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キャリア - 2024.11.01更新 / 2023.07.19公開
効果を発揮するスキルアップの方法・コツを紹介!
「仕事で課題にぶつかっている」
「もっと成果を出せるようになりたい」
「従業員の力を高めたい」
このようにスキルアップによって、現状を打破したいと考えている人は多いのではないでしょうか。
このページでは、そもそもスキルアップとは何か、重要性や具体的な方法をご紹介します。
そもそもスキルアップとは何か
日常的に使われる「スキルアップ」という言葉ですが、どういう意味なのでしょうか。様々な場面で用いられるため、具体的に何を指すのかわからないという方も多いと思います。「スキル」とは、「スキルアップ」とは何なのか今一度整理してみましょう。
スキルアップとは
スキルアップとは、訓練、研修、学習、仕事などの経験を通して、個人の能力を向上させることです。
スキルアップと聞くと、「既に持っているスキルをさらに高める」というイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、本来のスキルアップとは、既にあるスキルを高めるだけでなく、ゼロから知識を獲得し技術として定着させていくことも含みます。また、天性の能力を伸ばすこと、自己啓発、マインドを鍛えることもスキルアップに含まれます。
スキルアップとは幅広い意味を持つ言葉なのです。
スキルについて考える
スキルアップという言葉の幅広さについて説明しましたが、「スキル」という言葉についてはどうでしょうか。こちらの意味を整理することで、スキルアップについての理解が深まります。
スキルとは
スキル(skill)とは、「技能」「能力」を示す言葉です。教養や訓練、学習、仕事などの経験を通して身に付けたものを指します。個人の資質を活かす・伸ばす形で獲得した強みや、磨きがかかった才能もスキルと呼ばれます。
実は和製英語の「スキルアップ」
スキルは、教育やビジネス、人材開発などの場面で、長く用いられてきました。日本では、スキルを磨くという意味で、「スキルアップ」が用いられるようになりました。
実はスキルアップは和製英語で、英語圏では意味がうまく伝わりません。”スキル”を”アップ”するという言い回しは、日本ではイメージがしやすく浸透したのかもしれません。
キャリアアップ、ステップアップとの違い
スキルアップと似ている言葉に、「キャリアアップ」や「ステップアップ」があります。
キャリアアップとの違い
キャリアアップとは、「専門的な知識や高い能力を身につけて、経歴や役職、市場価値を上げる」という意味です。例えば、条件が良い大きな企業に転職する、昇進・昇格などで社内でのポジションを上げるなどがそれにあたります。
一方で、スキルアップは個人の能力を高めることのみを指す言葉で、経歴や役職を高めることは含みません。
スキルアップによってキャリアアップが狙えるケースはありますが、この2つは同じ意味合いではありません。
ステップアップとの違い
ステップアップも、日常生活でよく見聞きする言葉ではないでしょうか。
ステップアップ(step up)は、英語では、目的達成のためや難しい状況を打破するために「立ち上がる」という意味合いです。
日本では、「徐々に進歩する」「一つずつ物事を解決していく」という意味で使われています。キャリア、勉強、ライフワーク、ゲームや人間関係など、あらゆる場面で用いられています。
日本での用いられ方で比較すると、ステップアップとは段階が移行していくことを示すものであり、必ずしも能力の向上と関係しない点で、スキルアップとは異なっています。
スキルアップはなぜ重要なのか
漠然と「スキルアップしなければ」と感じている方は多いと思います。なぜ、スキルアップが重要なのでしょうか。スキルアップが必要とされる背景とメリットを、主にビジネス的な観点から解説していきます。
スキルアップの必要性
近年、社会や労働市場は変化が激しくなっています。ここ数十年のトピックを追ってみても、脱・年功序列制度、グローバル化や顧客ニーズの変化による企業間競争激化、技術革新など多くのものが挙げられます。
企業はこれまで以上に厳しい環境を生き抜かねばならず、どういった人材を雇用するかの判断もシビアになっています。そのため、労働市場で価値ある人材であるために、個人の自発的なスキルアップが求められています。
スキルアップのメリット・効果
変化の激しい現代において、スキルアップによって個人が得られるメリットはたくさんあります。
できることが増える
新しい知識・能力を習得することで、できることが増えたり、成果物の質を高めたりすることができます。仕事の面では、業務の幅が広がる、難易度の高い業務に挑戦できるといった効果が期待できます。
生産性が高まる
遂行能力が上がることで生産性が高まります。生産性が高まると、新たな時間の創出につながり、他の業務に力を入れたり、他のスキルを習得する時間の確保につながります。
評価が上がる、昇進・昇給が見込める
