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キャリア - 2024.09.13更新 / 2024.04.23公開
人間もサステナブル?! 「サステナブルキャリア」とはどういうものか
キャリアの考え方のひとつとして、「サステナブルキャリア」というものがあります。「サステナブル」は「持続可能」という意味で、SDGsとともによく耳にするようになりました。
持続可能なキャリアとはなんでしょうか? 詳しく解説していきます。
「持続可能性」を考えるのは、環境や企業だけにあらず
「サステナブルキャリア」は「持続可能なキャリア」を意味する言葉です。
幸福・健康・組織貢献という3つの要素を満たしながらも、生涯にわたって自分らしくキャリアを積んでいける状態およびその概念を指す言葉だといえます。
なおこの「サステナブルキャリア」は、「サスティナブルキャリア」「サステナビリティ=キャリア」とも表されますが、ここでは「サステナブルキャリア」の表記に統一します。
SDGsや地球環境といった言葉とともに目にする機会が増えた「サステナブル」は、「個人のキャリア」を考える上でも重要なキーワードになっています。
サステナブルキャリア、3つの要素
サステナブルキャリアを構成する要素は、下記の3つです。
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幸福
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健康
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組織貢献
それぞれ解説していきます。
1.幸福
仕事は金銭を得るためのもっとも有用な方法のうちのひとつではありますが、金銭のみが働く理由であるとは限りません。
多くのビジネスパーソンは自分の仕事において、「人生の充実感」「キャリアにおいて成功をしたのだという確信」「自分が望む方向に歩んで行っているというキャリアに対する満足度」を見出そうとします。
一方で、平均よりも収入が多いと、「多額の収入を得られるということは私が求められていることを示す指標であって、収入の多さ自体にはそれほど重きを置いていない」と考えるケースもあるでしょう。
このような「仕事に関する幸福感」「プライベートにおける満足度」の高さは、サステナブルキャリアを考えるうえにおいて、非常に重要な指針となります。
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2.健康
熱意を持ち、やりがいを感じていても、こころと身体の健康が保たれていなければ、仕事を続けていくことは難しいといえるでしょう。
また、残業や過重労働などで強いストレスを感じれば、体調やメンタルの不調につながる可能性があります。こころと身体の両方が良好な状態ではじめて、健康であるといえるため、サステナブルキャリアの考え方では、この「個々人の健康」にも注目します。
肉体的な負担が大きすぎないか、肉体的な負担による体調不良はないか、過剰なストレスで精神が弱っていないか、望まない業務を押し付けられることで精神の健康が損なわれていないか、心身両面において過度な負担がかかっていないか、などを見るのです。
「キャリアが充実している」「仕事の成果をしっかり出せている」という状況であっても、健康が損なわれれば、「持続可能な」キャリアを作ることは難しいといえます。そのため、サステナブルキャリアではこの「健康」も大切な要素であるとしています。
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3.組織貢献
近年は、「どのように仕事に取り組んでいくか」、「自分らしい働き方はどのようなものか」など、個人の働き方に注目が集まっています。
一方で、組織に所属する従業員として、どれだけ貢献できるかを意識していくことも、重要であるといえます。
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業務において成果は出せているか
-
雇用される能力であるエンプロイアビリティは十分なものか
-
組織が自分の雇用を継続するにあたり、プラスになることはあるか
などを考えていく必要があるでしょう。
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幸福・健康・組織貢献のバランス
たとえ「幸福」「健康」が高いレベルで満たされていても、この「組織貢献」が低すぎれば解雇や降格といった判断がされるかもしれません。
また、「幸福」「組織貢献」が十分であっても、「健康」が損なわれれば今までと同じ仕事ができなくなってしまうでしょう。
「組織貢献」「健康」の目標を達成できていても、「幸福」を得られていないようであればいずれ仕事そのものが嫌になってしまうに違いありません。
このように、「サステナブルキャリアを構成する3要素」は、それぞれが密接に関わっています。どれか一つが欠けても本当の意味でのサステナブルキャリアは達成できないため、これらのバランスをうまくとっていくことが重要です。
サステナブルキャリアにおける誤解
ここからは、より詳しくサステナブルキャリアの具体例について考えていきましょう。
サステナブルキャリアの正解はひとつではありません。この章では、サステナブルキャリアにおける誤解について紹介していきます。
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サステナブルキャリアとは、女性のためのものである
-
結婚や育児などよって女性のキャリアは変化が起こりがちなので、それを補い、働きやすい環境を維持するためのものとして、サステナブルキャリアの考え方がある
-
サステナブルキャリアを高いレベルで達成するためには組織で働き続ける必要がある
上記3つの考え方は、決して間違っているものではありません。サステナブルキャリアという言葉は女性の働き方と親和性が高いものですし、女性は男性に比べてその働き方を結婚や育児によって変化させられる(あるいは変化を望む)傾向にあるからです。
ただし、本来サステナブルキャリアとは、「多様な生き方を許容し、そのなかで持続可能なキャリアを考えていくこと」を目的とするものであるため、性別や状況、ライフステージに関わらず有効な考え方だといえます。
また、サステナブルキャリアは「組織貢献」という要素を持ってはいるものの、これは「会社組織で働き続けること」とイコールではありません。独立開業に踏み切ったり、会社組織を離れてフリーランスになったりする人であっても、サステナブルキャリアの考え方はマッチするものです。
さらに、「キャリア」に対する価値観も広がりをみせているため、必ずしも「働き続ける」ことだけがサステナブルキャリアではありません。
たとえば、「今まで正社員で働いていたが、結婚・妊娠を機に育休を取得し復職する」もひとつの選択肢ですし、「結婚を機に専業主婦・主夫になって、その10年後にパートタイマーとして働き始める」もまた、ひとつの選択肢といえるでしょう。
サステナブルキャリアを考えるうえでは、組織×個人の連携が不可欠
サステナブルキャリアを考えるうえでは、組織と個人の連携も必要になってきます
「企業による無意味な締め付け」は、従業員のモチベーションの低下や生産性の低下を招き、離職率を高める要因となります。
「サステナブルキャリアを考えて、それが実現できる状態にしていくこと」は、個人はもちろん、企業にとっても重要な取り組みなのです。
まとめ
「サステナブル」という言葉が多くの人に知れ渡ってから長い時間が経ちました。
しかしこの言葉は、地球環境や企業の在り方を考えるときにだけ使われる言葉ではありません。個人のキャリアを考えるうえでも、非常に重要になってくる言葉です。
「持続可能なキャリア」「幸福・健康・組織貢献の3つの要素が、調和する働き方」を考える言葉として、「サステナブルキャリア」があります。
サステナブルキャリアは、あらゆる多様な働き方や生き方を認め、その人の選んだ人生の選択肢に合致するキャリアを個人と組織がともに作り上げていくことを目的とした言葉なのです。
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