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キャリア - 2024.11.14更新 / 2023.08.24公開
学生が有給で就業経験を積める【ワークプレイスメント】とは?
学生にとっては、キャリアの一歩となる就職先の選定を行うために、さまざまな企業と向き合うことが必要です。
また、企業にとっても、より良い人材を獲得するために卒業前の学生にどうアプローチするかは非常に重要であるとされています。
このような考え方のなかで生まれたのが、「ワークプレイスメント」です。この記事では「ワークプレイスメント」について解説をしていきます。
ワークプレイスメントとは
ワークプレイスメントは、「在学中の学生を、派遣社員として企業側が受け入れ、給料を払いながら就業経験・就業体験ができる」制度をいいます。
無償で行うインターンシップや、「報酬を得ること」を第一の目的としたアルバイトとは異なり、ワークプレイスメントは有償で実践的な職場体験を行います。
ワークプレイスメントの歴史
ワークプレイスメントの歴史自体は意外と古く、1970年代からすでに存在していました。ワークプレイスメントはイギリスが発祥で、当時のイギリスは大卒者の就職率の低さが問題となっていました。そのため、大学と企業が手を結び、学生の「働く力」を養成しつつ、実践的な人材教育をしようと考えるようになったのです。
ワークプレイスメントとアルバイト、インターンシップとの違い
ここからは、「ワークプレイスメントとアルバイト」「ワークプレイスメントとインターンシップ」の違いについて解説していきます。
ワークプレイスメントとアルバイトでは目的が違う
ワークプレイスメントもアルバイトも「報酬を得ながら、会社で働く」という意味では一緒ですが、ワークプレイスメントとアルバイトでは、その第一の目的が異なります。
アルバイトでも社会勉強などはできますが、アルバイトの第一の目的は「お金を稼ぐこと」です。また任される仕事も多くの場合が限定的です。
しかしワークプレイスメントの場合は、「その企業の考え方や実際の業務内容を知ること」を第一の目的とします。
ワークプレイスメントは仕事の領域も広い傾向
ワークプレイスメントの場合は社員として働くため、一般的なアルバイトよりも任される仕事の領域が広い傾向にあるのも特徴です。
また、ワークプレイスメントでは「社会人」「社員」としての振る舞いが強く求められるため、それらを学びやすいというのも魅力のひとつです。
加えて、ワークプレイスメントはあくまで学習の一環として行うため、「アルバイトに打ち込みすぎて学業がおろそかになる」、「学業に影響を及ぼす業務量を任せられる」などの不安を感じることがないのも大きなポイントといえるでしょう。
ワークプレイスメントとインターンシップでは報酬の有無が異なる
ワークプレイスメントとインターンシップには、「実際に期間を設けて企業に入り、社員として業務に就く」という共通点があります。
しかしワークプレイスメントとインターンシップで大きく異なる点は「有給か無給か」ということです。
ワークプレイスメントの場合は、有給で仕事に就きます。しかしインターンシップの場合は、数日から1週間程度の短期間で実施され、企業の業務説明やグループディスカッションといった内容が中心で実際に業務うことは少なく、無給である場合が一般的です。
インターン制度のメリットと課題
企業や学生がインターンシップの目的や内容を正しく理解していないために、学生が「ただ働き」になってしまうという課題があり、そこから、ワークプレイスメントが注目されるようになりました。
なお、インターンの中でも長期間であったり、実施内容から”労働者”とみなされると、有給となるケースもあります。また、インターンシップはワークプレイスメントよりも気軽にできるなどのメリットもあるため、企業や学生それぞれが適した形で実施できるとよいでしょう。
ワークプレイスメントのメリットについて~学生側、企業側、両方の視点で
ワークプレイスメントは、学生側にとっても企業側にとってもメリットのある制度です。
ここでは、学生側と企業側、両方の観点から「ワークプレイスメントのメリット」について解説していきます。
【学生側】
企業研究ができるため、就職活動時の判断材料に使える
ワークプレイスメントは、一般的な「アルバイト」とは異なり、その企業で社員として働くことができます。
そのため、その企業風土や従業員の雰囲気など、働きやすさを自分の目で実際に確認することができます。
たとえばワークプレイスメント制度を利用して企業に入ることで、「第一候補として考えていたが、社風が合わないと感じた」「第三希望の企業であったが、非常に良い印象を持った」というケースもあるかもしれません。
ワークプレイスメントは、新卒時の就職先の見極めをしたいと考えている人にとって、企業研究という面で非常に有用なものといえるでしょう。
社会人に求められるスキルを一足先に学べる
ワークプレイスメントは、「社員」として企業に入ることになります。そのため学生の立場ではありますが、適切なビジネスマナーが求められます。言い方を変えれば、学生の立場でありながら、これらの「社会人としての立ち居振る舞い」を学習し、身につけることができます。
