「これは?」と尋ねると、
「小さい頃の自分みたい。いつも裸足で駆け回っていたんです。元気で、そうアルプスの少女ハイジみたいな。でも、今、こんな感じなんだって、あらためて思いました。次に進むべき道がわからないんです。すごく迷っていて…」
独身時代はバリバリと働いていたOさんでしたが、出産と同時に専業主婦に。
「なんだかいつも、「なんか違う」って感じてきたんです。本当の自分は、母親としてだけじゃなく、一人の個人てして主体的に生きていきたい、とずっとモヤモヤしていた」
といいます。
今、ようやく子育てもひと段落し、仕事に復帰したい思いでいる。一方で夫からは、子供はまだ思春期なんだし、家に居た方がいい、と言われた。わからなくもない。
「でもどうしてクライエントさんが今の姿どなくて子供で、道は3本なんでしょうね?」と聞くと
「子供のころは気ままで自由だったからかなあ。今もあの頃みたいに好きなようにしたい、のかも。無意識に3本目の道は描いたけれど、意味付けするならば、まだ新しい道があるんじゃないか? 右か左の2択たけじゃなくて。子供に帰ってもっと自由に考えなさいよ、気づきなさいよ、と自分に教えている気がします」
などと語りました。
このように、人は絵という表現活動を通じて、癒されるだけでなく、新たな気づきを得たりするようです。
その後、このクライエントさんは、週に3日ほどのパートに出るようになりました。お子さんが高校生になったタイミングで、支援の資格を取得し、今は前から好きだった人助けを仕事にして、モリモリと頑張っているそうです。