スキルアップによって良い成果が出やすくなり、社内・社外の評価が高まることが期待できます。人事評価に反映されることで、昇進や昇格、昇給といったキャリアアップも見込めます。
モチベーションや自己肯定感が高まる
できることが増えると視野が広がります。挑戦してみたいこと、解決したい課題などが見えてくることも多いはずです。自然とモチベーションが高まり、主体的に取り組む姿勢につながります。また、できることが増えると自己肯定感も高まり、自信を持って前向きに挑戦できるようになります。
選択肢が広がる、自分の市場価値が高まる
スキルアップすることで、自身の将来の選択肢が広がります。社内でどのような働き方を目指していくか考える、社外にも目を向けて挑戦してみたい領域や職種を検討する、独立を目指すなど、自身のキャリアを広げることができます。
また、スキルアップによって得られた能力は、自身の市場価値を高めます。客観的な判断材料を増やすためにも、スキルアップは有効です。
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スキルアップにデメリットはある? 効果を発揮しないケース
ここまで、スキルアップの必要性とメリットをご紹介してきました。では、スキルアップにデメリットはあるのでしょうか。スキルアップの取り組みがうまく効果を発揮しないケースをご紹介します。
スキルを活かしきれず不満を感じてしまうケース
スキルの習得・向上には時間と労力がかかるものです。せっかくスキルアップしたけれど、活かす機会がない、少ないという状況では不満を感じてしまうことがあります。
金銭的な問題、時間的問題が生じるケース
場合によっては、金銭的負担や時間的負荷がかかることがあります。スクールやセミナーに通う、1日数時間を費やして資格の勉強をするといったこともあるでしょう。
理想としていた結果が得られ満足できればよいですが、そうでない場合はストレスを感じてしまうこともあるかもしれません。
必要のないスキルを身につけることに力を入れてしまうケース
スキルの種類は様々で難易度も幅広いです。一言にスキルアップといっても、何をどう鍛えるかの選択肢は無限にあります。選択したスキルが自身のキャリアや生活で効果を発揮しない場合もあります。
適切な方法でスキルアップを
以上のように、スキルアップが効果を発揮しないケースがあります。こういったケースには、根本的な原因として、スキルアップを図る上で重要なことが抜けている場合が多いという点に注目してください。
スキルアップを図るためには、まず自分の現状を把握し、どのような未来を描きたいのか想像し、具体的な道筋を立て、そのために必要なスキルを見極める必要があります。これを押さえていれば、スキルアップは自分のためになるはずです。
基本的にスキルアップにデメリットはなく、適切な方法で行えば効果を発揮するものなのです。
スキルアップの方法
スキルアップの具体的な方法を、個人と組織に分けてご紹介します。スキルアップを成功させるポイントもまとめましたので、ぜひ、参考にしてください。
個人で取り組むスキルアップ
まずは、個人でスキルアップに取り組む場合の方法を紹介します。
担当していることの専門性を高める
業務など、現在自分が担当していることの専門性を高めることは、達成した時の効果が想像しやすく、またゼロから何か始めるよりも取り組みやすいといえます。
自身よりスキルのある同僚や先輩、上司などがいれば積極的にコミュニケーションを取り、参考にするのもよいでしょう。
社内だけでは十分な知識が得られない場合は、書籍などから専門的な知識を学ぶ、セミナーなどに参加するなどの方法があります。
効率化を図る
携わっている業務の効率化を図ることもスキルアップにつながります。どうしたら効率化できるかリサーチする、新しいツールを取り入れ業務に組み込む、ノウハウを習得する、習得したノウハウをチームに共有するといったように、効率化の取り組みから得られる経験は多いのです。
社内公募やジョブローテーションを活用する
新しい仕事や職種に挑戦することもスキルアップにつながります。仕事のノウハウだけでなく、部署ごとに異なる業務の進め方や重視されるビジネススキル、ソフトウェアやツールなど、発見があるでしょう。
研修やセミナーに参加する
様々なテーマの研修やセミナーが開催されていますので、積極的に参加してみるのもよいでしょう。ビジネスにおける普遍的なテーマや、時事と働き方について、専門性の高いもの、自己啓発につながるものなど、選択肢が豊富です。
最近は、オンラインでの開催も増え、場所や時間にとらわれず参加できるようになっています。
資格を取得する
資格取得を目指すことは、スキルアップを図りたい分野に目標が定まり、取り組みやすくなります。また、資格は客観的に評価されやすく、スキルを形で証明できるという点も特徴です。この資格を取るとこういった仕事につながるというイメージもしやすいでしょう。
書籍や新聞から知識を得る
書籍や新聞を読む習慣を持つことで、普段から情報をインプットすることができます。
