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キャリアコンサルタント資格 - 2024.10.31更新 / 2024.08.08公開
ワークライフバランスから「ワークライフインテグレーション」へ~新しい働き方を考える
社会が変化していくなかで、働き方もまた変化しています。このページでは、これからの働き方のヒントになる、「ワークライフインテグレーション」という言葉について解説していきます。
ワークライフインテグレーションとは?
ワークライフインテグレーションとは、「仕事(work)」と「私生活(life)」を「統合(integration)する」という意味を持つ言葉です。
「仕事と私生活は常に密接に関わっているので、私生活を充実させることで仕事が充実し、お互いに相乗効果を及ぼし合える」とするのが、このワークライフインテグレーションの考え方だといえます。
仕事と私生活の間に境目を作ることなく、相互の出入りが自由であり、仕事も私生活もより拡大・充実させることを目的として提唱され始めました。
ワークライフインテグレーションが注目される理由
ワークライフインテグレーションという考え方は、2007年ごろから注目されるようになりました。2019年に出された「働き方改革推進法」によって、さらにこのワークライフインテグレーションの考え方は注目を浴びるようになりました。
現在の日本は少子高齢化社会です。また健康寿命が延びていることもあり、今までは定年退職を迎える年代だった人もまた、働くという選択肢を選ぶようになりました。
2019年から始まった新型コロナウイルス(COVID-19)の影響は数多くの業種に甚大なダメージを与えましたが、同時に、このコロナ禍のなかで「新しい働き方」が浸透していったというのも事実です。
リモートワークやワーケーション、フレックスタイムが導入されるようになり、これまでは介護や育児などで仕事を辞めざるを得なかった人も働きやすくなりました。
ワークライフインテグレーションは、このような社会の変化に伴い、非常に注目されている考え方といえます。また今後もワークライフインテグレーションおよびその背景にある「多様な働き方」は、多くの人の関心を集めていくものといえるでしょう。
ワークライフバランスとワークライフインテグレーションの違い
「ワークライフインテグレーション」に比べて、「ワークライフバランス」はより聞きなじみのある言葉かもしれません。
ワークライフバランスはワークライフインテグレーションより以前に生まれた言葉です。これは、「仕事と私生活のバランスをとりながら生きていこう」とする考え方です。バブル期などでよく見られた「残業、休日出勤当たり前」などのような働き方とは異なり、「仕事も私生活も大切であるから、調整しながらやっていこう」という意味を持つ言葉だともいえます。
そして、このワークライフバランスはワークライフインテグレーションの基礎となっているものです。
ワークライフバランスもワークライフインテグレーションも、「仕事と私生活の両方を考える」という意味では同じです。
しかしワークライフバランスの場合、「仕事は仕事、私生活は私生活」「仕事が55%、私生活が45%」などのように、自分の持っている時間的な余裕を仕事と私生活のどちらかに割り振ろうとします。つまり、仕事と私生活の間には境界線があり、それぞれが独立しています。
対して ワークライフインテグレーションでは、「仕事と私生活は常に関係しあっていて、相乗効果も及ぼすものである」「仕事面が拡大・充実しても、私生活は圧迫されない。むしろより充実する可能性もある」とし、2者の間に境界線を設けません。
時間的な余裕は、どちらかだけに「割り振る」ものではなく、「リモートワークなどで、働き方を柔軟にすることによって増やしていくもの」と考えます。また、仕事をしながら勉強してさらに新しい資格取得をしたり、学校に通ったりといった多様な働き方にも目を向けます。
【ワークライフバランスとは】似た言葉との違いやメリット・デメリットを解説 | リカレントcounselor |
仕事を人生の一部として考える「ワークアズライフ」とは | リカレントcounselor |
ワークライフインテグレーションを可能にするための企業の取り組み
「働きやすい」というメリットを従業員に与え、「より優秀な人材を採用しやすくなる」というメリットを企業側に与えてくれるのが、ワークライフインテグレーションです。
ではこのワークライフインテグレーションを可能にするためには、企業はどのようなことに取り組めばよいのでしょうか。それについて解説していきます。
リモートワークの導入
ワークライフインテグレーションを可能にするための方法の代表例として、「リモートワーク」が挙げられます。新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延によって広がったリモートワークは、多様な働き方を可能にするというメリットがありました。
通勤のための時間をカットし、要介護者や子どもの様子を時に窺いながら仕事ができるリモートワークは、「働きやすさ」を考えるうえで非常に重要なものです。
また、リモートワークは場所を問わずに仕事をできるというのも魅力です。たとえば「東京の企業に雇用されたが、自分は子どもの頃から沖縄に住みたいと思っていた」などの希望を持っている人の場合は、フルリモートワークでの仕事であれば、「働くこと」と「好きな場所に住むこと」の両方を実現できます。
本人の希望を大切にする人材配置
社会人として働いていると、自分の希望とは違う部署・業務内容になることは多々あります。しかし、自分の希望が叶えられた場合はより働く意欲を持ちやすくなるでしょう。
また、仕事に対してのモチベーションや熱意を保ちやすいため、トラブルが起きても粘り強く対応したり、積極的に意見を述べたりすることがしやすくなります。
そのために、企業は、従業員一人ひとりに「働きたい部署」「就きたい業務」などの聞き取りをするとよいでしょう。適正な人材配置により、従業員の生産性が上がるという企業にとってのプラスの面も出てきます。
時短勤務やフレックスタイム制度の実施
時短勤務やフレックスタイム制度を実施することも、ワークライフインテグレーションを促進するうえで非常に有用です。
「ずっとこの会社で働き続けていきたいけれど、今までと同じような働き方をしていた場合、子どもの保育園のお迎えに間に合わない……辞めざるを得ない」
「夜間学校に通ってスキルを身につけたい。でも、今の職場は3交代制で、このままの勤務形態だと夜間学校に通うことが難しい」
「要介護者がいる。介護をする人が必要だが、介護離職はしたくない。家族全員で働く時間を調整しつつ、働き続けたい」
などの希望を持つ人にとって、時短勤務やフレックスタイムの制度の導入は、非常に心強いものです。このような制度を採り入れることによって、従来の働き方の制度のなかでは辞めざるを得なかった人が、引き続き働き続けられるようになる可能性が高くなります。
特に「引き続き働きたいと願っている、熟練の社員」を引き止められるようになることは、企業にとって大きなプラスとなることでしょう。
まとめ
ワークライフバランスから一歩進んだ「ワークライフインテグレーション」は、仕事と私生活の両方を充実させようとする考え方です。またこの考え方においては、仕事と私生活の間に境目を作らないという特徴もあります。
多様な働き方を実現させるワークライフインテグレーションは、リモートワークやフレックスタイム制度、個人の希望を重視する人事采配を考えることで可能になります。またこの取り組みは、企業にとっても個人にとってもメリットの大きいものです。
Q&A
境界線を設けず、 仕事と私生活は常に密接に関わっていて、私生活を充実させることで仕事が充実し、お互いに相乗効果を及ぼし合えるとするのが、このワークライフインテグレーションの考え方です
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