キャリアコンサルタント大辞典 Career Consultant Dictionary
キャリアコンサルタントに関する
役立つ情報を掲載
キャリア - 2024.10.10更新 / 2023.12.28公開
全員がリーダー「シェアド・リーダーシップ」が注目される背景とは
ビジネス環境や働き方の多様化により、従来のリーダーシップでは対応しきれない状況が増えつつあります。その中で注目されているのが「シェアド・リーダーシップ」という考え方です。
シェアド・リーダーシップとは
シェアは「分担」や「共有」、リーダーシップは「指導力」や「統率力」という意味を持っています。
シェアド・リーダーシップとは、一人の従業員がチームを牽引していく役割を担うのではなく、チームに所属する全ての従業員がリーダーとして行動し、責任を共有するというアプローチを指します。
従来のリーダーシップは縦の構造を持つ「垂直型」である一方で、シェアド・リーダーシップは横のつながりを意識した「水平型」の関係性を持っています。
シェアド・リーダーシップでは、チーム内の従業員がリーダーシップの役割を果たしていきます。従業員がお互いにリーダーシップを共有し、協力してチームの目標に向かって進むことで、チームの効率性や創造性が向上し、課題解決が促進されるとされています。
シェアド・リーダーシップが注目される背景
VUCA時代を生き残るには、従来のリーダーシップでは対応するのが困難であるという動きが高まっています。
VUCAは、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の頭文字を組み合わせた言葉で、テクノロジーや価値観の変動性、自然環境や政治の不確実性、グローバル化に伴うビジネスの複雑化、そしてこれらの組み合わせによって生じる社会の曖昧さを指します。
VUCA時代においては一人の指導者に頼るのではなく、チームに所属する従業員全てがリーダーシップの役割を果たすことで、柔軟で迅速な対応が可能になると考えられているため、シェアド・リーダーシップが注目されています。
VUCA時代でも迷わないキャリア戦略とは?個人に与える具体的な影響も解説 | リカレントcounselor |
シェアド・リーダーシップの目的
シェアド・リーダーシップの目的は、従業員一人ひとりが主体的に行動でき、かつ目標達成のためにパフォーマンスを向上させることにあります。
また、シェアド・リーダーシップでは、すべての従業員がリーダーの役割を果たすだけでなく、同時に他の従業員をサポートするフォロワーシップスキルも重要になってきます。
他の従業員の強みやアイディアを尊重し協力することで、組織全体が効果的に機能し、共通の目標に向けて進むことが可能となります。
シェアド・リーダーシップの特徴とメリット
従業員は組織から、各自が専門的な知識やスキルを持ち、その分野でリーダーシップを発揮することが期待されます。リーダーシップの責任が一人の従業員に集中するのではなく、分散されるのがシェアド・リーダーシップの特徴のひとつです。
また、状況に応じてリーダーシップの役割を担う従業員が変わることで、チームは共通のビジョンや目標に向けて協力し合うことができるでしょう。
-
課題解決力の向上
-
創造性とイノベーションの促進
-
エンゲージメントの向上
-
成果の向上
1つずつ順番にみていきましょう。
1.課題解決力の向上
シェアド・リーダーシップはチーム内の従業員がリーダーシップの役割を分散し、個々の専門知識やスキルを最大限に生かす手法です。
異なる視点からのアプローチを組織に取り入れることで、課題解決力の向上が期待できます。一人の指導者のリーダーシップに依存せず、チーム内のすべての従業員がリーダーシップを発揮することで、効果的に課題を解決していくことができるでしょう。
2.創造性とイノベーションの促進
異なるバックグラウンドや経験を持つ従業員が協力することで、多様なアイディアが生まれやすくなります。
シェアド・リーダーシップの持つ多様性によって、新しいアイディアや斬新な戦略の発想が促進されます。