資格取得や業務の知識を増やすために参考書や専門書を読むのと異なり、社会に関する総合的な知識を得られるというメリットもあります。
副業をする
最近は、従業員の副業を認める企業が増えています。副業をすることで、本業以外でのスキルを身につけることがでます。副収入を得ながらスキルアップできる手段です。将来的に本格的に挑戦してみたいことがある方は、土台づくりにもなります。
組織で取り組むスキルアップ
ここまでは、個人で取り組むスキルアップについて紹介しました。次に、組織が従業員にスキルアップを促す具体的な方法をご紹介します。
研修・教育制度を拡充する
人事部などが中心となり、研修制度や教育制度を拡充させるのは効果的です。社内の人間を講師とした研修、外部講師を招いての研修、テーマや対象社員などを分けた研修も効果的です。
社内公募やジョブローテーションなどの制度を導入する
社内公募やジョブローテーションを導入することで、従業員が新しい仕事や職種に挑戦しやすくなります。
スキルアップを後押しする制度を整備する
資格を取得した際の手当などを設定すると、従業員のスキルアップに取り組むモチベーションアップにつながります。どういった資格を対象にするか、金額をどう設定するかなど、コストの見極めは重要です。
評価制度を見直す
習得スキルを評価や報酬に反映させることも効果的です。スキルは職種によって様々なので、それらをどのように基準化するかは慎重に行う必要があります。
スキルアップ成功のポイント
スキルアップを成功させるポイントを紹介します。どうなりたいかという理想を明確にし、客観的に見てどうか判断し、目標に落とし込むことが重要です。
理想を描いて磨くスキルを選ぶ
まずは、自分の現状を把握しましょう。強み・弱みを整理し、これからやりたいこと、伸ばしたいことといった理想を描きます。それらが、客観的に見て実現可能か、需要があることかを確認してみましょう。
理想が描けたら、それを実現するためにどのようなスキルが必要かを見極めます。
目標・道筋を立てる
次に、選択したスキルアップに対して、ゴールとなる具体的な目標とそこまでの道筋を立てます。「資格試験に合格する」「〇〇のツールで□□を作れるようになる」「毎朝新聞を読む」など、明確なものにします。
進捗を確認しながら取り組む
いざ、スキルアップのための取り組みを始めてみたものの、思うように成果が出ない、モチベーションが保てないという場合も多いでしょう。都度、進捗を確認することをおすすめします。
スタートとゴールだけでは、道筋が長く感じてしまいモチベーションも下がりやすくなります。中間目標を設定し、達成度を確認することが有効です。
その他、上司や先輩、同僚、社外のメンターなどに相談し、客観的な意見を得ることもおすすめです
目標設定フレームワーク「SMARTの法則」
最後に、スキルアップをする際の目標達成に使える「SMARTの法則」を紹介します。
SMARTの法則は、設定した目標を達成するためのフレームワークです。
具体性(Specific)、計測可能性(Measurable)、達成可能性(Achievable)、関連性(Relevant)、時間制約(Time-bound)の5つの要素から成り立ち、目標を具体的かつ効果的に設定するための枠組みを提供します。
Specific(具体的性)
目標は具体的であるべきです。何を達成したいのかを明確にしましょう。曖昧な表現を避け、より明確な目標を設定していきましょう。
例:「新しい製品Aを開発し、年内に市場投入する。」
Measurable(計量性)
目標は数値や具体的な基準で測定できるように設定します。進捗を定量的に評価できることが重要です。これにより進捗状況がわかりやすくなります。
例:「新製品Aの初月の売上目標を10,000万円に設定し、毎月10%の成長率を目指す。」
Achievable(達成可能性)
目標は現実的で、実現可能であるかを確認していきます。
不可能な目標を設定することは避け、リソースや時間内で達成可能な目標を定めましょう。
例:「製品Aの開発に必要な予算や人材リソースが確保され、市場投入までの期間内に製品を完成させる。」
Relevant(関連性)
目標を達成することで、なにを得ることができるか、または全体のビジョンや大きな目的と関連しているのかを把握していきます。
例:「新製品Aは企業の戦略的目標と合致し、競合他社の製品に対抗できる差別化ポイントを持っているため主力商品になることが期待できる。」
Time-bound(期限)
目標をいつまでに達成するかの期限を設定していきます。期限を設けることで、目標達成の優先順位が明確になります。
例:「新製品Aの市場投入を11月第二週に実現し、製品開発の各段階に具体的な期日を設定する。」
上記は製品開発を例にしていますが、SMARTの法則は毎日の業務にも取り入れることが可能です。
まとめ
このページでは、そもそもスキルアップとは何か、重要性や具体的な方法、成功のコツをまとめました。本記事が、皆様が様々な場面で活躍するお役に立てましたら幸いです。
Q&A
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