリアコンサルタントに求められるもっとも重要なスキルとして、「傾聴のスキル」が挙げられます。傾聴とは、耳を傾けて熱心にきくことを意味します。
キャリアコンサルタントの仕事は、「聞く」ことから始まります。相談者がどんな希望を持っているのか、どんな悩みを持っているのか、どんなキャリア形成を考えているのかなどを丁寧に聞き取っていくことが求められるのです。
キャリアコンサルタントはその立場上アドバイスを行うことになりますが、そのときも相手の言葉を遮らず「まずは相談者の話を聞いてから、動く」という姿勢をとることが求められます。
最新の情報を得るための向学心
就職・転職に関係する情報は、日々変わっていきます。特にIT業界やクリエイティブ業界は、その傾向が顕著です。
このような「業界の変化」「情報の変化」についていくために、キャリアコンサルタントも常に勉強することが必要です。最新の情報を得るためのアンテナと向学心を持ち、常に「今、一番新しい情報」「今、一番正確な情報」を相談者に提示できるようにしておきます。
キャリアコンサルタントの試験を受けるときにはだれもが勉強をすることになりますが、かたちは違えどもこの「勉強」は、キャリアコンサルタントとして働いていく限りはずっと続いていくものです。
プロとしての冷静な視点と判断力
上でも述べたように、キャリアコンサルタントにとってもっとも重要なスキルは「傾聴のスキル」です。
しかしキャリアコンサルタントはたしかにカウンセラー的な性質も持ちますが、冷静で客観的な判断力も有していなければなりません。相談者に寄り添うものの、過度な肩入れはせず、きちんと線を引いたうえで相談者の持っている能力を判断する能力も必要となるのです。
極端な例ではありますが、スキルや経験のない人が、まったく畑違いで、かつ競争率の高い業界への就職・転職を希望し、さらに高い年収も求めている……という状況になった場合は、キャリアコンサルタントは当然それが難しいことを伝える必要があります。そしてそのうえで、その人の現状と、これからの伸びしろを加味した提案を行うことが求められます。
柔軟で適切な提案をできる能力
キャリアコンサルタントは、就職・転職を希望する人が納得のいく就職先を見つけてそこでキャリア構築ができたり、研修などを行ってその職場に所属する人の能力が向上したりすることを目的として、提案をしたり、アドバイスを行ったりします。
そのために、キャリアコンサルタントには相談者一人ひとり・企業一つひとつに合った柔軟な提案・アドバイスを行える能力が求められます。
相談者も企業も、「まったく同じ人・同じ企業」は存在しません。キャリアコンサルタントは相談者の特性をしっかり把握したうえで、その相談者の希望を叶えるためのオーダーメイドの提案をしていく必要があるのです。
キャリアアップのためのステップを明確に提示できるだけの知識
キャリアコンサルタントの役割は、「就職・転職させること」だけではありません。「その後にその人がどのようにスキルアップしていくか」「どのようにすればスキルアップできるか」も考慮して、提案することが求められます。そのためには、キャリアアップのためのステップを正確に読み取る知識が必要となります。
また、それを相談者に明確にわかりやすく説明できるだけの説明力も必須です。どれほどキャリアコンサルタントが「こうしていけばキャリアアップになる」と確信していたとしても、相手がそのアドバイスに不信感を抱いたり、納得ができないと思ったりすれば、キャリアアップのステップを上がっていくことは難しいでしょう。
もっとも、キャリアコンサルタントにもわからないことはあるでしょう。相談者の質問に答えることができず、困ってしまうこともあるかもしれません。
そのような場合は軽率に返事をするのではなく、「即答はできないので、少しお時間をください。きちんと調べてからお答えいたします」などのように返す謙虚さと誠実さが求められます。
キャリアコンサルタントは、カウンセラーとしての役割と、アドバイザーとしての役割の両方を持つものです。ここで挙げてきた「キャリアコンサルタントに求められる要素」は、その役割を果たすために必要なものだといえるでしょう。
キャリアコンサルタントのスキルについてはこちらの記事でさらに詳しく解説をしています。ぜひ参考にしてみてください。