シェアド・リーダーシップはチーム内のすべての従業員にリーダーシップの役割が期待されるため、主体的にイノベーションを起こす環境を生み出します。
3.エンゲージメントの向上
シェアド・リーダーシップにおける自己責任と役割分担は、エンゲージメントの向上につながります。
従業員が自らの強みを最大限に発揮して責任を果たすことで、個々のパフォーマンスが強化され、組織の課題に対処する能力を高めます。
また、目標達成のサイクルがエンゲージメントを育み、組織の成果を持続的に向上させる要素となります。
4.成果の向上
シェアド・リーダーシップは個別のリーダーシップに依存せず、チーム内の従業員全体がリーダーシップの役割を果たすため、組織内での知識や経験の共有が促進されます。
成果の向上においては、シェアド・リーダーシップは従業員のモチベーションを高め、自律的かつ責任感のある行動を促進します。
総じて、シェアド・リーダーシップは組織において持続的な可能性と成果の向上をもたらし、変化の激しい現代のビジネス環境においても堅牢な基盤を築く効果的なリーダーシップアプローチとなっています。
シェアド・リーダーシップのデメリット
シェアド・リーダーシップには注意点もあります。
シェアド・リーダーシップを望まない従業員もいる
デメリットとしては、リーダーシップを望んでいない従業員も、リーダーシップの役割を担う必要があることです。一部の従業員がリーダーシップに対して消極的な場合は、不満や抵抗感を引き起こす可能性があります。
十分なコミュニケーションが必要
シェアド・リーダーシップには従業員間の信頼やコミュニケーションが必要不可欠なため、十分な信頼関係を築くことが難しい場合、リーダーシップの共有が効果的に行われないケースもあります。
シェアド・リーダーシップでは従業員が柔軟かつ自律的にリーダーシップの役割を果たすことが期待されますが、一部の従業員がこの期待に応えることが難しい場合もあるため、従業員に対するヒアリングをしっかりと行っていく必要があります。
シェアド・リーダーシップのポイント
シェアド・リーダーシップを取り入れる際に必要なポイントを紹介します。
組織やチーム目標の明確化
シェアド・リーダーシップにおいては、従業員が主体的な姿勢を持つことが求められますが、前提として、チーム全体が共通の目標やビジョンを共有していることが不可欠です。
組織やチームが目標やビジョンを適切に提示することで、同じゴールに向かって協力して取り組む状態が生まれます。目標を明確にすることで、組織全体の成果に結びつくと考えることができるでしょう。
フォロワーシップの重要性
シェアド・リーダーシップではリーダーシップの役割だけでなく、他の従業員を支えサポートするフォロワーシップも重要とされていますので、積極的にチームに貢献する姿勢が必要であるといえるでしょう。
他の従業員をサポートし、協力して仕事に取り組む姿勢が、チーム全体の力を最大限に引き出します。
リーダーシップとフォロワーシップが相互に補完し合うことで、より効果的で柔軟なチームが形成されることが期待できます。
メンバーは協力とサポートの精神を持ち、リーダーとしてもフォロワーとしても適切な時に適切な役割を果たすことがシェアド・リーダーシップのポイントです。
まとめ
このページでは、シェアド・リーダーシップについて解説しました。
シェアド・リーダーシップは、チーム内の従業員全員がリーダーとしての役割を果たし、共通のゴールに向けて協力して目標達成していくため、生産性向上やイノベーション促進につながります。
従業員同士が積極的に情報や意見を共有し、協力して課題に取り組むことで、変化の激しい現代のビジネス環境に適応しやすくなるでしょう。
Q&A
初心者から短期間で
カウンセラーやキャリアコンサルタントになるには
リカレントでは、日本を代表するキャリアカウンセリングスクール「リカレントキャリアデザインスクール」を運営しています。
「国家資格キャリアコンサルタント」を取得したい方や、初心者からキャリアカウンセラー、キャリアコンサルタントとして、キャリア支援を行ってみたい方は、ぜひ下の青いボタンからパンフレットをご請求ください。