ワークプレイスメントでは、基本的には上記で挙げた社会人としてのコミュニケーションスキルやビジネスマナーを学びます。しかしより深い業務スキルに触れたり学んだりする機会もあるでしょう。このような学びは、その業界で長く仕事をしていきたいと考える学生にとって、大きなプラスになるでしょう。
【企業側】
自社をしっかりアピールできる
ワークプレイスメントは、自社をしっかりアピールすることができるという点で、企業側にとっても大きなメリットのある制度です。
学生にダイレクトに自社の魅力を伝えることができるため、好感度や信頼感の向上につながります。
ワークプレイスメント制度を取り入れたところ、実施前には就職希望者が17パーセントにとどまっていたにも関わらず、実施後にはその数字が40パーセントも伸び、6割近くにまでなったというデータもあります。
昔から「百聞は一見にしかず」といいますが、この「一見」がワークプレイスメントであり、それによる就職希望者の増加というメリットを、企業側にもたらします。
ミスマッチや、早期離職を防げる
「webページなどで企業情報を確認して就職したけれど、いざ働いてみたら自分のやりたい仕事と違っていた」という経験をした新卒者は多く、転職を視野に入れるケースもあります。
しかしワークプレイスメント制度を利用することで、このようなミスマッチを回避することが期待できます。
すでに述べた通り、ワークプレイスメントは「情報だけでは伝えきれない企業風土を学生に伝えることができるもの」です。
そのため、「ワークプレイスメント制度を利用したことでよりこの企業に入りたくなった」という人や「ワークプレイスメント制度を利用する前はそれほど重きを置いていなかった企業だったけれど、風土が非常に良く、この企業に入りたくなった」という人の就職意欲を高めることができます。
このような人の場合は、就職後の離職率が低い傾向があり、企業側は人材育成に取り組みやすくなります。
また、「ワークプレイスメント制度を利用する前はこの企業に入りたいと思っていたが、風土がどうにも合わないようだ」と感じた学生は、就職の候補先からその企業を除外することが考えられますが、この場合においても、実際に就職してから気付くミスマッチを事前に防ぐことができたといえるでしょう。
「キャリア自律」がもたらすメリット~企業側と個人側の両面から | リカレントcounselor |
どちらの立場からも必要とされる「キャリアコンサルタント」
では最後に、ワークプレイスメント制度の中でも重要な役割を担う「キャリアコンサルタント」についてみていきましょう。
学生をサポートするキャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、学生が実践的な職場経験を得られるように、ワークプレイスメントの手続きや準備を支援します。
キャリアコンサルタントは、ワークプレイスメントを通して学生が感じた課題感などをサポートしていきますので、ワークプレイスメントを利用する学生にとっては、キャリアに関する悩みを相談できる心強い存在でもあります。
社会人に求められるビジネスマナーの指導も
キャリアコンサルタントはビジネスマナーの指導も行っていきます。社会人に求められるビジネスマナーは、職場での円滑なコミュニケーションにも大きく影響するため、キャリアコンサルタントからの指導は非常に重要であるといえるでしょう。
事前に大学のキャリアコンサルタントにビジネスマナーについての相談をしておくことで、ワークプレイスプレイスメント制度を利用時の不安を軽減することが期待できます。
企業の立場からみるキャリアコンサルタントの重要性
キャリアコンサルタントは企業のニーズを理解し、多様なキャリア相談に対応していきます。
また、企業内にキャリアコンサルタントが所属している場合は、学生を受け入れる側の従業員のサポートを行うのと同時に、学生が所属する大学との連携を図る場合もあります。
このようにキャリアコンサルタントは、学生と企業どちらの立場においても重要な役割を担っています。
まとめ
学生という立場でありながら、一時的に企業の「社員」として働くことができる ワークプレイスメントを利用することで、学生側はその企業をより深く知り、社会人としてのマナーやスキルを学ぶことができます。
また企業側は採用後のミスマッチを防ぐとともに、自社を知ってもらい就職希望者を増やせるというメリットを得ることができます。
Q&A
前者の「サンドイッチ・プレイスメント」は、「在学中に、1年間の『フルタイムでの』就業経験をして、その後に再度大学で学ぶ制度(フルタイムでの就業経験は、最終学年の1学年前に行われる)」を指します。
後者の「ユーロ・プレイスメント」は、EU諸国で行われている制度であり、他国で就業経験を積むことをいいます。
特に欧米ではワークプレイスメントを「当然のもの」とし、企業も意欲的にこれを捉えています。
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