【3分で読める】キャリアコンサルタントに必要なスキルとは? | リカレントcounselor |
職場別にみるキャリアコンサルタントの役割
キャリアコンサルタントの基本と求められるスキルは上で述べてきた通りですが、その働き方は「どこの職場に所属しているか」によって異なります。
最後に、この「職場別にみるキャリアコンサルタントの役割」について解説していきます。
企業の人事部に所属している場合は、面談業務や研修業務を担うことが多い
一般的に「キャリアコンサルタント」と聞いてぱっと思い浮かぶのは、おそらくこの働き方ではないでしょうか。
企業の人事部に所属するキャリアコンサルタントの場合、社員の昇進や異動に係る悩みに寄り添うことや、研修業務などを通しての社員のキャリアデザインのサポートをしていきます。また、キャリアコンサルタントは企業と社員とで行うキャリア開発の中でも、大きな役割を担っています。
メンタルヘルス不調による休職の増加などによって、「企業に所属し、企業のために働くキャリアコンサルタント」のニーズは日々高まっていっています。
人材関係の会社に所属している場合は、転職や就職相談が主になる
人材関係の会社(人材コンサルタント)などに所属して働くキャリアコンサルタントは、そこに相談に来た相談者に転職・就職のアドバイスをしていくことがメインの業務です。
人材コンサルタントのなかで働いていくキャリアコンサルタントには、特に「傾聴のスキル」が求められます。立場も職歴も異なる多くの人の相談に乗るため、「まずは話を聞き、それぞれの抱える悩みや希望を引き出す」という能力が重要視されるのです。
また、人材コンサルタントは「営業職」としての側面も持つため、人材を求める企業との対話スキルも求められます。
大学で活躍する場合は、就職指導が仕事の中心になる
大学に所属して働くキャリアコンサルタントの場合は、大学という性質上、「転職者」ではなく「新卒で就職する人」をサポートしていくことになります。そのため仕事の中心は、「エントリーシート(履歴書)の書き方の指導」「面接の練習と指導」などです。
また、一部の例外を除き、大学生は「まだ一度も就職したことのない人たち」です。そのため、自分自身がどんな職業に向いているのかが見えていない学生が多いです。そんな学生の希望を聞き出して、一人ひとりの成長を見守ることもまた、大学で働くキャリアコンサルタントの役割となります。
キャリアコンサルタントとして大学で働く場合の役割についてや、大学職員と大学で働くキャリアコンサルタントの違いについてなど、こちらの記事で詳しく解説をしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
【就職支援】大学でのキャリアコンサルタントの役割 | リカレントcounselor |
公的機関で働く場合は、就労支援の案内なども仕事の一部に
転職者のほとんどすべてが一度は足を運ぶ場所として、「ハローワーク」があります。このハローワークのような公的機関もまた、キャリアコンサルタントが活躍できる場所のうちの1つです。
一般的な人材コンサルタント以上に足を運んでくる人の属性が多岐に及ぶため、柔軟な対応が求められます。また、公的な機関であるため、制度の面での問い合わせが寄せられることも予想されます。そのため、このあたりに関してもある程度知識をつけておいた方がよいでしょう。
なお公的機関であるハローワークは基本的には土日が休みなので(※一部の施設のみ例外はあり)、ワークライフバランスが取りやすいというメリットがあります。
まとめ
キャリアコンサルタントの仕事は、「悩みを聞く」「スキルを洗い出す」「希望を聞き出す」の3つから成り立っています。また、キャリアコンサルタントに求められる能力として、「傾聴のスキル」「向学心」「冷静な視点と判断力」「柔軟性」「知識」があります。
ただし、活躍の場所(人材コンサルタント・大学・公的機関・企業)によって、働き方や重要視されるスキルには違いがみられます。
このページが、キャリアコンサルタントの役割について知りたいかたの役に立てると嬉しいです。
Q&A
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